「職場の雰囲気に馴染めず、他職種への転職を検討している」
「男性看護師が転職できるおすすめの他職種って何があるの?」
「男性看護師が他職種へ転職するメリット・デメリットが知りたい」
このような悩みにお答えします。
男性看護師なら他職種であっても十分な需要があります。そして看護師資格を活かした職場も多数あるため、転職活動も安心して行えるでしょう。
この記事では、以下について詳しく解説します。
- 男性看護師の転職におすすめの他職種
- 転職するメリット・デメリット・注意点
男性看護師として働くことに限界を感じているなら、他職種へ転職するのもアリ です。この記事を最後まで読むと、転職先選びから注意点まで分かるので、参考にしていただけると幸いです。
目次
男性看護師が他職種に転職!資格を活かせるおすすめの職種7選
男性看護師の転職におすすめの職種 は、以下の7つです。
- 看護師養成所(専門学校)の専任教員
- 美容クリニック
- 訪問看護師
- 産業看護師
- 医療機器メーカーの営業を
- CRC(治療コーディネーター)
- ケアマネージャー
看護師の資格やキャリアを活かした転職先なので、これまでの経験を無駄にしない職種選びができるでしょう。
1. 看護師養成所(専門学校)の専任教員
看護師養成所(専門学校)の専任教員になる 男性看護師もいます。実際に私の周りにも10名以上います。
転職理由は、以下の通りです。
- 臨床現場で培った知識・スキルを後輩育成に活かしたい
- 家族ができて夜勤のない生活を送りたい
- 男性が少数派の職場に馴染めなかった
看護師養成所の教員なら現場で培った知識やスキルを最大限活かせます。
また、男性の看護学生の相談に乗りやすかったり、現場での役割を伝えたりできます。そのため、男性の看護学生にとっても強い味方になれるでしょう。私も看護学生だった時に男性の先生に随分と助けていただきました。
教員として看護師の卵の育成に携わり、業界全体の底上げを行う 選択もあります。
2. 美容クリニック
看護師資格を活かして、美容クリニックへ転職する 方法もあります。
総合病院では学べない美容に関する看護を学べるからです。また、ボディーイメージの変化が伴う美容医療において、男性患者の心のケアができる強みもあります。
私の男性の知人は美容クリニックで手術をしてもらった際に「看護師が男性でとても安心した」と話していました。
男性の美容意識が高まっている昨今、美容クリニックへの転職は新たな需要として注目を浴びています。
3. 訪問看護師
看護業務自体が好きであれば、訪問看護師に転職する のも良いでしょう。
在宅医療を希望する利用者が、治療と生活の両方を継続できるように看護師として関わります。 病院とは違い、訪問時間は利用者のためだけに使えます。一人の利用者とゆっくり時間をかけて関わりたい方におすすめ です。
また、精神科や難病などが専門なら、力の強い男性看護師の需要が高く、重宝される存在に慣れるでしょう。
4. 産業看護師
一般企業で勤める産業看護師という選択肢もあります。
産業看護師の仕事は、以下の通りです。
- 社員の健康管理・保健指導
- メンタルヘルスケア
厚生労働省の「令和2年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況」によると「現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安やストレス(以下「ストレス」という。)となっていると感じる事柄がある労働者の割合は「 54.2%」というデータがあります。
つまり、会社において医療的知見をもってメンタルヘルスを行える看護師の需要があることがわかります。また企業の社員として勤務するため、他職種と交流する機会が増え、視野を広げられることもメリットでしょう。
出典:厚生労働省/令和2年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況 P12
5. 医療機器メーカーの営業
医療機器メーカーの営業も良いでしょう。
実際に使ったことのある看護師からの営業であれば、営業先でも信頼を勝ち取りやすいメリットがあります。知見があるため、操作・活用方法の具体的なイメージがしやすく、仕事を覚えるのにも有利でしょう。
また企業勤めであるため、夜勤のない規則正しい生活を送れます。夜勤が辛かったり、体調を崩すことが多かったりする方は、医療機器メーカーの営業も検討しましょう。
6. CRC(治験コーディネーター)
