仕事や勉強に行き詰まると、なんとなく病院や学校の図書館に行って、それでも「いい本」がないと、足は自然と書店の医学書コーナーに向かってしまいませんか?
看護学生さんや高校生だと、「看護師ってどんな仕事かな?」「どんなことを勉強するのかな?」と、医学書コーナーに足を踏み入れるのかもしれませんね。
書店にいくと医学書コーナーは、少し奥まったところにあることがほとんど。
そこには、タイトルが横文字になっているような小難しいものから、マンガまで、さまざまな医学や看護学に関連する本が並んでいます。
毎月のように、さまざな医学・看護系の書籍が販売されていますので、「◯◯先生、いつ本出してたの?」「こんなにいい本、いつ出たの?」と、思うこともしばしば。
診療科ごとの専門誌は、自分が知りたい分野の最新の医療やガイドライン・学会報告などを知ることができます。しかし、ほとんどの雑誌はその分野について基礎的な理解ができるよになった、2-3年目以降の看護師をターゲットにしていて、看護学生さんや新人看護師さんにはやや難しいのが難点。
反対に、看護学生向けの看護系雑誌は、季節ごとに「就活対策」「国家試験対策」などのテーマを設けています。
新人看護師向けの雑誌も同様で「新卒看護師が気を付けること」や「初めての夜勤」「看護記録の書き方」「採血」など、新人看護師がつまずきやすかったり、苦労するポイントに絞って、具体的な記事を作り、読む人が雑誌を手に取りやすいような工夫がなされています。
看護師は経験年数によって、書籍の選び方に特徴があります。
新人看護師さん、看護学生さんは「タイトル」や「特集」などから、興味関心のあるものを選ぶ傾向にあります。
経験年数がある看護師の場合には、「どんな情報が欲しいか」「自分はなにを解決したいのか」という、問題解決志向型の書籍の探し方になることが多くなります。
新人看護師さんは看護系雑誌をよく読み、経験年数があがってくるとその分野に特化した専門書を読むようになるのは、情報へのアプローチ方法が変化するからなのです。
中堅看護師やベテラン看護師向けの看護雑誌を見かけることがないのは、そういった理由もあるからかもしれませんね。
看護師は毎年たくさんの書籍を読むのですが、自分の関連する診療科や薬・検査以外によく読まれているのは、「コミュニケーション」や「心理学」の記事や書籍です。
書店には、マイナーな診療科の書籍を越えるくらいの、コミュニケーションや心理学の本が溢れています。
「コミュニケーション」や「心理学」本が多過ぎて選べないって思ってはいませんか?
そして、医学・看護系の書籍は一冊あたりの値段が高いのもネックです。
せっかく買ったのであれば、最後まで読みきって活用したいですし、買ってから後悔はしたくないですよね。
そんなあなたのために、この記事では4つのテーマに分け、いま高校生や新人ナースが読むべき書籍を、看護師目線でわかりやすくご紹介していきます。
コミュニケーションの基礎の本5選
まずは誰もが気になる、コミュニケーションの基礎の本を5つご紹介していきます。
コミュニケーションに関する書籍は、医療関係でない人もなやむ人が多いので、ベストセラーも多いのが特徴。
きっとあなたに合った1冊が見つかります。
『人は話し方が9割』/永松 茂久(ながまつ・しげひさ)著/すばる舎
- 2021年1番売れてる会話の本!2020年年間ランキング1位!(日販・ビジネス書/TSUTAYA・書籍総合)
- 「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」特別賞受賞!
