看護師のキャリアアップに有用なおすすめの資格13選!難易度やおすすめ度もご紹介

看護師として経験を重ね、そろそろ次のステージにいきたいと考えている人もいるでしょう。看護師のキャリアアップに有用な資格として有名なのが、専門看護師や認定看護師などです。しかし、キャリアアップ時に有用な資格はそれだけではありません。

そのほか、各学会で定められている資格もキャリアアップに有用なものがたくさんあります。そんな、看護師のキャリアアップのために取っておくといい資格についてご紹介していきます。

また、キャリアアップのための資格取得には、専門分野での経験が必要など要件があるものもあります。早いうちから、どんな資格を取りたいか目星をつけ、資格取得のための準備をしておきましょう。

看護師のキャリアアップにおすすめの資格

看護師のキャリアアップにおすすめの資格について、以下にまとめました。国家資格以外のものもご紹介しているので、参考にしてみてください。

1.専門看護師

見学する看護師

【専門看護師の役割】

専門看護師は、専門看護分野において以下の6つの役割を果たします。

・個人、家族及び集団に対して卓越した看護を実践する。(実践)
・看護者を含むケア提供者に対しコンサルテーションを行う。(相談)
・必要なケアが円滑に行われるために、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う。(調整)
・個人、家族及び集団の権利を守るために、
 倫理的な問題や葛藤の解決を図る。(倫理調整)
・看護者に対しケアを向上させるため教育的役割を果たす。(教育)
・専門知識及び技術の向上並びに開発を図るために、実践の場における研究活動を行う。(研究)

専門看護師は「調整」「倫理調整」「研究」といったことも役割としてあります。

【資格要件】

・看護師の資格を持っていること
・看護系大学院修士課程修了者で日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位(総計26単位または38単位)を取得していること
・実務研修が通算5年以上あり、うち3年間以上は専門看護分野の実務研修であること


【資格取得のメリット】

・活動の場が広がる
・高い専門的な知識や技術が身につく
・人材育成やコーディネーター役を専門看護師とうたって活動ができる
・病院など職場以外の人脈が広がる
・看護のスペシャリストとして患者さんに安心感を与えられる
・夜勤などが免除になり、待遇面で良くなる
・昇進につながる


【資格を活かせる場】

・病院、訪問看護ステーションなど、専門分野のさまざまな場所で活躍できます。


【専門分野】

・がん看護
・精神看護
・地域看護
・老人看護
・小児看護
・母性看護
・慢性疾患看護
・急性・重傷患者看護
・感染症看護
・家族看護
・在宅看護
・遺伝看護
・災害看護
・放射線看護


【費用】

・大学院での授業料:年間約1000,000円/2年間で約2000,000万円
・認定審査料:50,000円
・認定料:50,000円
※5年ごとの更新時にも、審査料・認定料が50,000円ずつかかります。

【難易度】★★★★★
【おすすめ度】★★★☆☆

プロフェッショナルになりたい方や看護研究をしたい方には、向いている資格です。資格を持っていると、看護師としての信頼度も増します。しかし、資格取得のために大学院へ行かないといけないことや5年ごとの更新があるため、おすすめ度としては少し低くなります。

2.認定看護師


【認定看護師の役割】

認定看護師は特定の看護分野において、以下の3つの役割を果たします。

・個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、
 熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を実践する。(実践)
・看護実践を通して看護職に対し指導を行う。(指導)
・看護職等に対しコンサルテーションを行う。(相談)

看護を実施していると、問題や疑問に直面することが多々あります。
そんな、問題や疑問を抱いている看護師や患者、その家族に対して認定看護分野の専門的な知識をもって、支援していくのが認定看護師です。


【資格要件】

・看護師資格を持っていること
・看護師免許取得後、実務研修が通算5年以上あること
 (うち3年以上は認定看護分野の実務研修)

