看護師の仕事や実習がつらいとき。軸ずらし転職や心理学を駆使して楽になる

看護師の仕事や実習がつらいとき。軸ずらし転職や心理学を駆使して楽になる

看護師として働きはじめたものの、ほとんど全員が1度は「辞めたい」「つらい」と思うのではないでしょうか?

日本医療労働組合連合会は、1988年以降、約5年に1度実施 「看護職員の労働実態調査」を行っています。

2017年度に回答した3万3,402人の看護師のうち、 「仕事を辞めたい」と「いつも思う」看護師が20.9%、「ときどき思う」看護師が54.0%で、実に74.9%の看護師が、辞めたいと思いながら仕事をしていることがわかりました。

2017年看護職員の労働実態 調査結果報告 日本医療労働組合連合

看護師の仕事を辞めたいと思っているのは、あなただけではありません。

4人に3人という高確率で、辞めたいと思っているのです。

看護師人生の中で1番つらい時期とも言われているのは、看護師1年目、新卒看護師時代です。
「あのときに戻りたい」という人がいるのであれば、一度お会いしてじっくりお話を伺いたいと思うくらい、戻りたくない1年目時代。

やっとの思いで国家試験に合格し、憧れて入職したのにも関わらず、その希望とキラキラした気持ちは、ことごとく打ち破られる運命にあるのです。

看護師の勉強をいくらしてきても、実習でつらい思いをして、眠れなくて泣いた日があっても、そんな経験はほとんど役に経たないんじゃないかと思うくらいの『リアリティショック』を受ける人も少なくありません。

日本看護協会が2019年に行った「病院看護実態調査」によると、新卒採用者の離職率は全国平均で8.6%でした。

新卒者の離職率が高い都道府県は、第1位愛媛県(12.7%)、第2位香川県(12.2%)、第3位が東京都(12.1%)の順となっていて、新卒者の離職率が一番低い沖縄県(4.8%)の、2.6倍の離職率となっていて、多くの新卒看護師が離職していることがわかります。

日本看護協会調査研究報告書<No.96>2021・2020年病院看護実態調査 報告書

悩む看護師

同じように看護学生時代だって、実習は本当につらかった思い出ばかりだと思います。

毎日毎日書いても終わらない記録と、課題。
明日の実習目標は、毎日新しいものを立てないとやる気がないと思われてしまい、実習をさせてもらえなかったという話しを聞いたことがあります。
病気や治療をしっかり調べて「これで完璧!」と思う、渾身の実習目標や看護計画を書いていっても、病院の実習担当者や先生には突っ込まれます。

「そんなに、自分はできないのだろうか…」と、他の学生を見て思うかもしれません。

その結果、実習の評価が下がったり、看護学生でいることがつらく、自信を失ってしまうこともあるでしょう。

では、看護学生、看護師1年目がそんなにつらいのであれば、2年目になればちょっと良くなる…なんてことはほとんどありません。
看護師は何年目になっても、それなりにつらいことはやってきます。
ただ、年数が経ち色々な経験を重ね、立場が変わっていくことで上手な乗り越えかたや、対処方法をどの看護師も身につけていくのです。

離職に至らなくても、

「もうつらくて逃げ出したい」

「朝が来なければいいのに…」

と思うことはよくありますよね。
そういった時に、無理を押して出勤・通学していませんか?

望まないことがおきて、つらくて、逃げ出したいと思った時に、あなたにはできることがたくさんあります。

この記事では、看護師の仕事や実習がつらいときの対処方法を、わかりやすく説明していきます。

あなたに合った対処法が見つかるとよいですね。

【逃げるが勝ち】看護師で疲れたら?心と身体に休息を

飲み物を飲む女性

いったん休む

つらいとき、休むことは本当に大切です。

「勤務が休みだから休む」
「上司や同僚が休みなさいと言ったから休む」のではありません。

自分がつらいときに、自分の判断で休むのです。

看護師の仕事には責任があって、いつも忙しいから、自分がいなければ周りの人がもっと大変になるから休めない…そう思っていませんか?

