応援ナースは短期間で高収入。一般的な派遣とは少し違った働き方です。
「応援ナースってネットで見たことあるけど、短期間で高収入ってちょっと不安。」と感じた方もいるかもしれませんね。
最近では病院以外で活躍される看護師も増えてきて、看護師の働き方もさまざまになってきています。
応援ナースは、2000年にナースパワーが独自に開発された就業プログラムです。今では数社の看護師転職サイトがこのサービスを提供しています。
- 東京で働いてみたいけど続けられるか不安
- 違う土地で働きたいけど、準備が大変
- 海外留学の資金をはやくためたい
- マリンスポーツ大好き!でも休暇がとれない
その悩み、もしかしたら応援ナースで解決できるかもしれません。
筆者も応援ナース経験者です。留学資金をためるため仕事をさがしていたところ、応援ナースを知りさっそく相談しました。
期間限定なので留学準備の計画もたてやすく、結果とても満足でした。
今回は応援ナースについて解説します。
この記事ではこんなことがわかります。
- 応援ナースとは
- 応援ナースメリット・デメリット
- 応援ナースのリアルな体験
最後にリアルな声を載せています。ぜひ最後までお読みください。
目次
応援ナース”4つの特徴”と”魅力”を解説
今、この記事を読まれている方はもしかしたら転職を考えているかもしれません。
慣れた職場を離れるのはとても勇気のいることです。勇気をもって転職を考えたなら次の職場は自分にマッチした、長く続けられるところがいいですよね。
転職する上で雇用形態をどうしようかと悩まれている方もいるかもしれません。
「正職員」「パート」「派遣」 看護師の雇用形態は大きく分けてこの3つです。
応援ナースとの違いを見てみましょう。
正職員 勤務先に所属
フルタイムで勤務
パート 正職員よりも所定労働時間が短い
勤務先に所属
派遣 人材派遣会社に所属
給料は派遣会社から支給
残業はほとんどない
応援ナース 転職サイトより紹介
赴任先に所属
給料は赴任先から支給
夜勤、残業は赴任先の規定による
応援ナースは転職サイトより紹介されますが、赴任先の直接雇用となります。ここが派遣とは違うところです。
応援ナースの特徴4つ紹介
応援ナースは「忙しいのに看護師がたりない。」「募集はかけているのに、なかなか看護師が集まらない。」など看護師不足を補うために「応援」に行く看護師のことです。
「応援」とはいっても「手伝い」という意味ではなく、常勤職員とおなじように勤務します。
応援ナースには4つのはたらき方があります。
- 都市圏応援ナース 勤務先は北海道~九州の病院、施設など。急性期病棟も多く即戦力がもとめられる。給料は40万円以上(夜勤込み)から。
- 沖縄応援ナース プチ移住気分が味わえる。給料は30万円(夜勤込み)からと都市圏応援よりも低めに設定されている。毎月応援手当がある。
- 北海道応援ナース 函館、札幌、旭川など広範囲に募集あり。都市圏応援ナースと給料も同じ40万円(夜勤込み)以上。
- 離島応援ナース 東京・長崎・鹿児島などの離島に応援。給料は30万円(夜勤込み)から。毎月応援手当が支給される
※給与は正看護師のもの。准看護師は少し低くなります。支給額は勤務先、夜勤回数、残業により異なります。
募集内容によっては自宅から出勤できる場合もあります。自宅近くに勤務先があれば検討されてもいいでしょう。
応援ナースの魅力はなんといっても期間限定・高収入
応援ナースは「期間限定」「高収入」。
「話がおいしすぎない?」そんな疑問もわかります。私もそうでした。
ですが、なかなか人手が集まらない医療機関は、多少給料が高くても人材を確保したいのです。また、ボーナスや退職金がないことで上乗せされていることが高収入であることの理由です。
期間限定
応援ナースは6ヶ月の期間限定ですが、3ヶ月からOKの募集もあります。3ヶ月のつもりが、病院側から延長をすすめられ、結局1年近く勤務したという例もあります。