【資格取得のプロセス】

【1】実務研修の要件を見たしたのちに認定看護師教育機関入学と修了

【2】認定看護師認定審査

【3】認定看護師認定証交付・登録


【資格取得のメリット】

・高い知識と技術が身につく
・活躍の場が広がる
・夜勤が減ったり免除になることがある
・給料が上がる
・昇進にプラスになる


【資格を活かせる場】

・病院や訪問看護ステーション、クリニックなどそれぞれの専門分野の場で、活かすことが可能です。


【専門分野】

・救急看護
・皮膚・排泄ケア
・集中ケア
・緩和ケア
・がん化学療法看護
・がん性疼痛看護
・訪問看護
・感染管理
・糖尿病看護
・不妊症看護
・新生児集中ケア
・透析看護
・手術看護
・乳がん看護
・摂食・嚥下障害看護
・小児救急看護
・認知症看護
・脳卒中リハビリテーション看護
・がん放射線療法看護
・慢性呼吸器疾患看護
・慢性心不全看護


【費用】

・認定看護師教育機関での授業料や実習費用など:合計約1000,000円程度
・審査料:30,800円
・認定料:20,900円

【難易度】★★★★☆
【おすすめ度】★★★☆☆

認定看護師教育機関で学ぶことで取得できる資格のため、専門看護師に比べると難易度は下がります。しかし、認定看護師はその分野でのプロフェッショナルとなる資格です。認定看護師教育機関への通学のため休職が必要だったり、認定審査があったりと専門看護師と同じくらいの努力が必要になります。また、専門看護師と同様に5年ごとの更新が必要になります。

3.介護支援専門員(ケアマネージャー)


【介護支援専門員の役割】

介護支援専門員の定義は以下のようになります。

介護支援専門員は、同法第7条第5項において『要介護者又は要支援者(以下、要介護者等)からの相談に応じ、及び要介護者等がその心身の状況等に応じ各種サービス事業を行う者等との連絡調整等を行う者であって、要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識及び技術を有するものとして介護支援専門員証の交付を受けたもの。

介護保険制度のもとで、ケアマネジメントを行う人のことです。
介護保険制度を使った介護サービスが必要な人と、サービス事業者をつなぐ役割があります。


【受験資格】

・医師・歯科医師・薬剤師・保健師・助産師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士・視能訓練士・義肢装具士・歯科衛生士・言語聴覚士・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師・栄養士(管理栄養士含む)・精神保健福祉士のいずれかを保有し、これらの国家資格に基づく業務の実務経験が通算5年以上であり、従事した日数が900日以上ある人。

・生活相談員・支援相談員・相談支援専門員・主任相談支援員として、受験資格に定められる相談援助業務に通算5年以上の従事期間があり、900日以上の従事日数がある人。



【資格取得のプロセス】

介護支援専門員になるには、試験に合格後研修を受けて、はじめて資格をもらうことができます。したがって、介護支援専門員は資格取得のための試験ではなく、研修を受けるための試験になります。


【資格取得のメリット】

・業務中に介護支援専門員と話をする際に、介護保険についての知識があることで、スムーズに話ができる
・看護師だけでなく介護支援専門員として、活躍することも可能


【資格を活かせる場】

・病院では、在宅復帰支援に携わる部署
・デイサービスや介護施設・訪問看護などの在宅支援サービスでは、とくに介護支援専門員とのかかわりが多いため、知識を生かすことが可能です。


【費用】

〈介護支援専門員試験の勉強にかかる費用〉

・通信講座の場合:約30,000円~40,000円
・通学口座の場合:約40,000円~80,000円
・独学(参考書使用)の場合:2,000円~7,000円
・受験費用:約7,800円~14,000円程度(都道府県によって異なる)
・研修費用:30,000円~70,000円(都道府県によっては受験費用のみのところもある)
※5年ごとに更新が必要で、更新時にも約40,000円〜70,000円程度の費用がかかります。
これも都道府県によって異なります。

【難易度】★★★★☆
【おすすめ度】★★☆☆☆

ケアマネの資格は、病棟で在宅復帰支援に携わっていたり、介護施設や訪問看護で働いている人は取っておくと、ケアマネとの話がスムーズにすることができ、おすすめです。
しかし、普通に病棟の看護師として働いている場合は、あまりケアマネの知識は必要ないため、おすすめ度は低くなります。将来、在宅支援に興味を持っている人は取っておいてもいいかも知れません。しかし、介護保険法は3年ごとに改正があるため、直近で取った後も日々、新しい知識を入れていく必要があります。

4.臨床心理士

【臨床心理士とは】

「臨床心理士」とは、臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間の“こころ”の問題にアプローチする“心の専門家”です。

