子育てと仕事を両立する! 看護師ママの働き方を体験談を交えて比較

子育てと仕事を両立

近年、共働きの世帯が増えています。看護師も同様で、筆者が結婚・出産を経験した10年前と比べても、働き続ける看護師ママは非常に増えているように感じます。

看護師の仕事は身体を使うハードなお仕事です。その上、夜勤や遅番など生活リズムがバラバラになりがちです。

子どもがいるとどうしても体力面や看護師の勤務形態に子育てとの両立が難しい、辛いと感じてしまうことがあります。

結婚・出産を考える世代の看護師や産後職場復帰や再就職を考えている看護師ママにとっても「子育てと仕事の両立」は心配の種の一つではないでしょうか。

実際に厚生労働省の調査では、看護師の離職理由として最も多いのが「出産・育児のため」で、その他の理由を除き次に多いのが「結婚のため」でした。

男性看護師が増えているとはいえ、日本における女性看護師の割合は92.2%(厚生労働省2018年)です。結婚や出産等のライフイベントで働き方を考える看護師が多いのは当然のことと言えます。

厚生労働省|看護職員の現状と推移

筆者は看護師歴15年。結婚後は専業主婦、パートタイム看護師、フルタイムワーママ看護師と様々な勤務スタイルを経験してきました。現在は3児のママとして子育てをしつつ、中規模総合病院の外来パートタイム看護師兼ライターとして活動しております。

この記事では筆者の体験を踏まえ「子育てと仕事の両立」を叶えやすい職場や働き方をご紹介します。

まさに今、子育てと仕事の両立に悩める看護師ママ、結婚・出産を控えている看護師の皆さん、これから看護師になりたいと考えている方々のお役に立てたら幸いです。

看護師ママの働き方はパートがオススメ?それとも正社員?

看護師ママと一言でいっても、働き方はいろいろありますね。看護師ママが働く場合、正社員・パートタイム・派遣などが考えられます。

どんな勤務スタイルにするのかは、ママが「どんな働き方をしたいのか」だけではなく「どの程度稼ぎたいのか」「家族のサポート」「家族構成」「家族が看護師ママの働き方をどう考えいるのか」などが大切なポイントになってきます。

ここでは「仕事と子育てを両立させるためにどう働けばいいのか」を考えるために正社員・パートタイム・派遣看護師それぞれの働き方やメリット・デメリットについてご紹介します。

正社員として看護師ママは働き続けることはできる?

正社員として看護師ママは働き続けることはできる?イメージ

正社員で勤務するメリットは、なんと言っても安定した給与と福利厚生です。有給休暇がたっぷりもらえること、子どもの看護休暇があることは、子どもの急な病気にも対応しなくてはならない看護師ママにはありがたいものです。

一方で、子育てをしながらハードワークの看護師を行うことは体力的にとても厳しいです。

正社員で働くと、委員会・役職など大きな責任を負いながら働くことになります。これらのことはデメリットと考えることもできるでしょう。出産後しばらくすると夜勤を打診されることも、ママにとっては大きなストレスや悩みの種になります。

それでも看護師としてキャリアアップしていきたいと考える看護師ママにとって、病院で正社員として働き続けることは大切なことです。子どもが大きくなった際には、「以前のようにバリバリ夜勤をこなして稼ぎたい!」「働くことが大好き!」そんな看護師ママが働き続けるために色々と利用できる制度があるのはご存知でしょうか?

産後休暇・育児休暇を取得した後、元々働いていた職場に復帰を考えている看護師ママさんは、職場にどんな育児支援制度があるのか確認しておきましょう。

また、復帰後それを実際に利用できるのかどうか予め出産前に就業規則を確認し、上司に聞いておくと安心です。では実際にどんな育児支援制度があるのかみていきましょう。

1)院内保育

「夜勤も精力的にこなし、出産前と同じように働きたい!でも家族の協力は得られない…」

そんな看護師ママの強い味方になってくれるのが院内保育です。院内保育は病院内や近隣に託児所があり、未就学児を預かってくれます。24時間預けることができ、夜勤の時にも預けられる託児所が多いです。

その病院・院内保育の規則によりますが、場合によっては就学児も夜勤のみ預かってくれる院内保育もあるようです。

病児保育を行っている託児所もあり、病気になりやすい小さな子どもをもつ看護師ママには強力な助っ人です。病児保育がなかったとしても院内保育は院内や近隣にあるためすぐに迎えに行ける、様子をみに行けるので安心です。