昨年話題になったこの1冊。
「タイトルは聞いたことがある」「表紙は見たことがある」という人も多いでしょう。
著者は人材育成のプロ永松茂久さんで、累計発行部数は190万部超の大人気の大ベストセラーなんです。
コミュニケーションの基本は「会話」。
でも、その「会話」がうまくいかなくて、失敗してトラウマがあったり、人と話すことが苦痛だったりと、悩んでいる人は少なくありません。
会話がうまくいけば、もう少し人生がうまくいったり、生きやすいのに…と思ったことは一度や二度では済まない。
そんな会話の苦手意識がかなり強いあなたに、おすすめしたい一冊なんです。
この本は、日常会話を豊かにすることで、人間関係を円満にすることを目的として書かれています。
誰にでも身につけることができる、でも多くの人が気づいていない「ちょっとしたコツ」が会話にはあります。
話し方を少し変えるだけで、仕事もプライベートも恋愛も、すべてが大きく好転する可能性を秘めているのです。
拡張話法や相づちの打ち方、嫌われないための話し方など、すぐに使えそうなテクニックがテンポよくよまとめられています。
ネットサーフィンやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)でみたことがある内容もありますが、わかりやすい言葉で書かれているので、すぐに実践しやすいのです。
過去に会話で失敗したトラウマもあっさり消え去ってしまうくらいに、人と話すことがラクになり、あれほど苦痛だった会話も楽しめるようになります。
どれも今日から実践すれば変化が体感できることばかり。
あなたも、「ちょっとしたコツ」を実践して、会話を楽しんでみませんか?
よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑/大野萌子/サンマーク出版
「こんな言い方しなきゃよかった」
「あ!相手をイラっとさせちゃった」
そんな経験ありませんか?
この本はカウンセラーとして、2万人以上の社会人にコミュニケーションの指導をしてきた大野さんが、人間関係がぐんとスムーズになる「言葉のかけ方」を141例、15章のシーン別にわけて説明しています。
この本で注目してほしいのは、「余計なひと言」「相手のために良かれと思って言ったこと」を相手がどんな風に受けとるのか、具体的に書いてあるという点です。
自分が無意識のうちに発していた言葉も、一歩間違えると人間関係にヒビを入れ、取り返しのつかない状況を招くかもしれません。
さらには、自分が人から言われて「嫌だった」「モヤっとした」ことにも、理由があったということがわかりやすく書かれています。
言いかえの具体例は
×「私のこと、覚えていますか?」
○「あのときお会いした大野です」
自分から名乗ったほうが、相手の気遣いになる
×「つまらないものですが」
○「気持ちばかりですが」
贈り物やお土産を、必要以上に卑下する必要はない
×「疲れてる?」
○「元気だった?」
「疲れてる?」といわれると気持ちが”マイナス思考”に引っ張られる
のように、〇×とその理由がわかりやすく解説。
おなじことを伝えるとしても、言いかえ図鑑を活用すれば「好かれるセリフ」に上手に言い換えることも簡単ですので、実践しやすいですよね。
ぜひ手元に一冊置いて、周りに「好かれる」コミュニケーションを目指しましょう。
テレワーク環境でも成果を出す チームコミュニケーションの教科書/池田朋弘/マイナビ出版
新型コロナウイルス感染症の拡大、緊急事態宣言の発令により世間は一気にリモートワーク・テレワーク・オンランで仕事や勉強を行う社会へシフトしました。
看護師はエッセンシャル・ワーカーのためほとんど経験がないのですが、高校生や看護学生はリモート、オンラインでの授業も増えているのではないでしょうか?
リモートだと外に出なくてもいい、学校に行かなくてもいいというメリットはありますが、実際に逢って話す機会は激減。そのため、「コミュニケーションレス」にもなりやすく、相手がどんな人かわからない、画面を通してだと何を考えているか、自分の対応が正しいかわからない…とあらたなコミュニケーションの課題が産まれています。
授業の形態によっては講義を受けるだけでなく、グループワークもあり、チームメンバー同士のコミュニケーションと信頼関係が重要になる場面もあるでしょう。
まだまだ、リモートでの教育は始まったばかり。
指南書やマニュアルなどはほとんどありません。
この本は、社員のほぼ全員がテレワークをしている企業の実経験に基づいた内容のため、ちょっと大人向けではありますが、実践しやすい内容になっています。
リモートだから効率が悪い、コミュニケーションが難しいのではなく、課題を明確することで具体的な可能になっていく、実践例がたくさん。
リモートで行うグループワークや、オンライン授業のコミュニケーションに悩んでいるのであれば、ぜひ手に取ってほしい、新しいコミュニケーションの手引書です。
対人援助の現場で使える 聴く・伝える・共感する技術 便利帖(現場で使える便利帖)/大谷佳子/翔泳社
コミュニケーションの基本技術は「聴く・伝える・共感する」の3つであることは、あなたも聞いたことがあるのではないでしょうか?