引用:日本臨床心理士資格認定協会


【受験資格】

・指定大学院(1種・2種)を修了し、所定の条件を充足している者
・臨床心理士養成に関する専門職大学院を修了した者
・諸外国で指定大学院と同等以上の教育歴があり、
 修了後の日本国内における心理臨床経験2年以上を有する者
・医師免許取得者で、取得後、心理臨床経験2年以上を有する者  など


【資格取得のプロセス】

臨床心理士になるには、日本臨床心理資格協会の認定試験に合格する必要があります。そのためには、日本臨床心理士認定協会の受験資格を満たしている必要があります。
看護師が臨床心理士の資格を取ろうと思った場合は、指定大学院の所定の条件を満たすという受験資格が一番有用でしょう。


【資格取得のメリット】

病院や介護・福祉現場・訪問看護などの現場で、ケアなどとともにメンタルサポートも合わせて行うことができます。


【資格を活かせる場】

病院でのカウンセリングだけでなく、教育現場でのメンタルサポートや企業でのカウンセリング、産業分野での面接やコンサルテーションなど活動の幅が看護師以外でも広がります。


【費用】

〈大学院の費用〉

・国公立の場合:入学金282,000円・授業料535,800円(年間)
・私立の場合:入学金150,000~200,000円程度・授業料500,000~700,000円(年間)
・そのほか、数万円~100,000円台程度の施設費などが別途必要になることが多い

〈資格試験費用〉

・認定試験の受験申請書類の請求:1500円
・資格審査料:30,000円
・登録料:50,000円

【難易度】★★★★★
【おすすめ度】★★★☆☆

臨床心理士の知識や技術は、看護師として病棟・訪問看護・介護施設などどこで働いていても、活用できるものです。しかし、取得には指定の大学院を卒業し、認定試験を受けたのちに合格することが必要になります。看護師の専門学校や短大を卒業している人は、大学の学士課程を摂ることが必要になるため、難易度が上がってきます。ただし、学士課程は放送大学などでもとれるため、患者の精神的なサポートまで行いたい方は、チャレンジしてみるのがおすすめです。

5.3学会呼吸療法士


【資格の概要】

日本胸部外科学会・日本呼吸器学会・日本麻酔科学会の3学会が合同で認定している資格のことを言います。

酸素療法や呼吸理学療法、人工呼吸などが、発展してきている中で、呼吸療法についての知識や技術に精通した人が少ないのが、現状です。したがって、呼吸療法について精通した人を育成し、呼吸療法の習熟とレベルの向上・維持を目的に創設された資格が「3学会呼吸療法士」です。


【受講要件】

受講要件としては以下の5つの資格を持っていることと、実務経験が必要になります。

・臨床工学技士:実技経験年数2年以上
・看護師:実技経験年数2年以上
・准看護師:実技経験年数3年以上
・理学療法士:実技経験年数2年以上
・作業療法士:実技経験年数2年以上


【資格取得のメリット】

・呼吸療法に関しての高い知識と技術を身に付けることができる
・患者さんに自信をもって介入できる
・呼吸器のスペシャリストとして患者さんに安心感を与えられる


【資格を活かせる場】

やはり一番は呼吸器科を扱う医療機関です。そのほか、訪問看護でも在宅酸素を使っている方も多いので、活かせるでしょう。


【費用】

・受講料:20,000円
・認定試験料:10,000円

【難易度】★★★☆☆
【おすすめ度】★★★☆☆

特に3学会呼吸療法士を取るとおすすめなのは、呼吸器の患者を扱うところで働いている看護師です。しかし、呼吸器疾患の病棟でなくても、既往歴に呼吸器疾患を持っている方が入院してくることも多々あります。そんなときに、呼吸療法を知っていれば現疾患だけでなく、既往歴に持っている疾患まで、まんべんなくみることができるでしょう。

6.不妊カウンセラー


【資格の概要】

不妊で悩んでいる人々に対して、妊娠・出産や不妊に関する適切な情報提供活動を行い、カップルが最適の不妊治療を選択することができるよう不妊カウンセリング・ケアの実践や研究活動を行う。本学会の認定基準を満たし、不妊カウンセラーの認定資格を得た、妊娠・出産や不妊に関連する仕事や活動に従事している者が望ましい。