2)短時間勤務制度

育児・介護休業法で義務化されているこちらの制度は、1日の勤務時間が原則6時間以上と規定されています。

また、3歳に満たない子の場合に適応されます。勤務先の規定によっては原則の勤務時間がさらに短くなったり、子どもが就学するまで制度を利用できる場合もあります。

夜勤免除では夜勤分の手当がつかないのは当たり前ですが、時短勤務を選択すると基本給から時短分の給料が引かれる形になります。

とは言え、子どもが小さいうちは一緒に過ごす時間をたくさんもちたい、兄弟が多く家事や子育てに手が回らないとお悩みの方には嬉しい制度です。

3)夜勤免除

短時間勤務制度の一環で子どもが3歳になるまで夜勤免除の希望がある場合、就業先は免除を認めなくてはならない義務があります。

子どもが就学するまで夜勤を免除してくれる病院もあります。日勤のみの働き方になるためお給料はだいぶ少なくなりますが、子どもを置いて夜勤をすることに抵抗のある看護師ママにはとてもありがたい制度です。

4)短時間正社員制度

この制度は短時間勤務制度とは違い、育児以外の理由にも適応されます。正社員でありながら勤務時間や勤務日数を減らすことができます。

短時間勤務制度は義務化されていますが、こちらの制度は導入されている病院でのみ利用できる制度です。

日本看護協会でも導入を推奨されている制度なので、今後増えていく可能性があり仕事と子育ての両立、看護師の再就職の後押しとなってくれそうです。

いろいろな制度を知り活用することで、正社員として看護師ママが働き続けることは全く不可能ではありません。

筆者も実際、院内保育や短時間勤務制度を利用したことがあります。子どもの性格にもよりますが、我が子は院内保育が大好きで楽しく通ってくれました。

短時間勤務制度では再就職したばかりの頃は、就業開始時間を1時間遅らせ、就業終了時間を1時間早めた合計2時間の時短勤務を利用しました。その後、仕事に慣れるにつれて就業時間を長くし、最終的に1時間のみ短縮して働きました。

小学校への送り出しや夕飯の準備がゆとりを持って行えるので非常に助かったことを覚えています。

パートタイム看護師は子育てしながら働きやすいの?

子育て中のママ看護師のイメージ

パートタイムは子どもとの時間を大切にしたいけど働きたい、そんな看護師ママが選択できる働き方の一つです。

パートタイム看護師の求人が多い職場は病院やクリニック・老人ホーム・訪問看護・検診センターなどです。

病院でパートタイムとして働く場合、よく求人に出るのは外来業務です。

似ている職場としてはクリニックの看護師もありますね。医師の介助や医療処置、患者さんへの説明・案内業務があります。筆者は過去にクリニックのパートタイム看護師も経験しており、現在は病院の外来業務で勤務しています。

子育て世代の看護師ママが多く、お休みをもらいやすい理解がある職場が多いため、どちらも子育て世代の看護師ママにとって働きやすい職場だと実感しています。ただしクリニックは在籍する看護師の人数が少ないため、お休みをもらいにくい場合もあります。

看護師ママにとって働いやすい外来・クリニックですが、科ごとに割り当てられる看護師が少ないため、即戦力となることを求められることが多いです。

また、医師や患者さんとのコミュニケーションスキルの高さも求められます。コミュニケーションスキルは看護師であれば、どんな職場でも必要となるスキルです。

特にクリニックや外来の場合、患者さんとの関わりが入院患者さんと違ってその場だけになります。診療の場でしっかりと患者さんの情報を得て、医師と連携を図り必要な医療・看護を提供し、満足して帰ってもらうための技術が必要となるのです。

雇う側としては即戦力となるスキルのある看護師を求めますが、就職前にできること・できないことをハッキリと伝えておくことが大切です。

老人ホームや訪問看護、検診センターはブランクがありスキル面で不安のある方には向いている職場と言えます。

一方で、老人ホームや訪問看護は在籍している看護師数が少ないため、子どもの急病でのお休みがもらいにくい場合もあります。病児保育の利用や家族の協力があるかどうかも職場選びには重要な判断ポイントです。

パートタイム看護師のメリット・デメリット

メリット

自分のライフスタイルに合わせた勤務時間や休日を選択することが可能なため、子どもとの時間が確保しやすく子育てに向いています。

残業や時間外勤務がない場合が多いこともメリットの一つです。職場によっては残業がある場合もありますが、時給換算になるためサービス残業をする必要はありません。また、委員会や役職など看護以外の業務に責任を持たなくていいため、患者さんへの看護に集中できるメリットもあります。

デメリット

働いた時間分がお給料となるため、お休みが多い月は給料が少なくなります。

有給休暇も勤務時間や日数によってつきますが、正社員と比べると大幅に少ないです。ボーナスや退職金も基本的にはつきません。住宅手当や扶養手当等の福利厚生も付かない場合が多く、ついても正社員ほど手厚くありません。また、看護師として役職等のキャリアアップは難しくなります。

派遣看護師ってそもそも何? 看護師ママは働きやすいの?

