看護師が転職を決意するとき。
それは、「清水の舞台から飛び降りる」ような一大決心です。
つらいこと、苦しいこと、悲しいこと…色々なことがあっても、うまく受け流し看護師を続ける人が多い中、「辞める」「転職する」のは大きなエネルギーが必要なのです。
看護師が転職するにはいくつかの理由が挙げられます。
1つ目は、結婚や家族の転勤などで同じ職場で働くことが難しくなった場合
2つ目は、妊娠・出産・子育てで、夜勤やシフト勤務の病院で働くことが難しくなった場合です。
そして、一番多い理由は
「もう、ココでは働けない」そう思ったときです。
では、どのようなときに「ココでは働けない」「辞めたい」と思うのでしょうか?
日本医療労働組合連合会は、1988年以降、約5年に1度実施 「看護職員の労働実態調査」を行っています。
2017年度に回答した3万3,402人の看護師のうち、 「仕事を辞めたい」と「いつも思う」看護師が20.9%、「ときどき思う」看護師が54.0%で、実に74.9%の看護師が、辞めたいと思いながら仕事をしていることがわかりました。
2017年看護職員の労働実態 調査結果報告 日本医療労働組合連合
過去数回の調査結果から、ほとんど変化がなく、このコロナ禍でさらに悪化していることが予測できるのです。
4人のうち1人しか、辞めたいと思っていないという実態、あなたは知っていましたか?
さらには、2020年3月の公益社団法人日本看護協会の報告によると、
- 2018年度の正規雇用看護職員離職率は10.7%
- 2018年度の新卒採用者の離職率は7.8%
- 201年度の既卒採用者(新卒ではない看護職経験者)の離職率は17.7%
となっています。
「2019 年 病院看護実態調査」 結果 正規雇用看護職員の離職率は 10.7%と横ばい – 日本看護協会
正規雇用・新卒採用者・既卒採用者の離職率は、ここ5年くらいは同じ割合で離職する状況が続いています。
新人看護師の離職は社会問題化し、看護協会が改善策に乗り出したこともあり、新人の離職は若干でありますが減少傾向です。
既卒看護師は知識も経験もあり、即戦力になる反面、新卒採用者の倍以上の離職率となっていることも大きな特徴です。
正規雇用職員、とくに「中堅看護師はなぜ離職するのか」について、ある研究結果があります。
その研究結果では、中堅看護師(経験年数3-20年)の離職の要因、離職を思いとどまる要因がいくつかあげられています。
中堅看護師の離職の要因は、
- 多忙な業務と重い責任に関わる問題
- ライフイベントに関わる問題
- 自信喪失・疲弊感に関わる問題
- 人間関係に関わる問題
- キャリアアップ
の5つに分類できた。
また、中堅看護師が離職を思いとどまる要因として、
- 看護への思い・やりがいの再発見
- 自己の対象化による気づき
- ワーク・ライフ・バランスへの配慮
- 周囲からの承認・支え
- スキルアップへの支援
- 仕事を失うことへの懸念
の6つのカテゴリーを得ることができました。
中堅看護師はなぜ離職するのか ―最近5年間の統合的レビュー―
中堅看護師のひとは、心当たりはありませんか?
誰もが離職を思いとどまろうと、さまざまな方策を練っていますが、離職を決意する瞬間はやってきてしまうようです。
何度も繰り返しますが、「転職を考えているのは、あなただけではない」のです。
あなたが転職を決意した時、「看護師」の資格を活かすにしろ、そうでないにしろ、あなたができる仕事は星の数ほどあります。
でも、あなたが興味をもち、働いてみたいと思う転職先はほんの一握りでしょう。
どんな職に就くにせよ、日本で転職活動をする際には、履歴書・職務経歴書などが求められます。
そのときに、何を書いたらよいのか、困ってしまうのが「志望動機」の書き方です。
今回は、はじめて転職活動をする人にも、何度目かの転職活動の人にも役立つ、転職時の志望動機の書き方と、面接で失敗しない方法をわかりやすく解説していきます。
転職時の志望動機の書き方
応募書類に志望動機や志望理由を、なぜ書くのでしょう?
なぜ、面接で聞かれるのでしょうか?
あなたは考えたことがありますか?