もしくは休んでしまったら、次の勤務で出勤しにくい…と、思うこともあるでしょう。

でも、いまつらいんですよね。
そうであれば、休みましょう。
絶対に、そのほうがいいです。

今までは「仕事行きたくないなぁ」と思っても、時間になってしまえば出かける支度をして、仕事に向かっていたでしょう。
そんな毎日を繰り返していると、知らない間にどんどん負荷がかかっていきます
自分で自分を痛めつけてしまい、本当の自分のつらさに気が付かなくなってしまいます

そうすると、行きたくても行けない、仕事ができないくらいに追い詰められてしまって、自分が本当につらい状況だったということにやっと気が付く人がほとんどなのです。

限界になると、うつや不眠症、双極性障害・摂食障害などになってしまう人もいて、回復するまでに、とても長い時間が必要となります。

限界に辿り着くまでに、心も体もたくさんのサインを出してくれています。

その1つ目のサインが「行きたくないなぁ…」と、思う瞬間です。

いつもよりつらくて、仕事や実習に行きたくないなら、休みましょう。

自分を大切にして、守ってあげられるのは自分だけです。

つらいときに1日か2日休むことでリフレッシュされ、そのあとはまた働き続けらることもあります。

つらい状況で頑張りすぎてしまうと、心も体も長く休みが必要になってしまいます。

つらいときには、早め早めに休んでいくことが大切だと思っています。

家庭に逃げる?

結婚している、子どもがいる、これから子どもが欲しいという人は、いったん看護師の仕事や学生生活から離れて、家庭に入るのも一つの手です。

結婚していない人には逃げる場所がないのではありません。
実家でもいいのです。

モニターやナースコールの音が聞こえない、自分の行動が人の命を左右しない環境に身をおくことで、ストレスも格段に減っていきます。
家庭は、看護師の自分ではなく、本当の自分が自分らしくいられる場所です。

自分が自分らしくいられる、追い詰められていない状態で、もういちど仕事や学校について、看護について考えてみるとよいでしょう。
そうすると、本当にやりたかったことも見えてくるでしょうし、また、看護師として働きたいとおもうかもしれません。

そうなったときに、学生として復学するか、復職するか、転職するか次の一手を考えてみましょう。
転職については、この先の項目でくわしく解説していますので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。

旅に出る/ニートになる

この際、病院の建物や名前を目にしない、職場の人に絶対に逢わない、自分が看護師だということを誰も知らない、そんな場所に行ってはどうでしょうか。

旅に出てみるのです。

行先は近場でも、行ったことない地方でも、言葉も通じない外国でもよいです。

毎日がつらくて、つまらなくて、生きていることに価値を見いだせていない。
つらくて仕事を休んで家にいても、どんどん追い詰められていってしまうようであれば、ぜひ旅に出ることをおすすめします。
街に彩を感じ、季節を感じ、食べ物が美味しく感じられるようになったら、少しずつですがつらい状況から解放されてきている証拠です。
「明日なにを食べよう」「どこに行こう」と、前を向いていくことができるかもしれません。
そうなったときに、次の行動を考えればいいのです。

さらには貯金がある場合や退職金を手にした場合には、もう仕事も何もしないというのも、一つの選択肢です。
つらくなって、追い込まれてしまうと生きていくことさえも、苦痛になっていると思います。
あなたにとってつらくない環境で、自分らしく生きていくことだけを、考えて生きていきましょう。
「生きていれば、何とかなる」
無責任な言葉に聞こえるかもしれませんが、生きていれば、いつかこのつらい状況から脱却できるのです。

人生は、なにか仕事をしなければいけないのではありません。
生きていくために、お金を稼ぐために仕事をしている人がほとんどです。
生きていくために必要なお金に少しの間でも困らないのであれば、ニートになり、何もしない時間をもって、心身ともに休めていくことも重要視してほしいと思います。

