「看護師1年目は思っていた以上に辛い…。」
「こんな辛い思いをしているは私だけ?」
「先輩たちは辛い時期をどうやって乗り越えたの?」
このような疑問にお答えします。
看護師1年目は慣れない職場環境や人間関係で辛いことばかりですよね。実際私も1年目は人生で一番辛い時期だったと、後で振り返って感じました。
そこでこの記事では、1年目の看護師が辛い理由や乗り越える方法について詳しく解説します。
辛い経験をした私だからこそ、「あの時にもっとこうしておけば良かった」と考えられます。あなたの辛い気持ちに少しでも寄り添えたら幸いです。ぜひ、最後までお読みください。
目次
1年目の看護師あるある!5つの辛い理由を解説
1年目の看護師が辛い理由は、以下の5つです。
- 理想と現実のギャップに驚く
- 知識・スキル不足を痛感する
- 先輩の指導が厳しい
- 人間関係が上手くいかない
- 生活リズムが崩れる
では、詳しく解説します。
1)理想と現実のギャップに驚く
最初に、理想と現実のギャップに驚くリアリティーショックがあげられます。
臨床は命を預かる現場です。穏やかに看護ができる場面もある一方で、緊迫した雰囲気や患者の死を目の前に自身の無力さを感じることもあります。
また、あまりに多忙な業務で患者に十分関われないこともあり、「こんなはずではなかったのに」と落ち込んでしまう人も少なくありません。
しかしこれらは当たり前の反応であり、仕事を頑張りたいと思うからこそ湧き上がる感情です。辛いと思う現実を受け止められるだけでも、1年目看護師として十分に成長できている証拠なのです。
2)知識・スキル不足を痛感する
知識やスキル不足を痛感し、辛いと感じる人もいます。
臨床では患者の疾患や治療方法、一般的な業務内容から病棟のルールまで覚えることが沢山あります。また、医療機器や薬剤は毎年のように新しいものが導入され、常に勉強が必要です。
目の前の仕事をこなすだけで精一杯の1年目看護師にとって、目まぐるしく展開する臨床現場をストレスに感じる人もいるでしょう。実際私も目の前の業務をこなすだけで精一杯であり、知識やスキルの補充はできていませんでした。
1年目から知識やスキル不足を感じない人はいません。コツコツと勉強をして、できることを徐々に増やしていきましょう。
3)先輩の指導が厳しい
人間関係に悩む1年目看護師も多くいます。実際私も1年目で一番辛い思いをしたのは人間関係でした。
先輩が厳しい理由は、患者の命を預かっている責任があるからです。そして1年目のあなたを守るためでもあります。看護師の関わり方や処置のミス1つで、患者の命が危険に曝される可能性も十分あるからです。
例えば、注射の投与前に薬効が答えられず、強い口調で指導されたという経験はありませんか?
薬剤は患者の体内に直接入れるものであり、副作用の出現や目的と違った薬剤投与は医療事故にもなります。患者の命を守り、あなた自身が重大な事故を起こして訴えられないためにも、厳しく指導する場面もあるのです。
4)人間関係が上手くいかない
詰所や休憩室で自分の悪口を言われて傷ついた経験はありませんか?
私はあります。傷ついて次の日から出勤するのが怖くなりました。
仕事の愚痴や特定の人の悪口など、先輩や同期の心ない行為で傷つくこともあります。そして人間関係も徐々に悪くなり、職場に居づらくなると仕事にも支障が出てしまいます。
職場で人間関係が辛いと感じるなら、他部署の同期や家族に相談しましょう。少しでも周りに理解者がいると思えるだけで、心強いものです。
5)生活リズムが崩れる
生活リズムが乱れて辛いと感じる人もいます。
不規則な勤務形態や長時間の残業など生活スタイルが定まらず、心身ともに疲弊するからです。
特に1年目は早めに出勤して情報収集をしたり、初めての夜勤だったりと生活リズムを掴むまで一苦労です。仕事から帰っても予習・復習をするなど、気を抜く暇がありません。
学生時代と違い、常に仕事のことばかり考えてしまう人もいるのではないでしょうか。心身が疲弊すると生活リズムの乱れに加えて、体調不良にもなりやすいでしょう。
帰宅後、「今日は勉強しない」と割り切って十分な睡眠時間を確保したり、休日はリフレッシュを兼ねて友達と遊びに行ったりするなど、慣れない生活リズムと上手く付き合っていく方法を考えましょう。
先輩から学ぶ!1年目の辛い時期を乗り越えるために今できる行動5選
先輩たちはどのような方法で辛い時期を乗り越えたのか気になりませんか?