なぜ、志望動機が必要か
採用担当者の答えは実に単純で、看護師として転職するのであれば、「病院や施設などの転職先を選んだ理由を知りたいから」。
看護師以外の仕事に就くのであれば、「なぜ、看護師以外の仕事に転職するのか」を知りたいからです。
そして、あなたにとっての理由もあります。
それは「採用してもらうため」その一言に尽きるのです。
志望動機に何を書いていいかわからないからと言って、白紙で出してしまえば、採用担当者も「なにを希望して転職してくるのか」という理由がわかりません。
その結果、採用したいとも面接したいとも思ってくれないかもしれません。
看護師として転職する場合は、慢性的な人材不足ですし、経験豊富な看護師は引く手あまたですので、そういったことも起こりにくいでしょう。
しかし、看護師以外に転職を希望する場合には、面接までたどり着くことができず、いわゆる「お祈りメール」が届いてしまうリスクをはらんでいます。
それを理解するには、看護師が、看護師以外の仕事への転職が厳しい理由を説明しておく必要があるかもしれません。
世間では看護師は給料もよく・やりがいもあり・社会的ステータスも高いと思われているようです。
しかし、実際は3Kきつい・きたない・危険と言われ、長時間労働・サービス残業・人材不足が常態化しています。
コロナ禍では就業中の感染のリスクも高く、普段の勤務よりも何倍もの緊張感と集中力が求められています。感染予防のための2020年1月から継続する医療業界全体の自粛は、看護師だから感染できないというプレッシャーを産み、看護師たちのストレスを増大させています。
夜勤をするのであれば給料は高いのですが、人の命を預かるという点から考えると、実際はそれほど多くの給料を貰ってはいないというのが看護師の本音です。
けれどもそれは、悲しいかな世間の人には一切伝わりません。
「せっかく看護師さんの資格があるのに、なぜ違う仕事をするんですか?」
「看護師さんほど給料はよくありませんよ」
「看護師さんの仕事ほどすごくないですよ」
など、暗に看護師としての再就職をすすめてくる採用担当者もいるくらいなのです。
看護師以外の仕事をしたいと思うのであれば、そういった質問を採用担当者に思わせないくらいの志望動機が必要ですし、明確な理由が相手に伝われば、転職は意外とスムーズにいくものです。
そのためにも、どんな理由があっても、志望動機を白紙で提出することは、絶対にやめるようにしましょう。
志望動機で採用担当者を惹きつける
採用担当者は同業他社が世の中にたくさんあることを知っています。
転職希望者が、複数の転職先と比較検討していること、人によっては複数の転職先と面接していることもわかっています。
採用担当者は志望動機を読むことで、
「なぜ、この病院や企業を選んだのか?」
「何がしたいのか?」
「何ができるのか?」
ということを知りたいと思っています。
志望動機がそのニーズを十分に満たしていれば、あなたに興味・関心を持ってくれるでしょうし、その逆も十分に考えられます。
この段階で、採用担当者をひきつけることができれば、ほぼ転職活動は成功したとも言えるのです。
それはなぜでしょうか?
コミュニケーションの第1歩は相手に興味・関心をもつことです。
興味・関心がなければ、質問もでてきません。
たくさんのライバルがいれば、あなたと本気で面接したいとも思ってくれないかもしれません。
その場合は形だけの面接になってしまい、おのずと結果は不採用となるでしょう。
病院や企業側の採用担当者の本音は、「いま、人が足りないから誰でもいいから採用する」のではありません。
「誰でもいいけど、できることならば、採用することでメリットがあり、魅力的で一緒に働きたいと思う人を採用したい」のです。
採用されたい、採用担当者をひきつけたいと思うのであれば、志望動機はしっかりと検討して回答するべき項目なのです。
志望動機を考えるうえでの注意点
繰り返しになりますが、志望動機や志望理由は、あなたがなぜそこで働きたいか、なぜその仕事につくのかをアピールするための項目です。
転職する人には、前述したような退職・転職に至った理由があります。
そして、ほとんどの人が、その理由をもとに転職先をえらんでいるということを、採用担当者は良く知っています。
そのうえで、ニーズにマッチした人材であるのか、すぐ転職してしまわないかを見極めるためにも、志望動機を重要視しているのです。
志望動機を考えるときに、転職前に大変だったこと・つらかったことなど、マイナスの面がどうしても頭をよぎってしまうでしょう。
そのマイナスの理由と比較して、志望動機を記載していませんか?