医療知識を活かして、CRC(治験コーディネーター)になる方法もあります。
厚生労働省の医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令によると「治験実施医療機関において、治験責任医師または治験分担医師の下で治験に係る業務に協力する薬剤師、看護師、その他の医療関係者をいう」と規程しています。
つまり医療的な資格は必須ではありませんが、薬剤師や看護師資格を保有していると強みとなる仕事ということがわかります。
CRCの仕事は、以下の通りです。
治療協力者(モニター)に対して
- 治療や薬剤の説明
- 治療中の観察
- 報告書の作成
また日頃から患者とコミュニケーションの必要な看護師を経験していると、不安や緊張の強い治療協力者の心のケアもできるメリットもあります。
7. ケアマネージャー
ケアマネージャーに転職する方法もあります。ただし、資格の取得が必要なので、時間はかかります。
ケアマネージャーの仕事は、自宅介護を受ける利用者のケアプラン(介護サービス計画書)を作成することです。2000年4月に導入された介護保険制度に伴って、都道府県知事の認可を受けて活動する公的な資格です。
看護師がケアマネージャーを取得するメリットは、以下の3通りです。
- アセスメント能力や視野を広げることができる
- 退院支援に強くなる
- 転職の武器になる
看護と介護は切っても切り離せない関係にあります。看護師の視点を持って介護を学ぶと、入院から退院後の生活までが分かるスペシャリストになれるでしょう。
男性看護師が他職種に転職する3つのメリット
男性看護師が他職種に転職するメリットは、以下の3つです。
- 人間関係やプレッシャーからの解放
- 看護師のキャリアが活きる
- プライベートが充実
他職種に転職すると、あなたの抱えている問題を解決できるかもしれません。この章で紹介するメリットを参考に、転職を検討してみましょう。
1. 人間関係やプレッシャーからの解放
他職種に転職すると人間関係やプレッシャーから解放されるメリットがあります。
厚生労働省の「職場におけるメンタルヘルス対策の状況」では、以下のデータを示しています。
出典:厚生労働省/職場におけるメンタルヘルス対策の状況 P1
対人関係によるストレスは30.5%の人が感じていることがわかります。特に男性看護師は少数派であり、病棟に馴染めないと感じる方もいるのが現状です。
また患者の命を預かる看護師の仕事は、責任が重く、強いストレスがかかります。精神的な負担が大きい看護師の仕事に限界を感じて、転職する人もいるのです。
転職を機に医療現場から離れると、人間関係やプレッシャーのストレスから解放されるでしょう。
2. 看護師のキャリアが活きる
転職先によっては看護師のキャリアを活かせます。
看護師のキャリアは医療現場以外にも求められているからです。
例えば、医療機器メーカーの営業担当に転職する方法があります。医療機器を患者に使用した経験があれば、営業に説得力が増します。また、トラブルシューティングなどの対応も合わせて説明できるため、営業先により具体的なイメージを持ってもらえるでしょう。
またケアマネージャーに転職しても良いでしょう。医療的な視点から介護を学ぶことができたり、ケアプランなど利用者の個別性に合わせた計画書の作成もスムーズにできたりするでしょう。
看護師キャリアを活かした転職も可能なのです。
3. プライベートが充実
転職先によってはプライベートを重視することもできるでしょう。
例えば、産業看護師や医療機器メーカーの営業などは、基本的には夜勤がありません。そのため、規則正しい生活を送ることができ、夜勤によるストレスからも解放されます。また、家族や友人と都合が合いやすいメリットもあります。
看護師を続けていると、どうしても一般企業に務める人との約束が難しかったり、家族と過ごす時間が確保できなかったりするため、転職を機にプライベートを充実させることもできるでしょう。
男性看護師が他職種に転職する3つのデメリット
男性看護師が他職種に転職するデメリットは、以下の3つです。
- 給料が下がる
- 知識やスキルが衰える
- やりがいを感じない
デメリットを知っておくと、転職後に後悔しないための対策を考えられます。
1. 給料が下がる
給料が安くなる可能性があるのは、男性看護師が他職種に転職するデメリットです。
看護師は夜勤や残業手当、診療科によっては特別手当てなどが加算されるため、他職種よりも給料が高い傾向にあります。