思い切って転職も、行動することで変わる

リモートワークをする女性

軸ずらし転職

「軸ずらし転職ってなに?」って、思った方がほとんどかもしれません。

軸ずらし転職とは、Twitterやブログで自身の4度の転職経験を発信し、4年間で年収を20倍にしたmotoさんが年収アップの秘訣として提唱している転職の考え方です。
その経験を綴った『転職と副業のかけ算』(扶桑社)はネットニュースやSNSでも大変有名になり、自身の年収や経験・スキルアップに有効な手段として注目されています。

「軸ずらし転職」は、希望する業種・業界や職種の軸をずらして転職することをさしています。
転職するのであれば、誰もが前よりも高い年収で働きやすい職場で働きたいと思いますよね。
看護師としてつらい日々、このまま働きつづけて専門スキルを磨いたところで、年収が数千万円になることはありません。
夜勤をしながら30代後半で貰える給料は、手取りで500~600万円程度です。
世間では平均年収は50‐54歳にピークを迎えるようですが、看護師は年齢が上がると体力的に夜勤がつらくなったり、若いころのようにバリバリ働く事が難しくなることがほんど。
個人病院や外来勤務メインの職場に転職すると、ガクンと給料は目減りします。


実は、この軸ずらし転職は年収を上げる新しい転職方法として注目されています。
いままでは同じ職種・業界から次の仕事を探すか、全くの他職種・他業種に転職する方法が一般的でした。
軸ずらし転職では、「職種」と「業界」のどちらか一方のみをずらし(変えて)、転職を考えていく方法をとります。

看護師であれば、職種は【看護師】業界【医療・福祉(病院勤務)】です。
軸ずらし転職では「看護師の職種はそのまま」に「業界を変えて働く」ことを考え、転職先をさがしていくのです。

医療「業界」で高収入と言えば、MRやCRCなどの製薬会社、通販・ECやIT関連です。
特に、外資系やベンチャー企業は高収入が見込め、福利厚生もよく、コロナ禍ではALLリモートワークが可能になるかもしれません。

看護師は病院で働かなければならないわけではありません。
日本の看護師の9割が病院や医療関連業界で働いているというだけです。

看護師のもつ専門知識やスキルは、他業界では大変重宝されます。
ITやメディア・通販業界で、ある一つの病気や治療について企画・商品展開・広報活動をしたとします。
医学的知識のない人だけで行っていては、顧客からみると違和感のある、専門性も具体性もないものが出来上がる可能性があります。
しかし、看護師など医療知識や経験が豊富な人が携わることで、その情報量は格段にレベルアップします。
看護師が携わっているということで、情報への信頼性も増すため、企業にはメリットが多いのです。

転職に際しては、より高い専門性や知識・経験の職種であればあるほど、高収入が見込めます。
この点では、看護師は軸ずらし転職によって、今後も高収入を見込める職種です。
なぜかというと、ほとんどの看護師は病院で働くことが看護師の仕事だと思っていて、それ以外の業界で働けることに気づいていません。
絶対数のライバルが少ないのです。
その看護師の資格を武器に、世間からニーズの高い発展性のある業界に就職すれば、さらなるスキルアップと高収入も夢ではないのです。

つらかった過去の知識と経験であっても絶対に活かせますし、あれだけ嫌だった看護師の経験に感謝することもあるかもしれません。
仕事の内容も職種は変更していないので1から勉強するのではありません。
業界についてのみ勉強していけばいいので、精神的にも肉体的にもストレスが少ない、給料アップが見込める転職方法ともいえるので、おススメです。

他職種に転職

「看護師の仕事はつらい、もうしたくない」「看護学生はやめたい」と思うこともありますよね。
そういった時に、看護師以外の仕事に転職するということもおすすめします。
日本にはどれだけの種類の、職種があるか知っていますか?