慣れない土地で不安な方は、3ヶ月からOKの募集を探してみてはいかがでしょうか。
求人例
高収入
応援ナースは給料が高めに設定されています。
個人病院などで勤務する看護師の給料と比較してみます。
医療法人・個人
基本給与額 | 税込給与総額 | |
高卒+3年課程卒の新卒看護師 | 202,289 | 262,277 |
大卒の新卒看護師 | 208,918 | 270,292 |
勤続10年の看護師(31~32歳 非管理者) | 244,587 | 318,916 |
出典元:日本看護協会 病院看護師実態調査 報告書を参考に表を作成
一般的に大卒の看護師は他の看護師よりも給料が高めに設定されています。
都市圏応援ナースの場合、夜勤や残業を含め月40万円以上。学歴や看護師の経験年数は関係ありません。ただ、注意すべきは応援ナースにはボーナスや退職金はありません。そのため生涯賃金でみると常勤で働く正職員より収入は低めとなる場合もあります。
応援ナースで人間関係や仕事のストレスから解放
「短期間でお給料高めはわかったけど、そのほかのメリットは?」
メリットはまだあります!たとえばこんなことで悩んでいませんか?
- 今の病院の人間関係がストレス
- 数か月のまとまった休みが欲しい
- 引越しや家電をそろえるのはめんどくさい
応援ナースで人間関係のストレスに悩まされることは少ない
短期応援のため人間関係に悩まされることはそれほどありません。
応援先は看護師不足が深刻で猫の手も借りたいくらいですから、応援にきてくれてありがとうと感謝されることが多いです。
ただ、十人十色、中には冷たく接してくる看護師もいます。ですが、期間限定ということで割り切って働けたという声も多いです。
応援ナースの終了後はまとまったお休みをとってリフレッシュ!
「数か月のまとまった休みが欲しい。」「留学から帰ってきて1年だけ働いて、また海外に行きたい。」このような理由で応援ナースを選ぶ方もいます。
応援ナースで就職→6ヶ月勤務→契約終了→2ヶ月休んでリフレッシュ→応援ナースへ再応募という働き方もできます。
遠方でも大丈夫!安心の「引越し赴任費支給」「家電付き寮完備」
応援ナースでは基本的に寮は用意され、家電も備え付けられています。
冷蔵庫、洗濯機は準備されていることが多く、電灯、電子レンジ、暖房器具などはオプションまたは自分で用意するようになっています。赴任先により条件は異なるので尋ねてみてください。また、寮費も赴任先により異なります。
引越し赴任代や交通費は往路のみ勤務先から支給されます。しっかりレシートはとっておきましょう。ただし、帰路は自費となります。
めんどうなアパート選びや買い物がないのは、負担が減って身軽に引っ越しができるのでうれしいですね。
応援ナースのデメリットは「忙しい」「休みがとりにくい」
「デメリットも知っておきたい。」
そうですね、もちろんデメリットもあります。
ここでは応援ナースのデメリットについてみてみましょう。
デメリット
- いそがしい職場が多い
- 都市圏の場合、原則3年以上の病院勤務経験が必要
- 期間を終了できない場合ペナルティーがある
- 有給休暇がない
- 休みがとりにくい
- 赴任帰路は自費になる
一つずつ解説します。
いそがしい職場が多い
看護師の人数が足りず応援を呼んでいるのですから、職場いそがしいのは想像できます。
応援に行く看護師には即戦力、技術力、協調性がもとめられます。
離島や沖縄だと比較的ゆっくりした赴任先もあります。自分に合った赴任先を探してみてください。
原則3年以上の病院経験
都市圏応援ナースでは3年以上の看護師経験が必要です。即戦力となりえる人材を募集しているためです。ただ、離島や沖縄では経験が1年以上でも可能です。募集しても看護師がなかなか集まらない、定着しないなどが人手不足の問題となっているからです。
ペナルティーがある