今までのマイナスの経験は転職先を検討する際には必要ですが、実際の志望動機を書く際には不要となります。
「以前の職場で経験を積んだ〇〇を活かすことができます。」
「自分は○○ということができます。△△に対し、××という形で活かすことができます」
「自分を採用すれば、こういうメリットがあります」
と、前向きな記載をするほうが、採用担当者の印象はよくなります。
マイナスの経験は、過去の職場に対しての恨み・つらみ・上手くいかなかったことなど、負の感情がふんだんに盛り込まれています。
転職に際して必要なことは、それを糧にして、新しいことに前向きになっているという姿勢をアピールすることですので、注意したいですね。
転職先が複数ある場合に、志望動機を使いまわしている人もいらっしゃるでしょう。
転職先に合わせて考える時間も、余裕もないかもしれません。
けれども、世の中には全く同じ病院・施設・企業はありませんよね。
できるだけ、オリジナルで書けるとよいと思いますし、「転職理由」と「転職先の魅力」そして「あなたの魅力」結び付けて伝えるのも、転職が成功するための大切なポイントです。
説得力のある志望動機のためにリサーチは欠かせない
説得力のある志望動機や志望理由を作るためには、「なぜ選んだのか?」という理由を、明確に答えられることも求められます。
そのためには、ホームページやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)・口コミサイト・転職エージェントから情報収集を行いましょう。
転職先について調べておらず十分に理解していないような、ありきたりの定型文では、採用担当者の興味関心を引くことができませんし、使いまわしの志望動機は絶対にばれてしまいます。
病院に転職する場合には病院としてどのような強みがあり、何に力をいれているのか、どのような看護師を求めているのか、そういった点についても情報収集を行いましょう。
人間関係や残業の有無などは、部署ごとに違っているのが実情です。そのため、実際に働いてみなければわからないことも多く、一般的に病院同士を比較する場合には、給料や福利厚生ばかりに目が行きがちです。
そのようななかで、転職先の病院についての情報が、他の人よりも1歩抜き出ていれば、文章の説得力も格段にアップしますし、採用担当者も一緒に働きたいと思ってくれるに違いありません。
看護師以外の仕事に転職する場合には、重点的に見ておきたい項目があります。
1)SNSを活用しよう!
1つ目はSNSです。
検索エンジンで企業の名前、口コミを検索することはもはや当たり前になっています。
それだけではなく、SNSでも情報を収集してみましょう。
小さなショップやカフェ、中小企業であればホームページはなくても「SNSはやっている」というところも増えてきています。
InstagramやTwitterなどのSNSは、企業自体のPR・商品の販促、製品やサービス・ブランドの認知を向上させるために、戦略的にかつ目的をもって運営しています。
企業としては、ファンや固定客を増やしたいですし、顧客のニーズを把握したいと思っています。
SNSは簡単にその企業が社会に伝えたいことがわかります。
フォロワーが企業にどのようなリアクションをしているか、さらにはそのリアクション対し企業はどのように回答しているか、というお客様と企業の関係性を、転職しなくとも客観的に知ることができます。
誰もが炎上商法で成り立っているような仕事は避けたいですし、お客様との関係が良好で、お客様の立場に立って物事を考えられる企業に就職したいですよね。
中の人にならなくてもその関係性を知ることができるSNSを、ぜひ活用してほしいと思います。
2)ホームページは細部に注目!