下の表は看護師と他職種の給料を比較した一例です。
職種 | 基本給与額 | ボーナス | 平均年収 |
看護師 | 33万2,400円 | 80万8,900円 | 479万7,700円 |
保険営業職業従事者 | 35万2,200円 | 68万9,400円 | 491万5,800円 |
介護職員 | 25万9,300円 | 59万7,900円 | 370万9,500円 |
ケアマネージャー | 27万6,700円 | 71万3,200円 | 403万3,600円 |
その他の教員(小〜大学を除く) | 34万5,700円 | 75万1,900円 | 490万1,300円 |
※従業員数100〜999人の施設規模
看護師から他職種に転職すると、給料が下がる可能性もあることを考慮しておかなければいけません。
2. 知識やスキルが衰える
現場を離れて他職種に転職すると、知識やスキルが衰えてしまいます。
医療・看護業界の変化は日進月歩です。常に新たな薬剤や医療機器、それに伴う処置や決まり事に至るまで常に変化しています。そのため、数ヶ月離れるだけでも浦島太郎状態になったと感じる人もいます。
例えば、育児休暇後に復帰した看護師がついていけないと辞めてしまう理由には、このような事情があるからです。実際、私も育児休暇から復帰するが、1年以内に退職していく方を何人も見てきました。
看護師の仕事はそれほどまでに激しく変化する厳しい世界なのです。他職種に転職し、月日が経過するに連れて、現場で培った知識やスキルは衰えたり、風化したりしていきます。
3. やりがいを感じない
他職種に無事転職できても、やりがいを感じられない方もいます。
看護師として働くメリットとして、患者から直接感謝されることが挙げられます。誰かに直接感謝される仕事は他に少ないのではないでしょうか。
患者から感謝され回復して退院する姿を見たりすると、他には変えがたい「喜び」や「やりがい」を感じます。また命を救ったという達成感もやりがいを感じさせてくれるでしょう。
このことより、転職後の仕事にやりがいを感じないと不満を持つ可能性もあるのです。
【要注意】男性看護師が他職種に転職する際の4つのポイント
男性看護師が他職種に転職する場合の注意点は、以下の4つです。
- 男性が多い職種を選ぶ
- 資格やキャリアを活かした仕事を選ぶ
- 看護師も選択肢に加える
- 転職エージェントを活用する
これらの注意点を押さえておくと、転職先に納得した状態で採用試験を受けられます。
1. 男性が多い職種を選ぶ
男性社員の多い職種を選びましょう。
特に看護師として働く中で、女性社会に馴染めず、人間関係に苦労した方は必ず押さえておくべき注意点でしょう。
例えば、メンズ美容クリニックや医療機器メーカーの営業担当者などがおすすめです。男性が多い職場であり、女性との人間関係のトラブルになるリスクを軽減できます。
看護師の仕事自体が好きなら、精神科病院・訪問看護など男性が多い職場を狙うのも良いでしょう。人間関係が悪いと仕事自体が辛くなります。男性同士でしか理解できない悩みもあり、相談相手を増やす意味でもおすすめです。
2. 資格やキャリアを活かした仕事を選ぶ
看護師の資格やキャリアを活かした職種を選ぶと、これまでの経験が無駄にならないでしょう。
臨床現場で培った看護知識やスキルは、他では学べないあなただけの財産です。そして資格とキャリアは転職の武器にもなります。
資格やキャリアが活かせる職種は、以下の通りです。
- CRC(治験コーディネーター)
- ケアマネージャー
- 産業看護師
医療・看護の視点がないと務まりません。また女性のように妊娠・出産などのライフイベントの少ない男性なら長期的な採用も期待できるため、安定した収入を得られるでしょう。
3. 看護師も選択肢に加える
看護師としての転職を考慮しましょう。
現職場の人間関係や雇用条件に不満があるだけなら、看護師としてのキャリアを諦める必要はないからです。
例えば、病棟業務に馴染めないなら訪問看護師や献血センターへ、夜勤に不満があるなら外来へ異動希望を出すのも良いでしょう。転職理由が職場環境を変えて解決するものなら、看護師として働き続ける選択肢を持っても良いでしょう。
4. 転職エージェントを活用する
他職種へ転職するときは、転職エージェントを利用することをおすすめします。
業界が変われば、求職者に求めるスキルや経験も異なるからです。特に医療業界しか経験がない看護師にとって他業界の分析は負担の大きな作業になるでしょう。加えて求人を探すとなると、忙しい看護業務と並行するのは大変です。