実は、コミュニケーションは雑談とクローズド・クエスチョン、オープンクエスチョン、言い換えと励ましその繰り返しで成り立っています。
その比率と、非言語的コミュニケーションの組み合わせを上手に行っていくことが、実は大変難しいのです。
チェックシートで自分の能力が客観的に評価し、自信があるところ、弱い部分を明確にしたうえで、すぐに学べるのもこの本の魅力です。
さらには、基本技術だけではなく、心理学の知識や新しいコミュニケーションスキルも紹介されているのも、この本の人気が高い理由なんです。
毎日のコミュニケーションに、聴く・伝える・共感する技術を少しずつでもとりいれていく。
そんな小さな変化は、1か月後・半年後・1年後には、全く違うあなたになれる可能性を秘めているのです。
コミュニケーションの専門知識や技術がなくても、内容はわかりやすく・親しみやすく・見やすいので、高校生でも活用できるコミュニケーションの基礎となる1冊です。
相手も自分も大切にするコミュニケーション+社会学/吉井奈々/晃洋書房
コミュニケーション講師の吉井さんは、元男性でありながら、女性として“中学時代の同級生と結婚”をして幸せを手に入れた異色の経歴の持ち主。
水商売やショービジネスという、コミュニケーションが重要視される社会経験から編み出された、スキルが網羅されています。
若い人にこの本をおすすめしたい理由は、ただ一つ!
すべての項目が、世界初!Youtubeでも学べるコミュニケーション本という点です。
文字だけだとなんだかイメージしにくい、わかりにくいという難点を解決してくれるのです。
タイトルのように、コミュニケーションでは「相手も自分も大切にする」ことが、本当は重要です。
相手に上手に伝える、嫌な思いをさせない言葉遣いが大切なのではなく、自分の感情や気持ちも大切にして双方向にストレスのないコミュニケーションを目指していきたいですよね。
できれば、相手の可能性を引き出して、相手を輝かせ、自分も輝いていける、そんなコミュニケーションが理想。
本書はイラストも多く、難しい表現も少ないのであっという間に読むことができ、やってみようと思えるのも魅力。
この本のように、「隙間時間を活用してYoutubeで勉強する」なんていうことができるのも、時代に即した新しい勉強方法なのではないかと思います。
看護師ならではのコミュニケーションの本5選
では、看護師はどんなコミュニケーションの本をよんだらいいの?
そう思ったあなたに、現役看護師が看護師におすすめする、看護師ならではのコミュニケーションの本5選を紹介します。
看護の現場ですぐに役立つ 患者接遇のキホン(ナースのためのスキルアップノート)/三瓶舞記子/秀和システム
この本は人気の『看護師の現場ですぐに役立つ○○のキホン』シリーズのうちの1冊です。
「接遇」って、なんか気難しくて、実践しにくいイメージありませんか?
