看護師が開催するミニ勉強会!テーマ選びのコツはこれ!資料の作成方法も解説

看護師として少し経験を積み、病棟での勉強会を任されたもののどんなテーマがいいのか分からない、と悩んでいる方も多いでしょう。

悩むということは、有意義な勉強会にしていきたいと思っているからです。では、どんなテーマにすれば、勉強会を有意義なものに出来るのでしょうか。

今回は、病棟などでのミニ勉強会でのテーマ選びについて解説していきます。
ミニ勉強会のテーマ選びに悩んでいる方は、参考にしてみてください。

目次

1.看護師のミニ勉強会のテーマ選び

看護師になっても、毎日が勉強の日々です。

時には、病棟でのミニ勉強会の主催を任されることもあります。
そのとき、テーマを言ってくれればいいですが、大抵テーマ選びから始めることになります。

ここでは、テーマの選び方について3つご紹介していきます。

1-1 対象者を決めてテーマを選ぶ

まず、テーマを選ぶうえで必要なのが、勉強会を受ける対象者です。

もし、病棟師長などから新人向けや2〜3年目の看護師に向けてという、設定があればその人たちに向けてのテーマを決めていけばいいでしょう。

もし、そのような設定がなければ、依頼された人に確認し、特にない場合は自分で設定するのがおすすめです。
病棟内でも、ベテランから入ってきたばかりで知識の浅い人まで、知識や技術はまちまちです。

それを網羅しようとするから、何をテーマに勉強会をしていいのか分からなくなってしまうのです。
逆に言えば、この人たちに向けて勉強会を行いたいという、設定をすればどんな知識を教えればいいか見えてくることもあります。

そして、その見えてきたことに対して調べ、資料を作成し、開催をしていくことで有意義な勉強会にすることができるでしょう。

1-2 自分が勉強したいことをテーマにする

時には、自分が勉強したいことをテーマにするというのも一つです。

自分が知りたいことや分からないこと、学びたいことなどは、他の人も知りたいという人もいる可能性が高いです。

そして、人がインプットしたことをアウトプットするためには、きちんと理解していないと説明できません。
勉強会を開催する時には、質問に答えられるだけの知識も必要です。

ミニ勉強会を通して、自分の知識を増やしたりスキルアップも目指せます。
ミニ勉強会の目的にもよりますが、特にない場合は自分の勉強したいことをテーマにするのもひとつの方法です。

1-3 今後の看護に役立つテーマを選ぶ

今後看護をしていくにあたって、必要だと思う知識や技術などをもとにテーマを考えていくのもいいでしょう。

病棟内での勉強会なら、病棟内でよく使う知識や技術を復習も兼ねて、テーマにするのも一つの方法です。
その時には、他のスタッフにどんなことを学びたいか、聞いてみるのもいいかもしれません。

2.看護師が開催するミニ勉強会のテーマ案

では、看護師がミニ勉強会をしていくにあたって、どんなテーマがあるか具体的なテーマ案についてご紹介していきます。

勉強会のテーマの種類にもいくつかあり、「看護技術」「看護知識」「その他」といった物に分けることができます。

2-1 看護技術系テーマ

看護技術系のテーマには、以下のようなものがあります。

  • 急変時対応
  • 看取り看護(エンゼルケア)
  • 褥瘡対策
  • 認知症の方の対応方法
  • トランスファー

急変時対応やエンゼルケア、褥瘡対策などは、病院や病棟でのやり方もあるでしょう。
看護師の勉強会は、その後の看護に活かすという大きな目的があります。

一般的な看護技術とともに、病棟でのやり方についても説明していくことで、日ごろの看護業務に落とし込みやすいでしょう。

2-2 看護知識系テーマ

次に看護知識系のテーマです。
以下のようなものが挙げられます。

  • 心電図の読み方
  • 血液データーの読み方
  • 人工呼吸器の管理方法
  • 認知症看護
  • 家族看護
  • 疾患関連

看護知識なので、教科書や参考書をベースとして、勉強し資料作成していくことになります。
しかし、日ごろ患者さんと関わっているため、誰か事例を挙げて説明をしていくことで落とし込みやすくなります。