2つ目は、転職先のホームページがあれば求人情報のページだけでなく、企業理念や事業計画、年頭所感や社長・代表挨拶などを見ることです。
事業計画、年頭所感であれば年に1回は更新されるでしょうし、社長・代表挨拶に力を入れている企業であれば、四半期ごとに更新している場合もあります。
転職先の企業がいまどのような方向にむかって、どのような人材を求めているのかを、経営者目線で記載されていますので、そのニーズを満たす人材であるということをアピールしていくとよいでしょう。
そのニーズをうまく把握できない・志望動機に反映できていないようであれば、さらにリサーチを重ね、志望動機を具体的にイメージできるようにしていきたいですね。
さらに、転職先のホームページを参考に志望動機を考えたときに多くの人が、「経営理念・ビジョン・モットーに共感しました」と書いてしまいます。
志望動機を通して採用担当者が知りたいと思っているのは、「どこに」共感したかという、具体性です。志望動機に具体性がないと、採用担当者には採用のメリットが伝わらないため、マイナスポイントになります。
もし、志望動機の欄に書ききれないようであれば、「どこに」共感したかということと、「なぜ」共感したのかを、看護感や人生観などあなたらしさと絡めて、面接では自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
そうすれば「自分が看護師の経験を活かして、どのように仕事に取り組みたいか」という意欲と、たとえ未経験・畑違いの仕事であっても経験を活かしながら、「即戦力になる求める人材だ」ということが、きっと伝わると思います。
採用担当者は「志望動機・志望理由」を重視しているという事実
転職サービス「doda」を運営するパーソルキャリア株式会社が、企業の採用担当者に対して行ったアンケートがあります。
その中で「履歴書の記載内容のうち最も重要視する項目」については、図のような結果になっています。
採用担当者は、職歴の次に「志望動機・志望理由」を重要視していることがわかります。
結果として、志望動機は書かないよりは、書いたほうがよさそうですし、書くのであればより思いが伝わる文章を目指していきたいですね。
ここまで読んでみて、「具体的に何を書いたらいいかわからない」「自分の本気度をうまく伝えるにはどうしたらいいかわからない」と思う人もいらっしゃるでしょう。
そんなあなたには、この記事をもう少し読むことをおすすめします。
きっと、あなたにあった志望動機が書けるようになるはずです。
実際に志望動機を書いてみよう
ここまでで、志望動機についてくわしく説明してきました。
ここからは「中堅看護師はなぜ離職するのか」の研究を参考に、転職に至った問題別に志望動機の模範例とその解説をしていきます。
1. 多忙な業務と重い責任にかかわる問題
離職の大きな要因となっている「多忙な業務」と「重い責任」。
通常でも看護師の業務は常に多忙で、特に夜勤では1人で10人以上の患者の受け持ちをすることも、一般病棟では珍しいことではありません。
夜勤中は少ない人数で緊急入院や急変対応が求められ、食事休憩も仮眠休憩さえもとることができず16時間働き通すこともあります。
どのような状況でも、ナースコールはすぐに出なければなりませんし、心電図モニターや呼吸器・点滴のアラームなど、迅速な対応が常に求められます。
医療安全上、安全が担保できないようなひっ迫したギリギリの状況でも、インシデントは回避しなければなりません。
その多忙な業務と責任の重さに現場を離れる看護師は、転職をするときにどのように志望動機を書いたらよいのでしょうか。
「転職前の勤務先は、重症度が高く、業務が多忙で、責任が重かったため退職に至りました」なんて、正直に書く人はいないと思います。
看護師の業務は、どこで働いていても人命を預かる仕事ですので、「責任は重い」のが当たり前。
重症度や業務の多忙さは、看護度や病棟特性、患者の年齢、病棟スタッフの経験年数構成にも大きく左右されます。
もうそんなことはないだろうと、慎重に選んだ転職先でも同じことがおきる可能性は十二分に考えられるので、業務の多忙さに関することを志望動機に盛り込むことはおすすめしません。
重症度が高い外科系の病棟から、内科系に転職したい場合の志望動機を考えて見ましょう。
「外科系が忙しかったから、内科系を希望します」と志望動機に記載するのは、NGだということは、ここまで記事を読んだ方はよくおわかりだと思います。
厚生労働省の発表によると、平成30年12月の平均在院日数は15.9日となっています。
厚生労働省の発表にはありませんが、各病院が公表している平均在院日数を、外科系と内科系で比較してみると、内科系のほうが1.5倍から2倍程度長くなっています。
そのため、外科系病棟ではじっくり患者さんとかかわっていく経験が少ないと感じる看護師も多いようです。
「重症度が高い」ということは、「急性期の患者さんが多かった」と考えることもでき、それだけ専門的な看護を展開したという強みにもなります。
これらを踏まえて
「前職では外科系病棟に勤務し、急性期で重症度の高い患者さんの看護を多く経験しました。
その中で、多くの患者さんは慢性疾患を抱え、手術に臨まれていました。手術をすることで、外科的な病気は治癒しますが、患者さんは慢性疾患とともに人生を歩んでいきます。
慢性疾患の患者さんにとって、外科での入院経験は通過点であることがほとんどです。
外科系病棟の看護師経験を通し、患者さんの人生において、長く付き合っていく慢性疾患に興味をもち、中長期的視点で看護介入やライフイベントに関連した看護支援を行いたいと考えるようになり、内科系を希望しました。」
と、急性期の経験を活かし、慢性期での長い経過を見ていきたいと言い換えてみてはどうでしょうか?