何らかの理由で期間を満了できない場合は、ペナルティーをうける場合があります。体調などには気を付けて勤務しましょう。
有給休暇がない
6ヶ月までの短期の場合、有給休暇はつきません。6ヶ月以降延長する場合には、勤務先に相談してみましょう。
休みがとりにくい
勤務希望は出しても大丈夫です。ですが、急な休みは取りにくいのが現状です。人数補充で赴任されているのですから、スタッフが足りない中、休みはもらいにくいもの。体調を整えることは大切です。
ですが慣れない環境で体調が崩れることも有るかもしれません。そのときは上司に相談し無理をしないことをおすすめします。
赴任帰路は自費になる
帰りの交通費、引っ越し代は自費になります。その他、翌年には住民税など忘れたころに支払がきますので、準備しておきましょう。
応援ナースになるための4ステップ
応援ナースはいくつかの看護師転職サイトで募集しています。最も多くの募集があるのはナースパワーです。
ここでは応援ナースになるための手順をナースパワーを参考に見てみます。
- 看護師転職サイトに登録
- 勤務先を決める
- 転職サイトの担当者から赴任先へ推薦
- 電話面接
- 決定
4ステップで赴任先が決まります。面接は通常電話で行われますので、わざわざ遠方に赴く必要はありません。
忙しい職場で活躍する応援ナースは救世主
看護師経験のある方なら誰しも、忙しい「残業が多い。」と感じたことがあるのではないでしょうか。
筆者も毎日記録がおわらず居残りでした。あと数時間で日付がかわるころ、真っ暗になった道をとぼとぼ帰っていました。
残業で体がぐったりでも、家に帰れば家事や育児が待っています。さらに次の日には、体調をしっかり整え、集中力を切らすことなく仕事をしなければいけません。
ほんとうに看護の世界は過酷ですね。
そんな中、誰しも「もう一人、スタッフがいたら。」と願ったことがあると思います。
日本医療労働組合連合会の調査では、看護師の「辞めたい理由」「医療事故の原因」のトップは人手不足となっています。
仕事を辞めたい理由
人手不足で仕事がきつい | 47.7% |
賃金が安い | 36.6% |
休暇が取れない | 33.7% |
医療事故の原因
人手不足による忙しさ | 81.7% |
看護の知識や技術の未熟さ | 36.4% |
交代勤務による疲労の蓄積 | 23.6% |
応援ナースはこういった多忙な病院、施設などの救世主として多くの職場で活躍しています。
実はイギリスにも応援ナースとは少し違いますが、人員を確保するためのシステムがあります。「バンクスタッフ」といって非常勤スタッフですが、病院に所属しているので欠員や緊急時の人員不足時に電話をするだけですぐに対応してもらえます。
こういったシステムが日本にも増えていくと、看護師の負担も減っていくでしょう。
2025年、団塊の世代が75歳以上となります。今以上に医療のニーズが高まるいわゆる「2025年問題」。看護師は最大で13万人不足すると言われています。
応援ナースのようなシステムがもっと増えて、看護師の負担が減ることを期待したいです。
応援ナース体験談
最後になりますが、応援ナース実体験、リアルな声をお届けします。
広島県の離島で応援ナース
島でリフレッシュ
瀬戸内海に囲まれた介護施設へ6ヶ月の応援に行きました。本土からフェリーに乗って島に渡る体験はとても新鮮。
海を見ながらのんびりした気分と、新しく始まる生活にやや緊張もあり、その時の様子はよく覚えています。
施設につくとまず書類関係の説明、施設の説明、施設の案内、寮への案内とスムーズに手続きがすすめられ、鍵を渡されました。
寮は1Kの海が見える部屋。新しくてきれいでした。家電はテレビ,冷蔵庫,クーラー,電灯などが設置されていたと思います。それに加えてベッドをお願いしました。
当日は荷物が届くのを待って、それから買い物へ。
スーパーは歩いて30分。海沿いを歩いていい運動になりました。