優しく丁寧に、相手を尊重して…など、教科書的にはあまりにも抽象的すぎて実際にはどうしたらいかわからないという人も多いと思います。
この本では、言葉や立ち居振る舞いなどの実践方法が「看護師業界のあるある」なシチュエーションをベースに事例が構成されているので、臨床で実践するのに役立ちます。
特に、看護学生さんや新人さんなど、コミュニケーションに悩んだり対応に困る場面もたくさんありますよね。そういった時に使える対話形式の事例は役立つことも多いでしょう。
また経験がある看護師でも「技術としての共感」や「患者が嫌なことの伝え方」など、高いコミュニケーションスキルが必要とされる場面では、あたらしいアプローチ方法のヒントがきっと見つかります。
「接遇」を心がけると何がいいのか、患者・看護師双方のメリットも学べますので、「接遇」がよくわからないという人にはぜひ読んでほしい1冊です。
看護師のための 認知症患者さんとのコミュニケーション&“困った行動”にしない対応法/浅野 均(著, 編集), 堀内 ふき(監修)/メディカ出版
病棟で出会うことの多い患者さんのなかで、対応に困るのは「せん妄」や「認知症の患者さん」。
特に高齢化社会では認知症の患者さんも増加の一途をたどっており、大きな社会問題となっています。
臨床の場面では、入院による環境の変化、医療処置、ご本人の体調の悪化により認知機能は大きく低下し、対応が難しくなる患者さんが本当に多いのです。
私たちが対応に困る、理解しにくいと感じる場面には、患者さんなりの理由があります。
誤った対応で患者さんが不安になったり、怒ったり…
そうすると看護師は「この患者さんは手がかかる」「対応が大変」と思ってしまいがちです。
けれども本当は、私たちの問いかけ一つでコミュニケーションは各段にとりやすくなりますし、患者さんの反応も良い方向に変化していきます。
そのためには、認知機能が低下した患者さんを、今よりももう1歩理解して、コミュニケーションが取りやすくなるようにしていきたいですよね。
この本では、臨床現場でよくある事例を取り上げ、対応の“Do&Do not”をひとつひとつわかりやすく解説しています。
患者さんの背景や気持ちだけでなく、認知症患者さんに見えている世界、私たちの言葉をどのように捉えているかなど、いままでよりも踏み込んだ内容になっています。
認知機能が低下したさんの意思と尊厳を守りながらケアするノウハウについて、事例マンガを通して、ぜひ興味を持ち、毎日のケアに役立ててほしいと思います。
ケアする人をケアする本 医療スタッフのための人間関係力/岡山ミサ子/gene
看護師は楽しいのに、患者さんと関わるのは苦痛ではないのに「人間関係に疲れた」と、看護師の世界から離れていく人は後を経ちません。
「人間関係はより良いコミュニケーションから」なんて書いてある本もありますよね。
でも、どれだけコミュニケーションを工夫しても、スキルを駆使しても、どうにもならないことってありませんか?
そんな人間関係に疲れ、どうにもならなくなってしまう前に、できることをこの本では紹介しています。
看護師キャリア40年、看護部長・統括看護部長として17年。
医療職の人材育成に携わってきた岡山さんは、自身の経験と多くの文献から「自分のケアができて、はじめて他人のケアができる」と説いています。
さらには、医療・介護場面で働く人たちは「他人のために貢献したい」という気持ちが優先される人がいる一方、そういう方に多く見られる問題は自分のケア(とくに心理面の部分)に乏しい傾向があるとも言っているのです。
心当たりありませんか?
どんな社会でも人間関係に悩む人は多くいます。
その中でも医療現場は特殊で、医師、管理者、先輩、同僚、患者など360度人間関係といわれています。
特殊な環境と特殊な人間関係は多くの問題を生み出してしまうのです。
さらに、職場の人間関係の悩みには、人それぞれの理由があります。
その多様性も物事を複雑にしていますが、それを知っているだけでも解決に近づくのです。
もし、人間関係、とくにコミュニケーションにまつわる人間関係で悩んでいるののであれば、この本をぜひ手に取ってほしいと思います。
自分を大切にしてあげることで見えてくる物がきっとありますよ。
スピリチュアル・コミュニケーション 医療者のための5つの準備・7つの心得・8つのポイント/岡本拓也/医学書院
授業や臨床で「スピリチュアルケア」「スピリチュアル・ペイン」という言葉を聞いたことがありませんか?