派遣看護師は病院やクリニックと直接契約を結ぶのではなく、派遣会社と雇用契約を結びます。そのため勤務先から給与や休暇、社会保険などの管理を受けるのではなく、こちらも派遣会社での管理になります。

正社員、パートタイム看護師のように一般的な病院やクリニックなどの医療機関での勤務はできません。(厚生労働省から指定された離島や僻地にある医療施設での派遣は可能ですが、看護師ママには不向きですね。)

派遣先として看護師が勤務可能なのは、有料老人ホーム・特別養護老人ホーム・社会福祉施設・デイサービス・検診センター・保育園です。

派遣女性のイメージ

派遣看護師のメリット・デメリット

メリット

派遣看護師のメリットは働き方の融通がきくことにあります。

「週3日だけ」「平日だけ」「休日に単発で」といった自由に勤務スタイルが選べます。看護師ママとしては子どもを最優先にできる働き方が選べるのがいいですね。

給料面では普通のパートより高く設定されており、稼ぎやすいメリットがあります。直接雇用のパートと派遣看護師の時給を比較すると、派遣看護師の時給は200円ほど高く設定されています。

派遣は契約期間が決まっているため、職場の人間関係が苦手な人にもオススメです。

デメリット

派遣の場合、その施設の職員から「外部の人」と認識されるため、職場に馴染みにくいといったデメリットがあります。また、正社員に比べて給与や雇用が安定しないというデメリットもあります。

正社員のようにバリバリ働く時間はないけれど、パートタイムよりしっかり稼ぎたい。同じ職場で働き続けると人間関係のしがらみに疲れてしまう。そんな看護師ママには派遣看護師がオススメと言えます。

実は看護師ママ向き⁉︎ 夜勤専従ナースのリアル

夜の病院のイメージ

夜勤専従看護師は日勤と比べて長時間勤務になり、勤務人数も少ないため厳しい勤務スタイルのイメージをもつ方も多いのではないでしょうか?

でも日中に自由な時間を確保しやすい夜勤専従ナースという働き方は、実は看護師ママにも非常にオススメの働き方です。

夜勤専従ナースは月の夜勤の回数が約8回です。勤務日数が少ないため、連休をたくさん取ることができます。日中の予定を組みやすいので子どもとの時間の確保が容易ですし、学校のイベントなど子どもの行事にも十分に参加できます。

また、日中お家にいることができるので家事にも時間を当てることができます。看護師ママにはありがたい働き方だと思いませんか?

給与面でのメリットも外せません。週2回の夜勤でも生活に十分な収入を得ることができます。子育てをしながら年収500万円万円を狙うことができるのは、夜勤専従ならではです。

夜勤をすると生活リズムが崩れて体調を壊しやすいのは看護師あるあるですが、夜勤専従ナースは生活リズムが整いやすいと言う看護師も多くいます。

日勤、夜勤がバラバラに組まれるシフトよりは夜勤だけを行い、生活リズムを整える方が体が慣れるため、楽なのだそうです。生活リズムを整えやすい夜勤専従は体が資本の看護師ママにも向いていますね。

夜勤専従看護師が向いているか、向いていないかは体質的な部分も大いに関係するため一概にどんな看護師ママにもオススメできるかと言ったらそうではありません。

体質以外にも、夜勤中は旦那さんや家族に子どもを預かってもらわなければならず、そういった家族のサポートがあるかどうかも夜勤専従ナースに適しているかの判断基準になります。

体質的に合っていて夜勤中のサポートがあるのであれば

「ママになってもたくさん稼ぎたい!」
「日中の時間を自由に使って子どもと関わる時間が欲しい!」

そんな看護師ママにはピッタリの働き方でしょう。

まとめ

看護師ママと赤ちゃんのイメージ

子育てと仕事を両立させるためにどのような働き方ができるのかご紹介してきました。

看護師ママの働き方も多種多様ですね。看護師はママになっても需要が高いため、各職場で看護師ママが働きやすいように工夫されています。

とはいえ、どこの職場でも看護師ママにピッタリと言うわけではありません。それぞれの働き方にメリット・デメリットがあり職場選びの際にどんな働き方をしたいのか、考えておく必要があります。

「家族のサポートはどのくらいあるのか」
「どのくらい稼ぎたいのか」
「看護師としての将来像」
「自分と家族のライフスタイル」

など…職場復帰する前に、再就職先を探す前に自分と向き合って考えておくことが必要です。その上で現場を把握しておくことが看護師ママの子育てと仕事の両立には必須となります。

子どもとの時間は限りある、かけがえのない時間です。

筆者は家族のサポートがあったため、子どもが小さい頃から正社員看護師として夜勤もこなしつつ働くことができました。夜勤の時は院内託児所に預け、罪悪感を感じたこともあります。

しかし、子どもは保育士やお友達の中でたくましく、楽しんで育ってくれました。ママと子ども、家族全員が納得して協力しあえるように、そして看護師として精一杯力を発揮できるように考えてほしいと思います。

この記事を書いた人

仲田 百香

仲田 百香

聖路加看護大学(現 聖路加国際大学)看護学部卒業。看護師・保健師免許取得。手術室・整形外科病棟・救急外来・クリニックなどいろいろな職場を経験。現在も看護師として勤務しつつ、これまでの経験を活かし困っている人のお役に立ちたいとライターとしても活動している。

記事一覧へ戻る