転職を希望する病院が、地域医療や在宅・訪問看護、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)に力をいれているようであれば、大変マッチした内容になるとは思いませんか?
「内科を希望する」を「慢性疾患に興味をもつ」と言い換えることで、志望動機に具体性が出ます。
この部分は、例えば、循環器でも呼吸器でも、整形でもなんでもいいのです。
細かいことを言えば、糖尿病などの具体的な病名でも問題ありません。
「前職では外科系病棟に勤務し、急性期で重症度の高い患者さんの看護を多く経験しました。
その中で、多くの患者さんは慢性疾患を抱え、手術に臨まれていました。手術をすることで、外科的な病気は治癒しますが、患者さんは慢性疾患とともに人生を歩んでいきます。
慢性疾患の患者さんにとって、外科での入院経験は通過点であることがほとんどです。
長い看護師経験のなかで、慢性疾患、特に糖尿病の奥深さ・看護師の関りの重要性に気づきました。
病棟勤務では患者さんと長期的にかかわることは難しく、退院後の糖尿病患者さんの生活・自立支援に関わっていきたいと考えました。
糖尿病治療を専門とする地域密着の医療を提供する貴院で、これまでの経験を活かし、じっくり一人一人の患者さんと向き合っていきたいと考え、志望しました。」
前半部分は、先述した例文と全く同じです。
後半を糖尿病に特化した内容に書き換え、自分の看護の課題と目標・将来のビジョンをまとめ、自分のことだけでなく患者さんと向き合っていきたいことも記載するようにしましょう。
この例文は、疾患名と病院の特徴をかえるだけで、いろいろな診療科・病院で活用することができます。
よろしければ参考にしてくださいね。
とても多忙で責任の重い毎日から、あなたが学んだことはきっとたくさんあると思います。
自分の体験・スキル・実績をいかしたオリジナルな志望動機は、相手にとっても読みやすく、あなたがどんな人か具体的なイメージがしやすくなります。
この点に注意すると、あなたの看護師としての魅力が相手に伝わりやすい、志望動機が完成していきます。
2. ライフイベントに関わる問題
「ライフイベント」と言われて、具体的なイメージはできますか?
ライフイベントとは人が生きているうえで起きることのなかで、影響力が大きな出来事です。
看護師の女性のライフイベントとしてあげられるのが「結婚・妊娠・出産」。
最近で、子供の入園・入学・介護・引っ越し・マイホーム購入も大きなライフイベントと捉えられています。
ライフイベントで転職する場合には、他の理由で転職をするときと異なる志望動機を書くことをおすすめしています。
具体的な構成としては、4つにわけると書きやすくなります。
- 「以前の職場ではどのような経験をしたか」
- 「その経験をもとになにを学んだか」
- 「ライフイベントを通して、看護師の仕事についてどう考えたか」
- 「いま、どうしていきたいか」
急性期病棟に勤務していた看護師が、近くのクリニックへパートとして転職する場合の志望動機を考えてみます。
「〇年間、急性期病棟で勤務し、看護師としてたくさんの経験を積んできました。
特に人工呼吸器を装着する患者さんや、術後の患者さんの一人一人と向き合いながら、早期回復・退院できるようにチーム一丸となって関わっていくことにやりがいを感じていました。
今回、家庭の事情もあり、看護の仕事から離れようと思いましたが、どんな時も自分を支えてくれたのは、看護の仕事を通して得るやりがいと充実感でした。
病棟での勤務は難しくなりましたが、地域に密着した貴院で患者さん一人一人と向き合っていきたいと思い、パートでの就職を希望しています。
慢性期・地域医療への経験は不十分ではありますが、急性期病棟で培った観察力・アセスメント能力を活かし、専門知識・経験を早く身につけ、貴院と地域に貢献できる看護師として、長く働いていきたいと考えています。」
この志望動機のポイントは、「ライフイベントを通して、看護師の仕事についてどう考えたか」という点です。前職を退職した理由、看護への思い、いまどうしていきたいか…それぞれを具体的に記載しています。