資料を作成し、説明をしていくときに自分自身も理解しやすくなるでしょう。
また、認知症看護や家族看護は特に正解はないものです。

これを機会に看護師で再度どのような対応をしていけばいいかなどを、話し合う機会にするのもいいかもしれません。

2-3 その他のテーマ

その他のテーマでは、以下のようになります。

  • 看護師に必要な接遇
  • 個人情報保護について  など

看護師として業務をしていると、自分の言葉遣いや態度などを見つめなおす機会がありません。
しかし、看護をしていく上で他の業種同様に、言葉遣いなどの接遇は大切です。

また、個人情報についても分かっているつもりでも、時間とともに忘れてしまい、知らず知らずのうちに個人情報の漏洩につながる行動をとっている場合もあります。
時には、以下のような直接看護とは関係ないものも、取り入れていく必要があるでしょう。

以下、看護roo調べの「参加したいと思う勉強会のテーマ」です。
参考にしてみてください。

順位勉強会テーマ票数(割合)
1位心電図の読み方348票(22%)
2位所属病棟でよく看る疾患219票(14%)
3位人工呼吸器やモニターなどのME機器の扱い方196票(12%)
4位病棟でよく使う薬剤191票(12%)
5位急変対応161票(10%)

3.看護師のミニ勉強会のテーマ選びにおすすめのヒント

ミニ勉強会のテーマの選び方やテーマの案は分かったけど、実際選ぶとなるとやっぱり分からないという方もいるでしょう。

次に、テーマを選ぶ時のヒントについて、3つご紹介していきます。

3-1 インシデント報告

テーマ選びのヒントのひとつ目としては、インシデント報告です。

インシデント報告は、同じようなミスをしないために情報共有するための報告書です。
もちろん、その報告書だけでなぜそのミスが起きたのか、そのミスをまたしないためにはどうしたら良いかということは振り返れます。

ただ、あえてそのインシデントを看護師が集まって話し合う場所を作り、同じミスをしないようにする場として、ミニ勉強会をつかってもいいでしょう。

もちろん、その場合でもインシデント報告書をそのまま使うのではなく、事例検討として資料作りをしていくことが必要です。

3-2 看護師同士で話題になっていること

看護業務内で、悩んでいることや困っていることを相談しながら業務を行っていることも多いでしょう。

もちろん話をしていくうちに解決されるものも出てきます。

しかし、話をしていても業務中の会話の中だけでは、解決されないものもたくさんあります。
そんな、悩んでいることがどのようにしたら解決できるか、調べ提案し他の看護師の意見を聞いていく場を、ミニ勉強会にしてもいいでしょう。

3-3 最新の看護雑誌で話題になっていること

ミニ勉強会のテーマで困ったときには、最新の看護雑誌を覗いてみてはいかがでしょうか。

病棟で購入している場合は、それをみてもいいですし、そうでなくても立ち読みだけでもミニ勉強会のテーマが隠れていることがあります。

よく見るのは、「フィジカルアセスメント」や「感染症対策」です。

なぜ、同じような内容を何度も見るかというと、基本中の基本だからです。
基本ができなければ応用も出来ません。

この基本というのも徐々に忘れてしまったり、医療は進化していくので以前とは違う方法などになっている場合もあります。
したがって、定期的にアップデートしていくためにも、基本と思われるものでも勉強していくことには、意義があるでしょう。

その他でも、看護雑誌に載っているものは、医療や看護で今話題になっているものが多いです。
医療従事者として知っておくべき、その時々の話題をテーマにしてもいいでしょう。

3-4 厚生労働省の調査で需要の高い研修から参考にする

厚生労働省で、研修事業調査をされています。

そこでは、各都道府県がどのような研修をどのくらいしているのか調査し、実施している都道府県数、実施個所数、受講者数の調査結果を出しています。

以下、調査結果の一部です。
研修分野ごとに実施都道府県数の多い順に出しています。

研修分野名実施都道府県数実施個所数受講者数(人)
がん看護79182
訪問看護・在宅看護610705
認知症看護48506
看護研究・看護職36479
糖尿病看護3345

この調査では、実施都道府県数が一番多いのが「がん看護」、次に「訪問看護・在宅看護」といった結果が出されています。
病棟によって、必要な知識や技術は違います。

したがって、数多くの都道府県の研修で研修テーマとなっている「がん看護」がミニ勉強会のテーマに向いているとは、一概に言えません。
しかし、研修に選ばれる研修分野は、それだけ看護師に需要があるということです。