それ以外にも、その患者さんの支えとなるコミュニケーションの方法の一つに「スピリチュアル・コミュニケーション」があります。
スピリチュアルコミュニケーションとは、「人として生きる支えを意識しながら日常のコミュニケーションをはかる」こと。
スピリチュアル・コミュニケーション : 生きる支え(スピリチュアルケア研究講演会)
なんだか難しく聞こえるかもしれませんが、相手の気持ちを意識し、日常的に生きていくことの重要性がわかっていれば、自然にできるとも言われています。
看護師として仕事をしていると、避けて通れない「スピリチュアル・ペイン」。
その対象は終末期のがん患者に限った事ではありません。
生きる希望と尊厳を支えるために、看護師ができることとその心得を、よくある場面や事例を通して、具体的にわかりやすく説明しています。
コミュニケーションのポイントも書かれているので、臨床の現場でコミュニケーションに悩んだときに参考にしやすく、すぐに実践しやすい1冊です。
心理学で生きやすくなる本5選
ちょっと疲れたとき、気持ちが落ち込んだり、悩んだりしたときにその心理を理解したいと心理学の本を読むこともあるかもしれません。
心理学ってなに?と思う超初心者から、心理学をもっと理解したい人まで、厳選した5冊を紹介します。
ゼロからわかる心理学 増補第2版(ニュートン別冊)
科学雑誌といえば『ニュートン』。
ニュートンの特集は、医学や心理学の知識がない一般の人にもわかりやすいように基礎から、最新の知見・研究内容・世界のトレンドまで網羅されているのが特徴。
この本では、「ゼロから」としているように、心理学ってなに?という基礎の基礎から、ピアジェの発達心理学、エリクソンの発達段階、フロイト・ユング・アドラーの心理学など、ちょっと専門的な内容も写真や図を用いて解説しています。
特に、日常生活に役立つ、身近な心理学を網羅しているのもおすすめポイント。
たとえば、
- やらなければいけない仕事があるのに、なぜ、やる気が出ないのか?
- 買い物をするときに「限定品」といわれると、なぜ買いたくなってしまうのか?
そんな、あるあるな日常のできごとが心理学で説明されています。
さらには、「モチベーション」の心理学、「教育」の心理学、「お願い」の心理学、「恋愛」の心理学など具体的なテーマをしぼって、その背景と心理的変化・対処法も網羅されていますので、あなたの気になることが心理学で解決する可能性を秘めています。
また、社会に関する心理学では、新型コロナウイルス感染症を取り巻く社会の心理を解説しています。
「自粛警察」「うわさとデマ」などは、毎日のようにニュースやSNSでも話題になっていましたよね。
うわさやデマがどのような心理で広がるのかが理解できると、集団心理の恐ろしさにも気づくでしょう。
これからの社会で生きていくあなたのためにも、この1冊をとおして、心理の基礎とあなたを取り巻く社会との関連を知って欲しいと思います。
「なるほど!」とわかる マンガはじめての心理学/ゆうきゆう/西東社
この本も心理学の基礎を学んで、応用につなげるための1冊です。
ゆうきゆう医師はカウンセリングを重視したメンタルクリニックの総院長で精神科医です。
ゆうメンタルクリニックは「心が安らぐ」として患者さんにも人気が高いクリニック。
その医師が執筆した、マンガで心理学を理解する本になります。
「なんでここでイライラするんだろう?」「なんでここが気になるんだろう?」という、本格的な心理学の本にはあまり載っていない疑問に対しての答えがまとめられています。
マンガと簡単な解説で構成されているので、心理学の初心者でもわかりやすく、哲学的な要素がすくないので心理学を嫌いにならず身近に感じることができます。
先述したように、素朴な疑問に答える形でマンガが進んでいきますので、「なるほど!」と思いながら実践に移すことができますし、すこしだけ生きやすくなる…そんな一冊です。
眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学/亀田達也
多くのテーマでベストセラーを生み出している『眠れなくなるほど面白い』シリーズから1冊ご紹介します。『眠れなくなるほど面白い 図解 心理学入門』もご多聞にもれず、大人気の1冊。
Amazon Kindleストアの売れ筋ランキングでは2位、さらに心理学1位、心理学入門1位、心理学の読み物でも1位を獲得している今話題の本です。
会社、学校、家庭、友人関係…社会や日常の生活の中で人は何を求め、何を嫌うのか?競争、協力、攻撃、援助―何気ない行動や選択の裏に隠された、集団・組織と個人の心理が見えてくる!