【資格要件】

・日本不妊カウンセリング学会の会員であること
・初回受講から5年以内に認定を受けること
・その他「妊娠・出産や不妊に関する仕事や活動に従事している者が望ましい」とはありますが、とくに大学院での勉強が必要であったり、必要な資格などはなく、誰でもチャレンジできる資格です。


【資格取得のプロセス】

不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター養成講座を3回受講し、認定試験に合格すること


【資格取得のメリット】

不妊で悩んでいる人に対して、高い知識と技術を持ってカウンセリングなどメンタルサポートができます。


【資格を活かせる場】

・不妊治療をしている医療機関
・不妊治療専門の病院 など

【費用】

・養成講座費用:33,000円
・認定試験費用:15,000円

【難易度】★★★★☆
【おすすめ度】★★☆☆☆

おすすめ度★2つにしていますが、不妊治療に携わるところで働いている看護師は、★5つです。不妊で悩んでいる方は、治療に対しての身体の負担だけでなく、周りの声やなかなか妊娠できないことに対しての心のケアもとても大切です。したがって、不妊治療専門病院などで勤めている看護師の方が、取っておくととても役に立つでしょう。また、不妊カウンセラーの資格取得には、生殖機能などの知識も必要ですが、不妊治療専門病院に勤めている人に関しては、日ごろ知識として持って働いていることもあり、難易度も他の科の看護師よりは低くなるため、取得もしやすい可能性があります。

7.体外受精コーディネーター

【資格の概要】

不妊治療において、特に体外受精や顕微授精などの高度生殖医療(ART;Assistted Reproductive technology)を受けられる人々に対して、ARTに関する適切な情報提供活動を行い、カップルが最適の不妊治療を選択することができるよう不妊カウンセリング・ケアの実践や研究活動を行う。本学会の認定基準を満たし、体外受精コーディネーターの認定資格を得たART施設に勤務している者が望ましい。


【資格要件】

「体外受精コーディネーターの認定資格を得たART施設に勤務している者が望ましい。」とありますが、とくに経験や必要資格などはないため、不妊カウンセラー同様に誰でもチャレンジできる資格です。


【資格取得のプロセス】

不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター養成講座を3回受講し、認定試験に合格すること


【資格取得のメリット】

医師やエンブリオロジスト(卵子や精子、または受精卵を取り扱う生殖医療の専門家)と同等の知識をもって、不妊治療とくに体外受精を受けようとしている人の相談にのることができる。


【資格を活かせる場】

・体外受精を行っている医療機関
・ART治療を行っている、不妊治療専門の病院


【費用】

・養成講座費用:33,000円
・認定試験費用:15,000円

【難易度】★★★★☆
【おすすめ度】★★☆☆☆

不妊カウンセラー同様に、不妊治療専門病院で特にART治療に力を入れている病院の看護師は、取っておくといいでしょう。ART治療で分からないことがあっても、医師にはなかなか相談しづらい人も多いです。そんなとき、医師と同じような知識を持っている看護師に相談できるのは、患者はとても安心できるでしょう。

8.認知症ケア専門士


【資格の概要】

認知症ケアに対する優れた学識と高度の技能、および倫理観を備えた専門技術士を養成し、わが国における認知症ケア技術の向上ならびに保健・福祉に貢献することを目的として設立された資格です。


【受験要件】

認知症ケア専門士認定試験を受けるには、試験実施より過去10年の間に認知症ケアに関する施設、団体、機関などで認知症の方に携わる実務経験が3年以上あることが必要。とくに必要な資格はありません。


【資格取得のプロセス】

・「認知症ケア標準テキスト」を使って勉強
・1次試験(1次試験は4分野に分けて受験が可能。ただし、すべての分野での合格が必要)
・2次試験(論述:事例問題に対する論述、面接:6人1グループでディスカッションとスピーチ)


【資格取得のメリット】

・最近では知名度の上がってきた資格のため、就職や転職で有利
・ご家族に対して、専門的な知識を持ってアドバイスができる
・実際に認知症の方と接するときに、高い知識や技術をもって対応できる

【資格を活かせる場】

・認知症を扱う医療施設や介護施設(グループホームなど)


【費用】

〈受験料〉
・1次試験:1分野3,000円×4=12,000円(分けて受験可能)
・2次試験:8,000円
・登録申請料:15,000円
※5年ごとの更新料:10,000円