厚生労働省所轄の独立行政法人「労働政策研究・研修機構」の調査によると、その種類は1万7,000種以上にのぼり、その種類は毎年増えています。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)

以下のグラフは、2020年平均の男女の産業別就業者数を表したものになります。

2020年平均の男女の産業別就業者数|棒グラフ

これを見ると医療・福祉は2番目に就業者数が多く、12.9%862万人が就業しています。しかし、就業者全体でみると、86.1%の人が医療・福祉ではない仕事についていることがわかります。

さらに、日本の職業を「日本標準職業分類」という12のタイプに細かく分類した、総務省の分類を見てみましょう。

  • 管理的職業従事者:議会議員、国家公務員、会社の役員、法人管理職員など
  • 専門的・技術的職業従事者:研究者・医師、法務従事者、教師、デザイナー、美術家など
  • 事務従事者:一般事務、会計事務、営業事務、郵便事務など
  • 販売従事者:小売店主、不動産仲介人、販売店員、化学品営業職など
  • サービス職業従事者:家政婦(夫)、介護職員、美容師、調理人など
  • 保安職業従事者:自衛官、警察官、看守、消防員、警備員など
  • 農林漁業従事者:耕従事者、植木職、航海士、造材スタッフなど
  • 生産工程従事者:金属溶接、紙製品生産設備制御・監視員、ゴム・プラスチック製品検査従事者など
  • 輸送・機械運転従事者:電車運転士、バス運転士、車掌、クレーン運転従事者など
  • 建設・採掘従事者:大工、とび職、採掘員など
  • 運搬・清掃・包装等従事者:配達員、ビル清掃員、包装従事者など
  • 分類不能の職業

何気なく日常生活をおくるなかで、これだけたくさんの職種が社会を支えているのです。

看護師をしていてつらくなって転職を考えた際に、働く場所を変えて看護師を続ける選択肢しかないように思ってしまいます。
看護師をしていない自分がダメなように思ってしまうかもしれません。

けれども社会全体でみると看護師の数はほんの一握り。
看護師でない仕事の方が多いのです。

もし、看護師であること、看護学生であることがつらいのであれば、看護に関わらない仕事をすることも大切です。
つらいまま働いていても、毎日つらいだけで、1度きりしかない人生を楽しむことができません。
また、いつか、看護に携わりたいとおもった時に、看護の世界に戻ってこればいいのです。

他職種で、身近にできるのはコンビニやカフェ・スーパー・ショップ店員など。
人と接するのが嫌になったのであれば、カフェやスーパーの販売ではなく、キッチンなど裏方に回るのも手です。

本に興味があれば、書店。
PCスキルがあれば、webデザイナーやエンジニアの道へすすむのも良いかもしれませんね。
投資で身を立てている人もいます。

さらに、社会の変化にともない、新しい職業はどんどん増えています。

子どもがなりたい仕事No.1のユーチューバーは、Youtubeが設立された2005年以前には存在しなかった職業ですし、YouTubeで動画をアップして広告収入を得られるようになったのはここ10年くらいの出来事です。
日本標準職業分類には載っていない「分類不能の職業」として、新しい職業をはじめることもできます。

誰かに雇用されるのではなく、自分の力で仕事を生み出す、フリーランスという職業の人も世界中で増加しています。
インターネットが発達したいまだからこそ、あなただけにできる仕事が、看護師以外にもきっとあるのです。

保健師って何だっけ?