そして、需要があるということは、看護師が身につけておくといい知識や技術とも言えます。
自分の病棟に役立ちそうな研修分野を見極めながら、このような調査結果もテーマ選びの参考にしていくのも一つの方法です。

4.看護師のミニ勉強会で使う分かりやすい資料作成のコツ

ミニ勉強会を行うなら、自分が準備した内容を説明することで、参加してくれた人に何かしら学んで欲しいですよね。

そのためには、まずは分かりやすい資料作りが大切になってきます。
分かりやすい資料作りのコツについて、解説していきます。

4-1 要点を最初と最後に入れる

分かりやすい資料作りのひとつ目としては、最初と最後に要点を入れるということです。

要点を記載した目次を作って、どんな内容なのか分かるようにしておくのもいいでしょう。
看護師になってから、勉強会やセミナーなどに一度は参加したことがある人もいるのではないでしょうか。

参加したときに、全くどんな内容なのか分からない状態でだらだらと話をされると、結局、何が重要なのか、何を伝えたかったのか、分からないといった状態で終わってしまうことも多いです。

したがって、最後に何を伝えたかったのか要点をまとめておくのは当然ですが、はじめにも要点を入れた資料を作りましょう。

4-2 話す流れを考えながら資料作成をする

次に話の流れを考えながら、資料を作るということです。

資料作りの中で調べたことをすべて入れたいと、思うこともあるでしょう。
しかし、伝えたいことをすべて入れると時間が足りなくなってしまうこともあります。
また、時間内に伝えたいことをすべて入れようとすると、前後がつながらなくなってしまうこともあるでしょう。

ただ、調べたことをすべて入れた資料で、前後の内容がつながらない状態では、せっかく勉強して伝えても、理解できない資料になってしまいます。

また、実際に勉強会で説明するのも大変になるでしょう。そして、せっかく参加してくれた参加者には何も残らないといった状況になってしまう可能性が高くなります。
したがって、資料作りの際には話す流れを考え、参加している人に分かりやすく伝えるという意識を持ちながら作りましょう。

勉強会の資料作成では、勉強したことでも削ったほうが話のつながりがいい場合は削り、話す流れを考えて分かりやすい資料を作って行くことも大切です。

4-3 文字は大きめに作成する

文字を大きめに作成するというのも大切です。

実際、勉強会やセミナーで渡される資料で、文字が大きいものと小さいものどちらも、もらった経験がある方もいるでしょう。
そのとき、どちらの方が講義を受けやすかったでしょうか。

ポイントが書かれた大きな文字の資料の方が見やすくて、講義に集中できたという経験をされたことのある方もいるでしょう。

パソコンではっきり見えていても、印刷すると思った以上に小さくなり、読みにくい資料になってしまうことも多々あります。

また、文字を大きめにして、ポイントのみを書くことで、ポイントの理由を聞くために話に集中もしてくれるようになります。

4-4 メモなどができるようなスペースを作る

資料作りの際には、メモができるようなスペースも作っておくと良いでしょう。

資料作りの時には、ポイントのみを記載し大きめの文字にすると良いと前述しました。
そのときに、メモ欄を作ることで解説した理由を書きたい人も出てきます。
また、書くという動作を行うには、集中して聞くことが必要ですし、書くことで参加者の勉強会で学んだことのインプットもしやすくなります。

4-5 イラストなども使って見やすいものにする

資料が、文字ばかりだったらどうでしょうか?
人によっては、見るのがいやになったり、面倒になってしまうでしょう。

そんな文字ばかりの資料を勉強会が終わった後に、見返そうと思うでしょうか。

資料作成時は、イラストや図表なども使って、分かりやすく見やすい資料を作っていくことを心がけていきましょう。

5.ミニ勉強会の事前準備

せっかく勉強会をするなら、たくさんの人に聞いてもらい、参加した人には説明したことを一つでも多く学んで、行ってもらいたいものです。

そのためには、分かりやすい資料を作るだけでなく、他の事前準備も大切になります。

5-1 興味を引く呼び込みをする

自分が勉強会やセミナーに参加するときのことを考えると分かります。
やはり、タイトルなどで「この勉強会はためになりそう」や「おもしろそう」と思って参加することでしょう。