転職エージェントなら、全国の医療機関以外にも一般企業の求人を多数保有しています。そのため具体的な希望条件を提示しておくと、あなたに最適な求人を紹介してくれます。
また書類作成や面接の練習などサポート体制も充実しており、 転職の負担を大幅に軽減できるメリットもあります。
職場に受け入れられる男性看護師になる方法
職場に馴染めないという理由で転職を考えている男性看護師には、まだ改善の余地があります。男性看護師はまだまだ少数派であり、職場の雰囲気に馴染めないと孤立して辛い思いをすることもあります。
そこでこの章では、職場で受け入れられる男性看護師になる方法を3つ紹介します。
- 性別の違いを理由にしない
- 陰口や噂話には入らない
- 男性の多い診療科に異動
今の職場で看護師を続けられる可能性も十分にあるので、ぜひ最後までご覧ください。
1. 性別の違いを言い訳にしない
性別の違いを言い訳にしてはいけません。
看護師として働く以上プロであり、性別による差異は関係ないからです。
男性看護師には、女性患者からの拒否は付き物です。その場合は、「自分は無力だ」と卑屈になってしまいます。
しかし、男性看護師にも頼られる場面は沢山あります。例えば、力仕事や精神疾患患者への対応などがあるでしょう。
性別の垣根を越えて協力し合うことで、職場に受け入れられる看護師として成長できます。また、患者にとって最良の看護を提供することにもつながるのです。
2. 陰口や噂話には加わらない
陰口や噂話には加わらないようにしましょう。
忙しい職場だからこそ陰口や噂話の一つや二つはあります。そこで男性看護師も一緒になって話していると、表沙汰になり都合が悪くなった時に悪目立ちをします。
また、人の悪口を言っていると周囲は「陰で私のことも言われているだろう」と感じてしまい、信頼を失いかねません。 悪口や噂話を持ちかけられた際は、他の話に切り替えたり、共感はせず聞き流したりしましょう。
また、相手の話にオウム返しをすると、悪口や噂話を流しつつ、聞いてほしいという相手の欲求も満たせます。さじ加減が難しいですが、自分なりに上手く付き合っていく方法を考えてみましょう。
3. 男性の多い診療科を希望する
男性看護師の多い診療科を希望する方法もあります。
需要が高い診療科には男性看護師の配置が多く、受け入れ体制も整っているからです。
男性である強みを活かして、積極的に業務を行えば頼り甲斐のあるスタッフとして重宝されます。特に女性の多い看護師の職場において、力仕事ができる男性は受けが良く、職場の雰囲気に馴染みやすいでしょう。
男性の多い診療科は、以下の通りです。勤務先にもよるので、参考程度にご覧ください。
- 救命救急センター
- 手術室
- 一般外科
- 精神科
- 整形外科
また男性スタッフが多いと気軽に相談できる相手も増え、職場での悩みやストレスを解消しやすいメリットもあります。
男性看護師が受け入れてもらいやすい診療科を希望し、自分らしく働ける環境を手に入れるのも良いでしょう。
まとめ:看護師資格やキャリアを強みに変えられる職場がある
以上、男性看護師の転職先におすすめの他職種についてメリット・デメリットを踏まえながら、詳しく解説しました。
要点を以下にまとめます。
- 医療現場以外にも「男性」「看護師資格」を活かせる仕事はある
- 転職で人間関係や同性の相談相手が増えるメリットがある
- 給料が下がるデメリットもあるため転職先を選ぶ際の注意が必要
- 他職種ならエージェントを活用するとスムーズに転職できる
- 職場に受け入れられるためには性別の違いを言い訳にしないことが重要
看護業界においては、まだまだ男性は少数派です。そのため肩身が狭いと感じたり、上手く馴染めなかったりする人がいるのも事実です。しかし、医療機関だけが職場ではありません。
看護師資格は他職種への転職にも活かせる強みがあります。自分に合った職場を見つけるためには転職という選択肢もあるのです。
また男性看護師を続けたいと感じているなら、職場に受け入れられなければいけません。そのためには、性別を言い訳にせず、今あなたにできる仕事に積極的に参加して信頼を勝ち取りましょう。
転職の有無に関わらず、あなたが仕事を続けられるための参考になれば幸いです。
この記事を書いた人
秋山 京洋
広島県立三次看護専門学校卒業。看護師免許取得。小児科や一般外科病棟を経験。現在は臨床で培った知識やスキルを活かしてライターとして活動中。執筆業以外にもKindle本の出版や絵本制作など精力的に活動の場を広げている。