看護師

改めて「保健師」について知ろう

日本では「保健師助産師看護師法(保助看法)」で「厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者」と定めています。
看護師とは異なり、地区活動や健康教育・保健指導などを通じて疾病の予防や健康増進など公衆衛生活動を行う地域看護の専門家で、国家資格です。

保健師の資格をするためには、大学・専門学校のカリキュラムで学ぶか、看護師養成学校卒業後に指定の保健師養成学校で1年以上の専門課程を終了した時に、国家試験受験資格を得ることができます。
4年制看護大学を卒業された方の中には、大学で「保健師」の資格取得のカリキュラムのを履修し、保健師国家試験に合格されたかたもいらっしゃるでしょう。
保健師国家試験の合格率は、例年看護師よりもやや狭き門で、88%~91%となっています。

2016年に厚生労働省が報告した、就業保健師・助産師・看護師・准看護師の年次推移によると、就業看護師は114万9,397人ですが、就業保健師は5万1,280人とその数は圧倒的に少なくなっています。

その就業場所は、保健師は「市区町村」が 2万8,509 人(構成割合 55.6%)と最も 多く、4万2,367 人(構成割合 82.6%)が正規雇用となっています。

就業保健師・助産師・看護師・准看護師の概要|厚生労働省

さらに、「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、公務員として働くケース(市町村・都道府県・保健所)が最も多く、全体の約70%を占めています。

平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況|厚生労働省

保健師ってどんな仕事をするの?

保健師は名称独占の資格です(保助看法2条及び第42条の3)
保健師の資格を持たないものが保健師であることを名乗ったり、紛らわしい名称を用いることはできませんが、業務独占ではありませんので、他の国家資格者も保健指導をすることは可能となっています。

保健師の活躍の場はいくつかの種類に分類することができます。

  1. 都道府県や市区町村の保健所・保健センターなどで、保健行政に従事する「行政保健師」
  2. 企業の産業保健スタッフとして勤務する「産業保健師」
  3. 学校等で学生と教職員の心身の健康保持につとめる「学校保健師(養護教諭)」です。

この3つの保健師の仕事について、くわしく解説していきます。

1)行政保健師

新型コロナウイルス感染症の拡大以降、活躍を耳にするのは、この行政保健師の仕事です。

都道府県、市区町村の保健所、保健センターに公務員として就職します。
公務員試験に合格する必要がありますので、転職を希望する場合は公務員試験の勉強もしなければなりません。産休や育休などの、代替職員・非常勤職員の場合には、公務員試験が免除されることもあります。
住民の健康な生活をサポートするのが主な業務で、法改正などの制度への対応と、新生児から高齢者まで幅広い年代の住人に対応が求められます。

2)産業保健師

企業の健康管理室などに勤務し、従業員が心身ともに健康な状態で働く事ができるように、健康状態の把握と環境改善に取り組む仕事です。
就業者の健康診断の結果を管理し、結果に応じた専門家受診のフォローを行います。
うつ病などのメンタルケアへの対応、成人特有の疾患や癌、妊娠・出産まで、就業者の年代と特性に合わせた健康管理が求められます。

産業医は労働安全衛生法で、「常時50人以上の従業員がいる事業場」で専任が義務付けられ、産業医が必要なのに専任していなければ法律で罰せられます。
しかし産業保健師の場合には、法的義務は一切なく、企業の自主的な取り組みとなっています。
そのため、産業保健師の求人はほとんど見かけないのが実情です。

産業保健師として転職したいのであれば、求人サイトで検索する方法以外にも、卒業した学校の先生に相談してみたり、大手企業の人事課に直接連絡して就職先を見つけたという事例もあります。
企業に雇用されますので、就業形態も給与も他の社員と同程度に貰えますし、さらには保健師としての手当がつくようになります。
看護師・保健師の仕事としては数少ない土日祝日休みで、お盆や年末年始など、企業が休みの場合には連休取得ができる点も、産業保健師の魅力です。
新型コロナウイルス感染症の衛生管理と感染予防対策、感染者への対応で、産業保健師が必要とされてる場面も多く、この状況はあと数年は続いていきますので、活躍のチャンスはたくさんありそうですね。