勤務は2日後に始まりました。担当フロアの利用者は明るい方が多かったです。
主な業務はバイタル測定、服薬管理、食事介助、胃ろう管理、排便コントロール、緊急時の対応、病院への付き添いです。本土へフェリーで行くこともありました。
残業はなかったので勤務が終わればおなじ応援ナースのなかまと飲みに行ったり、寮で話こんだり。
温泉もあったので、温泉につかって休日はのんびり過ごしました。
あっという間の6ヶ月。2ヶ月の延長を希望し、約8カ月の島生活。とてもリフレッシュでき、はじめての介護施設での経験もその後の看護師生活にとても役に立ちました。
トラブルも
小さいことでしたが、トラブルもありました。私の所属するフロアーにもう一人同じ20代の応援ナースが勤務していました。
私より2カ月ほど前に勤務を始められたようですが、常勤のスタッフには普通に接するのになぜか他の応援ナースを無視し続けるということが続きました。
最初はあまり気にしていなかったのですが、だんだん仕事がしにくくなり、これでは事故を起こしかねないとスタッフに相談しました。
スタッフも、以前からトラブルが続いていたのは知っていたので対応も早く、私は違うフロアーへと移動になりました。
すぐに対応してもらえたのでその後はストレスなく勤務が続けられたことと、違うフロアでまたスキルを伸ばすことができたので良かったです。
大分県の病院で応援ナース
新しいスキルを身につけられた
大分では病床数50床の透析をもつ病院へ配属されました。
病棟の約半分は透析患者で、私は透析看護がはじめてだったので緊張しました。
スタッフの半分は応援ナース。聞くと、かなりの田舎にあるため看護師を募集しても集まらないとのことでした。
応援ナースの年齢層は20代~50代とばらばら。透析の経験がある方は1人でした。
皆、経験なしからのスタート。スタッフからシャント音の聞き方や止血法、シャント造設後の看護、透析前後の看護知など指導していただきスキルを身に着けることができました。
透析患者は出血傾向があるので、転倒などがないように注意しなければいけません。
認知症がある方は夜中にベッド柵を超えたり、歩行困難であるにもかかわらずナースコールをされず病棟をうろうろされようとするので、夜間もしっかりと見守ることが大切です。
体調が悪い時も点滴管理が大変で一般病棟との違いを感じました。
日常
赴任先はバスが本当に少なくて、1時間に1本程度。行きはバスがあっても帰りがないということもあり遠方へは出かけませんでした。
タクシーも夜はないとのことだったので車がないと不便でした。
ですが、日常を過ごすにはなんの不便もなく、病院の周辺にたくさんお店が集中していたので、買い物には困りません。
海も近く、休みの日は海を見てのんびり。温泉もあり、ゆっくりできました。
他の応援ナースと休日は別府にでかけるなどあっという間の3ヶ月でした。
まとめ
今回は応援ナースについて記事にしました。
- 応援ナースは期間限定・高収入
- 即戦力、知識、技術、協調性が必要
- 全国各地で勤務できスキルを身につけられる
- デメリットは多忙な赴任先が多い、休みをとりにくいなど
- 応援ナースは忙しい病院の救世主的な存在
全国各地で活躍する応援ナース。まだ新しい働き方ですが、今後転職を考えている方は、一度この働き方を視野に転職先を選択してみてはいかがでしょうか。
赴任先が自分に合っていればそのまま採用されるケースも多々あります。赴任先の病院で知り合った方と結婚された方もいらっしゃいました。
今までの経験を活かし、さらに新しい知識やスキルも身に着けられる応援ナースで今後の仕事の幅を広げていきましょう。
この記事が転職先選びのヒントになれば幸いです。
この記事を書いた人
M・K
久留米医師会看護専門学校卒業。正看護師免許取得・イギリス正看護師免許取得。看護師歴25年以上。病院、クリニック、健診センター、高齢者施設などいろいろな職場を経験。現在看護師ライターとして活動中。