と紹介されているように、社会で起きていること、身近に良く経験するできごとを具体例をあげて解説しています。
「渋谷のハロウィンは何故暴徒化した?」の項目は必見。
「群衆心理」の特徴を元に暴動やデモ活動といった、社会問題に繋がっていくその背景を心理学的視点で解説していて、根拠もわかりやすく提示しています。
人間の心理には色々なパターンがあって、そのパターンには根拠がきちんとあります。
心理に基づいて誰もが行動しているとわかると、自分が集団心理に左右されたり乱されたり、不安に思うことも減っていきます。
1対1だけでない心理学を知りたいあなたに、おススメする1冊です。
高校生からのフロイト漫画講座/コリンヌマイエール/イソップ社
「フロイト」って聞いたことありますか?
どんな心理学の本でも、必ず出てくる「フロイト」「エディプス・コンプレックス」「リビドー」など、多くの理論を説いた100年くらい前に活躍していた精神分析の創始者です。
同じ時期に活躍したユングとの対立や、彼が提唱した精神分析理論を、フロイトの人生と社会的背景を通して、学んでいくことができます。
外国人の方が執筆した本を日本語訳していますが、タイトルにもあるように、高校生でもわかりやすく視覚でもフロイトと心理学を知ることができるようになっています。
フロイトの人生を知ったから生きやすくなると端的に言うことはできませんが、フロイトを知ることで、その他の心理学を理解しやすくなるのも事実。
心理学・精神分析の基礎を知って、心理学に興味を持ってほしいと思います。
世界の心理学50の名著(5分でわかる50の名著シリーズ)(ディスカヴァーリベラルアーツカレッジ)(LIBERAL ARTS COLLEGE)/T・バトラー=ボートン/ ディスカヴァー・トゥエンティワン
心理学の本ってたくさんあるし、何を選んだらいいかわからないって思いませんか?
そんなあなたにおすすめしたいのが、『世界の心理学50の名著』です。
『50の名著』シリーズ は英語版のみで累計30万部を超えるほか、25言語に翻訳されている世界中で大人気のシリーズです。
世界の心理学50の名著は、そのページ数驚異の約600ページ!!
この本には100年委所の歴史を持つ心理学から、50冊の本を厳選しています。
その1冊1冊の要点や関連する考え方・人物・運動などの情報が網羅されていて、その中で興味を持つ1冊を探すことができるのです。
50冊の中に取り上げられているのは、フロイト、アドラー、ユング、ピアジェ、パブロフなど、歴史に名を残す有名な心理学者だけではありません。
神経学者、精神科医、生物学者、経営コンサルタント、ジャーナリスト、沖仲仕(港湾作業員)、暴力問題の専門家、小説家など、最近の有名な著者も含めて多彩な顔ぶれがそろっているのも魅力です。
人間の行動に関する謎は心理学だけで説明がつくような単純なものではないとも考えているので、これだけ幅広い・多彩な著者と著書になっているようですね。
どんな仕事の人でも、どんな年齢の人でもためになるように、一般的にもわかりやすい構成と書籍のラインナップになっているので、高校生でも読みやすい1冊になっています。
ストレス解消になる本5選
最後にご紹介するのは、ストレス解消になる本5選です。
ストレス解消法から考え方・物事の捉え方を変える方法、ストレスを操ってしまう方法までバラエティに富んだ書籍をご紹介します。
超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド /鈴木祐/鉄人社
累計4万8000部を突破したこの本は、世の中に山ほどある「ストレス解消法」のなかから、本当に効く100のメソッドを厳選してまとめています。
どのメソッドもハーバード・スタンフォード・ケンブリッジなどの、世界の一流の研究機関が実証した、エビデンスのはっきりしたものばかり。
エビデンスがはっきりしているので、世界中の企業や学校で実践され、高い成果を挙げているものをさらに著者自身が実践し厳選して紹介しています。