3)養護教諭

いわゆる「保健室の先生」です。
児童・生徒、教職員の健康管理が主な仕事になりますが、子どもたちへの健康教育も大切な仕事です。
通常業務に加え、新型コロナウイルス感染症の感染予防対策と、子どもたちへの教育と啓蒙活動も新たな仕事となっています。
学校に1人しか養護教諭がいないのでは、十分な健康管理が行き届かないため、養護教諭の増員をはかった学校もありました。
教員免許がなくても養護教諭になることは可能です。所定科目の単位取得と、保健師資格があれば養護教諭二種免許状を取得することができます。
また、保健師資格を持っていれば、養護教諭養成施設で半年以上学ぶと養護教諭一種免許状を取得することも可能です。
養護教諭は働く先が国公立であれば公務員になりますし、私学であれば教職員として就職することになります。公務員試験が必要であったり、履歴書と面接だけでよかったりと、転職に必要な要件もことなりますので、注意していきたいですね。

このように一口で「保健師」と言っても、その働き方や対象とする年齢もさまざまです。
小児に興味があるのであれば、養護教諭。
壮年期など働く人の健康管理に興味があるのであれば、産業保健師。
もっと幅広い視点で、地域の健康管理をしたいのであれば、地域保健師と、興味・関心、そして得意分野にあわせて、働く場所を選べるのが保健師の魅力です。

【限定解禁】派遣看護師で働く新しい道

注射イメージ

2020年から続く新型コロナウイルス感染症は、医療現場の慢性的な労働力の不足をさらに悪化させ、医療現場は人手不足にあえいでいます。

現行の労働者派遣法では「看護師派遣」は原則禁止されています。
1999年に派遣が原則自由化された当時には、医療現場は高度なチーム医療を要求されるため、派遣看護師にはその重責は担えないとされ、自由化の対象にはなりませんでした。

しかし、2003年には社会福祉施設への看護師派遣が解禁されることになりました。その理由は、介護などのサービス利用者の日常生活に関わる業務は、高度なチーム医療とは異なるという考え方からです。

その後も、日雇い派遣においては、看護師は例外業務の対象ではなく、業務の場所を問わず禁止されていました。
そのため、看護師の仕事の多くは、1か月以上の中・長期の派遣か、単発であれば社会福祉施設や訪問看護・訪問入浴のアルバイトに限定され、派遣看護師として単発では、病院で働くことはできませんでした。
医療現場で働く側としては、たった1日、半日だけでも、手伝ってくれる人がいればとても助かるのが実情ですが、国の方針で認められていなかったのです。

実は、看護師派遣は2018年夏頃から厚生労働省・政府内で検討が始まっていましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大によりさらに需要が高まり、加速度的に法改正が進んでいきました。
厚生労働省は2021年1月に開かれた労働政策審議会労働力需給制度部会で、2021年4月より「地方の医療機関での看護師派遣を解禁」「社会福祉施設での看護師の日雇い派遣を解禁」することを決定しました。これにより、社会福祉施設では30日以下の日雇い派遣も認められるようになり、人出不足の解消が期待されています。

さらには、新型コロナウイルス感染症に対し日本国民全員にワクチン接種をすすめることとなり、接種会場で働く看護師が不足していることが社会問題になっています。
新型コロナウイルスワクチンは、2021年2月から順次接種が開始され、その接種完了は2022年2月末とされています。

2021年4月13日「新型コロナウイルスワクチンの接種」に限定して、派遣会社から医療現場への看護師派遣を全国で派遣する方針を決めました。
この省令の改正には、期限が決められ2022年2月末までとなっています。

ワクチンの接種には皆さんもご存じのように接種順位が決められています。

接種順位のうち(1)医療従事者等、(2)高齢者(令和3年度中に65歳に達する、昭和32年4月1日以前に生まれた方)が現在接種を開始しています。首相官邸ホームページでは毎日、ワクチン総接種回数を公表しており、日々接種者は増加しています。けれども、日本の新型コロナウイルスワクチンの接種率は先進国の集まりである経済協力開発機構(OECD)加盟37カ国の中でダントツの最下位、世界182カ国中でも131位にとどまっていることが発表されました。日本の人口100人あたりの接種率に換算すると、その接種回数は1.53回と、すべての日本人が接種を受けるにはかなりの看護師の力が必要になる事がわかります。