自分が主催者となったときにも、同じです。
参加者に、「この勉強会に参加してみたい」と思ってもらえるような、呼び込みが必要です。

したがって、参加者を集めるために、自分だったらどんな呼び込みなら参加したいと思えるか考え、興味を引く呼び込みが大切になります。

5-2 実際に勉強会をイメージして説明の練習をする

時間を割いて参加してくださっている勉強会です。

実際に勉強会をイメージして、説明の練習をしておきましょう。
資料を作ったときには、時間内に出来そうと思っても、実際に練習をしてみるとすべての内容を説明していては、時間が足りなくなってしまうこともあります。

実際に、勉強会をイメージして練習を必ず行い、スムーズに勉強会が進められるように準備しておきましょう。

5-3 資料は出来ればカラー印刷をする

資料は出来ればカラーがおすすめです。

白黒では、参考資料として載せた写真やイラストなどが見にくい場合もあります。
病院や病棟で、カラー印刷が禁止の場合は仕方ないですが、できればカラー印刷で配布するのがおすすめです。

5-4 ミニ勉強会で出てきそうな質問は事前に調べておく

勉強会では、最後に質問の場を作っている人も多いでしょう。
質問の場所を作らなくても、説明の途中などで質問が出てくる可能性もあります。

事前に、質問されそうなことまで事前に調べておき、質問されたことに対して解答できるようにしておきましょう。

6.ミニ勉強会で発表する際のポイント

最後にミニ勉強会で発表するときのポイントです。
勉強会を成功させるためにも、このポイントを押さえて発表をしていくようにしましょう。

本番だけ意識すればいいと思う方もいるでしょう。
しかし、いきなり本番に行おうと思っても、緊張してできないことも多いです。

練習のときから意識して行うのがおすすめです。

6-1 一番初めの声は特にハキハキと話すようにする

勉強会だけでなく、何か発表をする際には第一声が大切になります。

小さい声で何を言っているのか分からない、話し方では聞いている方もこの人が言うことは大丈夫かな?信頼できる情報なのかな?と疑いの目から入ってしまいます。

第一声は、大きな声でハキハキと話すようにしていきましょう。

6-2 伝わる話し方をする(あー、エーを使いすぎない)

準備の段階で、伝わりやすい説明の仕方をイメージして練習する方も多いでしょう。
人によっては、文章を考えてしまう人もいるかもしれません。

ここで、伝わる話し方をするにあたって、見落としがちなのが「あー」や「えー」を、言葉と言葉の間に使いすぎないようにするということです。

緊張すると「あー」や「えー」をついつい使ってしまうことも多いです。
話をしている側は、さほど気にならないのですが聞いている方は、「あー」や「えー」を多用されると話が伝わってきにくくなってしまいます。

したがって、ミニ勉強会などで発表する時には意識して、「あー」や「えー」を使わないようにしていきましょう。

6-3 資料ばかり見ず前を向いて話す

また、発表するときに多少資料を見て話の流れをつかむのは大切です。

ただ、資料ばかり見て話すとこれも話が伝わりにくくなってしまいます。
下を向いて話すことで、声が届かないということはもちろんですが、自分が調べた内容をみんなに伝えようという気持ちも伝わらなくなります。

みんなに伝えようという意識が伝わると、相手も真剣に話を聞こうと思ってくれるようになります。
発表するときには、資料ばかり見ずに前を向いて話しましょう。

まとめ

今回は、ミニ勉強会のテーマ選びについてご紹介してきました。

ミニ勉強会のテーマといっても、看護の世界は幅広い知識で成り立っているので、難しいですよね。
ただ、テーマはどんなことでも大丈夫です。

みんな知っている内容だとしても復習にもなりますし、再度調べてみたら最近変わっていたということもあるかもしれません。

ただミニ勉強会となると、病棟内での発表が多いかと思います。
したがって、病棟で使える知識をテーマにすると、次の日の看護から実践できるためおすすめです。

今回の記事が、有意義な勉強会にするための参考になれば嬉しいです。

この記事を書いた人

槇田 佳織

神奈川県立衛生短期大学衛生看護科卒業。急性期病棟、慢性期病棟、認知症対応型デイサービスや訪問看護など、いろいろな職場を経験。看護師ライターとして今までの経験を活かし、医療や看護・介護などを中心に執筆している1児の母。今後は小児がんのきょうだい児支援や看護師への支援などについても活動していく予定。

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