さらに、「いま、どうしていきたいか」という点においては、「学ばせてもらう」という受動的な書き方はおすすめできません。
職場は学校ではありませんので、待っていても誰も教えてはくれません。
いくら教育体制が整っているとはいえ、転職してきた看護師を雇う側としては、即戦力として働くメリットがあり足りない分を教育体制で補いつつ、自ら積極的に学習し働いてくれることを求めています。
「未経験でも大丈夫」と書いてあったので、応募したとしても、直接的な記載はさけましょう。
「急性期病棟で培った観察力・アセスメント能力を活かし」のように、活かせるスキルや経験、資格があれば記載すると、具体性もアップします。
そのうえで、「新しい知識や技術を会得したい」「やったことがない業務でも、積極的に取り組みたい」と前向きな姿勢を出していくようにしましょう。そうすれば、たとえ未経験な部分があっても「即戦力でやる気がある」ということは伝わると思います。
3. 自信喪失・疲弊感に関わる問題
あれだけ楽しくて、やりがいがあった看護師の仕事に対して自信をなくしたり、もう疲れてしまって仕事なんてしたくないと思う看護師もたくさんいるでしょう。
そうした場合でも、生活のために仕事をしなければならず、看護師でない仕事を転職先に選ばれるかもしれませんね。
カフェやショップなど、他業種で働く場合には以下のような志望動機がおすすめです。
「長い看護師経験のなかで、緊張と責任に疲れた私を癒してくれたのは、御社のコーヒーでした。
業務終わりにコーヒーを飲むと、本当の私に戻ることができ、疲れを癒し明日への活力を与えてくれていました。
そしていつしか、コーヒーが好きなのではなく、御社で飲むコーヒーが好きなのだということに気づきました。疲れたお客様を癒し、お客様の支えになりたい、そう強く思うようになったのです。
看護師の仕事とは業種は異なりますが、看護師経験で培ったコミュニケーション能力と持ち前の人当たりの良さは、御社は変わっても活かしていけると思っています。
自分が感じたその気持ちを、お客様にも感じていただけるように、一から必要な知識と経験・スキルを身につけ積極的に取り組んでいきます。」
このように、看護師が他の仕事へ転職する場合の志望動機の際には、看護師の経験を通して気づいたこと・学んだことをはじめに書いていきます。
次に、看護師では実現できないこと、転職で実現できることがあれば、書くようにします。
最後に、新しいことを経験したい、学びたいという姿勢を前面に出して、前向きな印象を与えるようにしていきましょう。
異業種では、なぜこの分野に興味を持ったのか、本気で転職したいのかと思われがちです。看護師は世間から高給でやりがいがある仕事と思われているので、転職先で上手くいかなかった場合に、すぐに看護師として再就職してしまわないか警戒されています。
その警戒を解くためにも、転職先にどのような魅力と興味をもち、何を学びたいか短編の物語を読むように書いていけると、採用担当者に好印象を与えることができます。
あくまでもオリジナル・自分らしさが大切ですので、思ってもいないことを書くのだけは辞めましょうね。
4. 人間関係に関わる問題
医療はチームで行っていくとは言え、大なり小なり人間関係の問題はあるもの。
特に、看護師同士の人間関係は複雑で、合わない人との勤務は本当に苦痛ですよね。
いじめや合わない上司・同僚との問題を抱え、転職に至った場合に、その理由をストレートに伝えてしまうと印象はよくありません。
前向きに言い換えをしていくことで、採用担当者に好印象を与えることができます。
「人間関係の問題」は、個人の問題としてではなくチーム医療として言い換えをし、例文を考えてみます。
「医療はチームで行うものですが、貴院では医師・看護師だけでなく、栄養士・薬剤師・技師・ソーシャルワーカーなど患者を取り巻くすべての職種が、チーム医療に携わっていると伺いました。
チームで協力し患者さんの問題・課題を解決し、前進する医療の実現のために、今までの知識や経験を活かし、積極的に患者さんの看護に携わっていきたいと考えています。」
このように言い換えることで、前向き差と積極性を出していくことができますね。