ほかのストレス解消法にありがちな、「著者が推薦する」方法ではないのも魅力ですね。
この本の目的は、「ストレス解消法を知る」のではなく、「ストレス解消法を実践し対策が取れるようになる」ことです。
そのために、超基本のストレス対策から、自分のストレスの根本原因を知り、最後にはストレス解消法をゲーム化して実践するように、メソッドが体系化されています。
実はストレスは、一人一人違うもの。
自分特有のストレスに応じた、自分だけの対策が取れるようになると、怖いものがなくなるのです。
本書では具体的な実践例も紹介しています。
ポジティブ・メモリーズ
アメリカのラトガース大学の研究チームは、まず134人の男女の手をしばらく氷水に浸けさせ、わざと精神的なストレスを与えました。
その後、全体を2つのグループにわけ、以下のような行動を取らせたのです。
- 14秒だけ過去の良い記憶を思い出してもらう(「昔のバケーション」や「誰かにほめられた体験」など)
- 14秒だけ過去の普通の記憶を思い出してもらう(「いつもの食事」や「通勤時間の過ごし方」など)
すると、過去の良い記憶を思い出したグループは、たんに気分が良くなっただけではなく、他グループに比べ「コルチゾール」というストレスホルモンが1割しか増えていませんでした。
コルチゾールは、強いストレスを感じたときに増えるホルモンです。
短期的に増えるのは普通の現象ですが、この状態が長く続くと、風邪を引きやすくなったり心臓病にかかりやすくなったりと、様々な弊害を引き起こします。
つまり、過去の良い記憶を思い出したグループは、主観的なイライラや不安のレベルが減っただけではなく、実際に生理的なストレス反応も変わったわけです。
このメソッドは科学的な根拠も明確ですし、ストレスを感じたときに、自分のココロの中で自分のタイミングで実践できますよね。
短時間で気軽に実践できる100のストレス解消法が網羅されていますので、きっとあなたも取り入れやすい方法が見つかると思います。
ストレスを操るメンタル強化術/メンタリストDaiGo/KADOKAWA
「メンタル」「心理」といえば、メンタリストDaiGoさん。
テレビで見ない日はないくらい、世間の話題にもなりました。
彼が有名になったのは、その明確な科学的根拠と目に見える実践。
「操られている!」と周囲が思ってしまうほど、相手の心理を理解したうえで、彼は行動していたからあれだけ人気が出たんです。
この本はメンタルが弱い人に、自分が抱えているストレスや弱点を活かして、強いメンタルを手に入れるための方法を解説しています。決して、強くなることを強要する本ではありません。
こういった本にありがちな、理論でストレスに対処する方法を身につけさせるのではなく、「瞑想」を活用する方法を勧めているのも魅力。
瞑想といえば「呼吸」が重要視されますが、その際の自分の心のありかたで、さらに深い効果を得られることもくわしく解説されています。
さらには「苦痛を感じる心理状態をどうコントロールしていくか」など、よくあるシチュエーションに対しても、明確な科学的根拠をもつDaiGoさんだからこそ紹介できるメソッドもあります。
いろいろな心理学や自己啓発本ではしっくりこなかったあなたにも、ストレス解消につながる一手がみつかる、期待の1冊です。
多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。/Jam/サンクチュアリ
Twitterで累計50万以上リツイートされたJamさんの話題のマンガが、書籍化された1冊です。
会社・友達だけでなくSNSなど、ここにいない誰かから自分のココロを守る64の考え方が紹介されています。
何かに悩んだり、ストレスを感じているときに、
ココに居ない誰かのことで悩んだり、傷ついたり、嫉妬したり…考えすぎてはいませんか?
ずっと、嫌な気持ちがぐるぐるしていませんか?