【難易度】★★★★★
【おすすめ度】★★★★☆

現在、認知症の方が増えています。入院してくる方で認知症を患っている方も多いです。

特に認知症の方は、環境の変化に敏感で入院すると不穏になり、ケアが大変ということも多いでしょう。そんなときに認知症の対応のスペシャリストである、認知症ケア専門士の資格を持った看護師がいることで、認知症の方の困る周辺症状にも的確に対応でき、落ち着いた入院生活を送っていただくことも可能になります。

9.栄養サポートチーム(NST)専門療法士


【資格の概要】

本認定資格制度は、本学会の定める所定の条件を満たした者を、主として静脈栄養・経腸栄養を用いた臨床栄養学に関する優れた知識と技能を有しているとみなしNST専門療法士として認定するものである。

栄養療法についてより高い知識と技術を持って、低栄養状態などの患者のサポートを他の職種と連携を取りながら、おこなっていく資格です。


【資格要件】

・管理栄養士・看護師・薬剤師・臨床検査技師・言語聴覚士・理学療法士・作業療法士・歯科衛生士・診療放射線技師の資格を持っていること
・5年以上、医療・福祉施設に勤務し、そのなかで栄養サポートに関する業務を経験していること
・日本臨床栄養代謝学会の指定する学会やセミナーに参加していること(合計30単位以上)
 〇必須単位
  同学会の学術集会1回以上、同学会主催のNST専門療法士受験必須セミナー1回以上(1回につき各10単位)。
 〇選択単位
  同学会が認める栄養に関する学会、研究会など(1回につき各2~5単位)「バーチャル臨床栄養カレッジ」(修了で10単位)
・認定された教育施設(全国300施設) で合計40時間の実地修練を受け、栄養管理に当たった症例の報告書を作成する
・年1回行われている認定試験を受験し、合格する


【資格取得のプロセス】

・医療機関などで5年以上栄養サポートに関する業務を行う
・セミナーに参加する
・認定教育施設で40時間の実地修練を行う
・認定試験を受験し、合格する
・学会に認定申請書を提出


【資格取得のメリット】

・より高い知識や技術を持って栄養療法に取り組むことができる
・資格を持っていることで、栄養サポートチームで意見を発するときの信頼度が増す
・キャリアアップや昇給が望める

【資格を活かせる場】

・栄養管理を必要とする、医療機関や介護施設など。

【費用】

・受験料:10,000円
・認定料:20,000円
※5年ごとの更新料:10,000円

【難易度】★★★★☆
【おすすめ度】★★★★★

5年以上の栄養サポートの経験やセミナーへの参加、実地修練など、資格取得にはさまざまな要件が必要です。しかし、栄養サポートは病棟だけでなく介護施設や訪問看護など様々な現場で活用できます。大変ですが、取得しておくとどの現場に行っても重宝される看護師になれます。

10.リンパ浮腫療法士


【資格の概要】

リンパ浮腫療法士 (Lymphedema Therapist : LT) とは、医療従事者として、リンパ浮腫の複合的治療を中心にリンパ浮腫の診療に従事するに必要な、専門知識・技術水準をもった専門家です。


【受験資格】

以下 1. 〜 4. の資格要件を全て満たしていること

  1. 日本国における、医師・看護師・理学療法士・作業療法士・あん摩マッサージ指圧師のいずれかの資格を有していること
  2. 上記資格取得後、下記の実務経験を有していること
    医師・看護師・理学療法士・作業療法士・あん摩マッサージ指圧師としての業務 : 2年以上
  3. リンパ浮腫治療に関する研修を修了していること
  4. リンパ浮腫外来及びそれに準ずる医療機関にて臨床経験 を満たしている者で、3.にあげる研修を修了後にリンパ浮腫の実施症例を5例以上積んでいること。(延べ人数ではなく、最低5症例)


【資格取得のプロセス】

・リンパ浮腫治療に関する研修を修了する
・リンパ浮腫に対する治療や指導の実施症例を5例経験する
・受験の申し込みを提出し、書類選考の通過
・認定試験を受験
・認定登録をする


【資格取得のメリット】

リンパ浮腫は、がん末期に起こるリンパ液が体内に溜まってしまった状態です。そんな方の苦痛を軽減させ、苦痛緩和を図ることができます。
また、専門的な知識を使って患者本人に指導をすることも可能です。