退職した経歴は、人生においてマイナスではありません。
転職であなたの強みはより活かされ、輝き、さらに社会に貢献できるようになることを、採用担当者・転職先、そして社会は期待しているのです。
面接で失敗しない方法
ここまでで、他の人とは一味違う志望動機を書くことができたのではないでしょうか。
そんなあなたに、次に立ちはだかるのは「面接」です。
新卒採用以来、数年ぶりという人も少なくありませんし、何度経験しても緊張していしまいますよね。
転職する場合には、自分で作成した書類が全て、その書類をベースに面接はすすんでいきます。
そのため複数の転職先に応募している場合には、「面接する相手にどんな書類を提出したか」、確実に把握しておきましょう。
転職先にあわせて志望動機を考えていたのに、まったく違う提出先の内容を面接で答えてしまっては、面接の印象は大変悪くなります。
簡単にではありますが、志望動機を上手く活かして面接で効果的に伝える、失敗しない方法を説明していきます。
1)内容は簡潔に、具体的にまとめる
面接で答えることを、一語一句丸暗記してくる人がいますが、あまりおすすめできません。
面接で緊張してしまうと頭が真っ白になります。
覚えたことが言えず、さらに頭が真っ白になり、何も伝えられなかったという話をよく耳にします。
実は採用担当者に伝えたいポイントを3つ、関連するエピソードを1つに絞り、その内容について、「その場で文章を組み立てていく」のが、看護師にはおすすめです。
「その場で考えるの!?」と、びっくりされた方もいるかもしれません。
看護師の仕事の経験・知識をフル活用すれば、至極簡単なことです。
患者さんに説明を行うとき、医師や先輩・同僚に報告する時に、一語一句考えてから行っていたでしょうか。
決してそうではないと思います。
伝えたいキーワードやポイントをしぼり、相手の反応を見ながら説明・報告していましたよね。
採用担当者も同じです。
あなたがどのような人で、どんな強みをもって、何を目的に転職して、これからどのようにしていきたいのかを相手の反応を見ながら説明していくのです。
「相手の反応を見る」というのも、看護師は得意ですよね。
前述したように、コミュニケーションの第1歩は興味・関心を持つこと。
採用担当者に興味を持ってもらえるように、興味・関心を引き出すために、話を大げさにする必要はありません。
事実とあなたの思いを、具体的に素直に反応をみながら丁寧に伝えていければ、きっと採用担当者も興味・関心を持ち、面接が和やかにスムーズにすすむでしょう。
2)自信がなくても、話し方で印象は変えられる
面接では服装や内容について対策しがちですが、実は「態度」や「話し方」も重要視されています。
看護師として働いていても、声が小さくて自信がないスタッフの印象は、あまり良くなかったのではないでようか。
面接で緊張して話すことができないのと、自信がない・おどおどしている・声が小さいというのは全く別問題。
もし、自分が大丈夫か心配であれば、動画にとってチェックしたり、面接で答える内容を少し大きめの声に出して練習してみましょう。
面接で緊張すると早口になりがちですので、練習の際にははっきりと丁寧に、わかりやすく答えられるかも重視して練習しましょう。
自信がなければ繰り返し練習をし、1番はじめと現在の動画を比較してみましょう。
無意識のうちに、目に見えた成長が感じられますし、自分の癖もわかってきます。
練習したことは、かならず面接で活かせますので、不安にならずに面接に臨んでほしいと思います。
まとめ
転職の際の志望動機を提出する前に、もう一度、客観的な採用担当者の視点で読み返してみましょう。
転職に至った経緯には、どのような理由があるにせよ、志望動機は具体的でポジティブな内容であることが大切です。
- あなたが魅力的な人物ということが伝わりますか?
- あなたのことが理解してもらえますか?
- 転職成功のためには、予習復習と反復練習が大切です。
なんだか、看護師の仕事と似ていますね。
いままでの看護師の経験は、あなたをより魅力的に輝かせています。
その経験と魅力を活かし、あなたらしいオリジナルの志望動機で、希望する転職を勝ち取ってほしいと思います。