オックスフォード大学 データで見る私たちの世界(Our World in Data)

今後、 (3)高齢者以外で基礎疾患を有する方や高齢者施設等で従事されている方、(4)それ以外の方まで接種が回ってくるまでには相当の時間を要すると考えられています。
ワクチンに関しては、接種が終わらなければ、延期される可能性もありますが、2022年2月末までと限定的な派遣となっています。
2021年4月に法改正された「地方の医療機関での看護師派遣を解禁」「社会福祉施設での看護師の日雇い派遣を解禁」「新型コロナウイルスワクチンの接種に限定した解禁」の3つの方法で、看護師派遣を検討してみましょう。

まだまだ、制度改正直後ですので求人情報は少ないかもしれませんが、これからは徐々に活躍の場が増えてくるでしょう。
きっと希望にあった、働きやすい職場が見つかります。

自分を助けてあげるために、心理学を駆使する

看護学生時代そして看護師になってからも、色々な心理学の手法や概念について勉強してきましたよね。

しかし、自分のこととなると、その勉強してきた心理学を活かせていない人がほとんどです。
なぜかというと、看護師が勉強してきたのは「病気」の人に対する心理学だから。

自分がつらいと思っている状況は、看護師にとっては病気ではないと思っていることがほとんど。
だから、対処方法として心理学を駆使することがないのです。
そのままの状態が長く続くと、心理状態が悪化して「病気」になってしまうことも多いのも事実です。
自分の心理状態に対し、ユングやフロイトなどの心理学を駆使しようとすると、授業のようで疲れてしまうかもしれません。

ここでは、世界的に有名な新しい心理学について1つだけご紹介します。

アメリカのハーバード大学で肯定心理学(ポジティブ心理学)を提唱している、タル・ベン・シャハーを知っていますか?
彼の名前は知らなくても、数年前にベストセラーになった『ハーバードの人生を変える授業』という著書のタイトルは聞いたことがあるかもしれません。

彼の提唱するポジティブ心理学では、ポジティブとついているから、無理になんでもポジティブにすることを勧めているのではありません。
つらいときには、その気持ちをありのままに感じ、受け入れ認めることの大切さを説いています。

自分をありのままに認め、優しくし、弱っているのであれば労わってあげるのです。

ゆっくり生きていくことも大切です。

落ち込んでいるときには、しっかり落ち込む。

無理をしないことが、とても大切なのです。

このポジティブ心理学をおすすめする理由は、ただ1つ。
自分をありのままに感じ、受け入れ認めるという点です。
心理学や認知行動療法では、次の一手を考えるために現状を分析することが一般的です。

ポジティブ心理学ではつらいときに大切なことは、つらいということを認め、自分の一番の味方に自分がなることをすすめています。
自分を大切にして、守ってあげられるのは自分だけです。
つらいときには、心理学を利用して、自分を守ってあげるのも大切にして欲しいのです。

まとめ

看護師の仕事がつらい、実習がつらい。
そんなときにできる、いくつかの方法をご紹介してきました。

つらい状況から、休むなり、休学するなり、退職するなり…逃げるというのは決して恥ずかしいことではありません。
誰かに負い目を感じたり、迷惑をかけたと思うものでもないのです。

本当に大切にしてほしいのは、「今この瞬間の自分」と、「これからの未来を生きていく自分」です。

つらいまま働き続けるのか。
実習を続けていくのか。
いつか状況は打破されるかもしれませんが、つらい状況が続いてしまうだけかもしれません。

繰り返しになりますが、自分を大切にして、守ってあげられるのは自分だけです。

つらい気持ちを受け止め、自分にとってより良い選択をしていって欲しいと思っています。

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