【資格を活かせる場】

・リンパ浮腫で困っている方がいる医療機関や介護施設、訪問看護など。


【費用】

・受験料:15,000円
・認定登録料:20,000円

【難易度】★★★☆☆
【おすすめ度】★★☆☆☆

リンパ浮腫療法士は、リンパ浮腫の方に対してケアをする人のことを言います。リンパ浮腫は、がん末期の方に多い症状のため、がん治療に携わる方におすすめの資格です。最近では、がん末期の方が自宅に帰って、自宅で看取られる方も多くなっています。訪問看護師の訪問先でもみることもあります。したがって、がん治療病棟の看護師だけでなく、訪問看護師も取っておくと役に立つでしょう。

11.慢性腎臓病療養指導看護師


【資格の概要】

熟練した 看護技術と知識を用いて水準の高い看護実践のできる慢性腎臓病療養指導看護師を養成する目的で導入された資格制度です。

役割としては、以下のようなものがあります。

  1. 慢性腎臓病療養生活支援において個別的ケアの実践と評価ができる
  2. 慢性腎臓病療養生活支援に関する知識と技術を持ち、安全で安楽な療養環境を提供できる
  3. 患者・家族の長期療養生活を効果的に支援できる
  4. 実践的モデルを示すことによって医療チームのリーダーシップを発揮する
  5. 慢性腎臓病看護の質向上に主体的に取り組める。


【受験資格】

下記6項目を満たす者

  1. 日本国の看護師免許を有すること(准看護師は不可)
  2. 一般社団法人 日本腎不全看護学会正会員歴が通算して3年以上あること
  3. 慢性腎臓病看護領域実務経験が年度末(8月31日)の時点で通算3年以上あること
  4. 看護実務経験が8月31日現在で通算5年以上あること(慢性腎臓病看護領域実務経験3年以上を含む)
    (実務経験は、申請時ではなく、8月31日(年度末)での見込みも可。)
  5. 慢性腎臓病看護領域(CDK・血液透析・腹膜透析・腎移植)の看護実践事例報告を1例提出のこと(管理的業務に従事している場合は看護管理事例を1事例提出するのも可とする)
  6. 受験資格ポイントが20ポイント以上取得できていること
    ポイント取得対象の学術集会・セミナーなどの参加証または領収書(ともに氏名が確認できるもの)を受験申請時まで保管し、証拠書類として提出する。


【資格取得のメリット】

・認定看護師のように休職して資格を取る必要がない
・病棟看護師と同じ扱いになることが多く、日勤のみで働く他の看護師よりも給料が高くなる傾向にある。
・慢性腎臓病や透析などに対してより専門的な知識や技術を持って看護を行うことができる。


【資格を活かせる場】

・慢性腎臓病を扱う医療機関や訪問看護ステーションなど
※5年ごとの更新があるため、取得後転職時には更新の要件に当てはまるところへの勤務になるよう注意が必要です。


【費用】

・受験料:30,000円
・登録料:10,000円

【難易度】★★★☆☆
【おすすめ度】★★★★☆

慢性腎臓病療養指導看護師は、泌尿器科や透析の看護師の方におすすめの資格です。しかし、入院してくる患者の中には、既往歴に腎不全がある方もいるでしょう。したがって、すべての看護師が持っておいていい資格といえます。特に、訪問看護師は腎不全の方や透析をしている方の指導をご自宅ですることも多いので、専門知識があると説得力も合わせ持って指導することが可能です。

12.回復期リハビリテーション看護師


【資格の概要】

回復期リハビリテーションとは、急性期を脱して在宅や職場復帰に向けてのリハビリのことを言います。この回復期リハビリテーションを、専門的な知識や技術を持って患者に行う看護師を回復期リハビリテーション看護師といいます。

目的は以下のようになります。

  1. 回復期リハビリテーションサービスの対象者及びその家族に対する質の高い看護の提供
  2. 回復期リハビリテーション病棟における個人、集団、組織に対するリスクマネジメント
  3. 回復期リハビリテーションサービスにおける多職種との協働とチームアプローチの実践