悩むことは自分を成長させてくれるという人もいますが、それに縛られたり振り回されてしまうと、心身ともに疲弊してしまいますよね。
そんなあなたに、贈りたいのが
「多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ」
この一言です。
こんなときは、こうとらえたらいいよというアドバイスが、わかりやすく4コマ漫画に集約されています。
心の持ち方、相手のコトバのとらえ方など、もっと気楽でもよかったんだと思える場面ばかり。
とらえ方ひとつ・考え方ひとつで、悩んでいたことがバカバカしくなって、ストレスの元が軽くなるような
「考え方」のヒントが集約されているのです。
どうしようもなく仕事が「しんどい」あなたへ ストレス社会で「考えなくていいこと」リスト/井上智介/KADOKAWA
赤ブチ眼鏡・金髪アフロがトレードマーク、産業医・精神科医・健診医の3つの役割を果たしながら、「ラフな人生をめざすこと」を発信している、井上医師の著書。
井上医師は世の中に「考えなくていいこと」はたくさんある、人間関係やコミュニケーションなどに振り回されず、考えすぎずに生きていく方法がマンガ形式で紹介されています。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、働く環境・生活環境・習慣、人とのかかわりも変化しストレスを感じる場面も多くなっています。
誰もがストレスを感じる現代社会ですが、その度合いはそれぞれ。
あなたが、仕事がしんどくなって、どうしようもないとき。
ストレスで押し潰されそうなときに、あなたの気持ちをわかってくれて、支えてくれる1冊です。
産業医目線だからこその、働く人のストレスにフォーカスした本書。
業種・業界にかかわらず、誰の身近にも「あるある」と思える、そんなエピソードも満載です。
考えなくていいことは、世の中にはたくさんあります。
心を楽にしてくれ、すこしでもしんどくなく生きていけるような、アドバイスたっぷりの1冊です。
どんなにストレスがある人でもス〜っと気持ちが軽くなるアロマヨガ/林ともみ/(ともりんご出版)
最後に紹介するのは、気持ちを軽くするための「行動」をおこすための1冊です。
「ストレスが溜まっている」「リラックスできない」「ストレス解消したい」そう思うあなた、アロマヨガはいかがでしょうか?
アロマヨガはアロマの「香り」とヨガの「ポーズ」の相乗効果で、自分を心身ともにリフレッシュできると世界中で人気が高くなっています。
コロナ禍で外出もままならない、教室に行くことができなくても、この本1冊でアロマヨガのすべてを理解できるのです。
ヨガはいろいろなポーズがありますが、先生のように上手にポーズが取れることが大切なのではありません。
ポーズを意識するだけではなく、呼吸法を取り入れていくと、よりリラックス効果が高まり、ストレス解消に役立ちます。
前述したストレス解消法にも「呼吸法」を取り入れているものがありましたが、実は呼吸って本当に大事なんです。
ストレスがたまると呼吸が浅くなり、手足のすみずみの細胞一つひとつまで、新鮮な酸素を送り届けることができません。
ヨガの呼吸法とポーズによるリラックス効果、お気に入りのアロマの癒し効果の相乗効果で、ストレスを解消していきましょう。
まとめ
たくさんある書籍の中から、厳選20選を看護師目線でご紹介しました。
ちょっと読みたくなる、書店で探してみたくなるような1冊はありましたか?
書籍を探す際におすすめしたいのは、
- 同じ内容でも難しくてわからなければ、マンガで読む
- ベストセラーには理由がある!本が選べない時には、ベストセラーを手に取る
- 本当につらいときは、本を読まず、ゆっくり休む
ということ。
コミュニケーションやストレス解消方法に悩んでいて、本を読んでも頭に内容が入ってこないのであれば、無理をしないで休むことも大切です。
さらには、呼吸法を活用して、カラダもココロもリラックスさせてあげましょう。
そうすれば、あなたが厳選した1冊が、さらにあなたを素敵な人に磨き上げてくれること間違いありません。