【要件】

  1. 日本国の看護師の免許を有すること
  2. 当協会の会員施設に所属していること
  3. 看護師の免許を習得後、実務経験が通算 5 年以上あること
  4. 回復期リハビリテーション病棟での看護師としての勤務経験が受講日の時点で原則 1 年以上あること
  5. 施設長もしくは上司(受講者の実践を評価し活動支援を行う立場の役職者)の推薦があること
  6. 回復期リハビリテーション看護に対する強い意欲があること
  7. 全 6 回(合計 18 日間)を通して遅刻・欠席・中抜け・早退なく参加できること


【資格取得までの流れ】

【1】看護委員会 受講可否 審査

【2】受講許可通知(約1か月~1か月半くらい)

【3】受講料の納入完了

【4】第1回目研修会(3日間):第1回目レポート提出
↓ 
【5】第2回目研修会(3日間):第2回目レポート提出
↓ 
【6】第2回目研修会(3日間):第3回目レポート提出
↓ 
【7】第4回目研修会(3日間):第4回目レポート提出
↓ 
【8】第5回目研修会(3日間):第5回目レポート提出
↓ 
【9】第6回目研修会(3日間):第6回目レポート提出
↓ 
【10】修了証郵送 翌年実践レポート提出(回復期リハビリテーション病棟における 4 ヶ月以上の活動報告)

【11】看護委員会 認定審査

【12】理事会承認

【13】合否通知

【14】認定証授与

【15】第1回目の認定更新(5年ごとの更新)


【資格取得のメリット】

・患者の機能回復を間近で見られる
・患者や家族とじっくり関われる
・急な残業が発生しにくい


【資格を活かせる場】

・回復期リハビリを必要とする患者がいる医療機関や介護施設、訪問看護ステーションなど


【費用】

・受講費用:200,000円

【難易度】★☆☆☆☆
【おすすめ度】★★★★☆

受講費用が20万円と少しお高めですが、研修を受けるだけで取得できる資格です。しかも、在宅に戻るためのリハビリが必要になる方は、どの病棟でもいます。また、完璧にできるようになって自宅に帰る人は少ないです。したがって、訪問看護師がこの資格を持っていると、訪問の際に回復期リハビリテーションもご本人や医師、ケアマネなどに提案して行うことも可能でしょう。

13.保健師・助産師

看護師の方でまず取得を考える資格が、保健師・助産師です。
保健師、助産師は看護大学を卒業された方は、看護師の免許取得と同時に取得されている方も多いでしょう。

看護大学卒業時に資格を取得されなかった方や専門学校、短大を卒業された方でも、保健指導をもっとメインにやっていきたいという方は、保健師の資格にチャレンジするのもいいです。
また、妊娠や出産などにもっと深くかかわっていきたいという方は助産師がおすすめです。

どちらも、養成学校があるので保健師助産師の資格を検討されている方は、ぜひ養成学校の受験にチャレンジしてみてください。

【難易度】★★★★★
【おすすめ度】★★★★★

保健師も助産師も、看護師と同じ国家資格のため難易度はMAXです。

しかし、保健師は病院だけでなく、様々な場所で保健指導をすることができます。とくに歳をとって、病棟や訪問看護で働くのが大変になった場合でも、働ける場所が看護師の資格だけよりも広がります。助産師の場合は助産院の開設も可能です。助産師の資格を活かして妊産婦への指導にあたる役割で働くことも可能です。このように看護師としてだけでなく、保健師や助産師は活躍の場所が広がることから、難易度も高いですが、おすすめ度も高い資格です。

まとめ

今回は、看護師のキャリアアップに有用な資格について、解説してきました。今後のキャリアアップのために活かせそうな資格はあったでしょうか。

資格によっては、実務経験が必要なものや5年ごとの更新が必要なものがあります。

看護師として、ますます活躍していきたいと思ったら、自分自身どの分野を極めていきたいのか考え、今回ご紹介した資格にチャレンジしてみてください。

この記事を書いた人

槇田 佳織

神奈川県立衛生短期大学衛生看護科卒業。急性期病棟、慢性期病棟、認知症対応型デイサービスや訪問看護など、いろいろな職場を経験。看護師ライターとして今までの経験を活かし、医療や看護・介護などを中心に執筆している1児の母。今後は小児がんのきょうだい児支援や看護師への支援などについても活動していく予定。

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