そこでこの章では、以下の5つをお伝えします。
- 勉強と実践の繰り返し
- 先輩や同期・家族に相談する
- 生活リズムを整える
- 病休を取る
- 転職をする
また、実際に相をするなら2〜3年目の経年が近い先輩が良いでしょう。同じ悩みを抱えている可能性が高く、共感もしてくれやすくなります。
では、順番に解説します。
1)勉強と実践の繰り返し
勉強と実践を繰り返して辛い時期を乗り越えましょう。
徐々にできる仕事が増えると、看護師として自信を持って行動できるようになるからです。1年目の看護師が辛いと思う理由に、自信を持って行動できないことがあげられます。
そこで私がおすすめする方法は、以下の4ステップです。実際に私も新しい部署に異動する度にしており、効果を実感したので、ぜひ試してください。
- 予習した内容をノートにまとめる
- まとめたノートを先輩に見てもらう
- アウトプットの機会があれば積極的に参加アピールをする
- アウトプットを通して実績で身に着ける
学習しただけでは、臨床で使えるスキルにはなりません。必ず予習したことを臨床でアウトプットしましょう。できる仕事が増えると、自信を持って行動できます。
2)先輩や同期・家族に相談する
先輩や同期・家族へ相談しましょう。
誰かに話しを聞いてもらうと気持ち楽になったり、現状を受け入れ前向きな気持ちになれたりします。
一人で悩んでいても何も解決しません。信頼する先輩や同期、心許した家族に辛いと素直に相談することで、現状と向き合えるのです。
実際私も1年目は辛いことばかりだったので、同期に相談したり、幼馴染に電話をかけたりしていました。辛い時期に自分の理解者が一人でもいると思えるだけで、次の日からも頑張ろうという気持ちになれます。
一人で塞ぎ込まず、周囲の人に相談してみるのも良いでしょう。
3)生活リズムを整える
生活リズムを整えるのも辛い時期を乗り越える方法です。特に睡眠時間は、1日7〜8時間確保することをおすすめします。
睡眠中に分泌される脳内神経伝達物質であるセロトニンは、別名ストレス解消ホルモンと言われています。睡眠中以外にも朝日を浴びた時にも分泌されるため、起床後すぐにカーテンを開けるのも効果的です。
また十分な睡眠ができていないと疲労回復できず、集中力の低下も招きます。このような状態で勤務に行くと、重大なミスや体調不良の原因にもなります。
夜勤や長時間の残業など不規則な生活になるからこそ、自分なりに生活リズムを整えていく必要があるのです。
4)病休を取る
辛い時期を乗り越えられず、心身ともに限界を迎えているなら、病休を取得しても良いでしょう。
病休を申請する場合は、精神科や心療内科で医師の診断を出してもらい、勤め先に申請しなければいけません。詳しくは勤めている病院や施設に相談しましょう。一度仕事から離れて、心身を休める時間を確保することも必要です。
私の同期を例にあげると、半年間ほど病休を取得し、復帰後は元の部署で楽しく続けられています。休職期間中に辛い時期を振り返り、それでも看護師として働きたいと決心できたから戻ってきたと話していました。
病休は仕事から逃げることではありません。自身を労わり、今後健康的に社会生活を送るための体力の温存期間なのです。
まずは上司に相談し、病休を申請してみても良いでしょう。
5)転職をする
最後に紹介する方法は、転職をすることです。
辛いことから解放され、新たな職場で心機一転できます。また、転職なら職場条件を自分で選べるメリットもあります。
例えば、急性期が肌に合わず辛いなら、慢性期専門も病院や施設を選ぶと良いでしょう。夜勤による生活リズムの乱れで体調不良が続くなら、勤務条件の合うところを探しましょう。
初めに就職した病院や施設だけが職場ではありません。広い視野で仕事選びができる転職も辛い時期を乗り越える方法なのです。
1年目看護師の3つのメリット
1年目看護師は辛いことばかりではありません。1年目だからこそ活かせる強みがあります。
この章では、1年目看護師の3つのメリットを紹介します。
- 質問しやすい
- 一緒に頑張れる同期がいる
- 学生時代よりも患者と密に関わることができる
では、詳しく解説します。
1)質問しやすい
1年目看護師のメリットは、先輩に質問しやすいことです。
1年目はわからないことだらけです。そして職場の先輩も十分理解しています。わからないことは積極的に質問し、メモをしておき、後で復習しましょう。経年数が増えると、異動先でも「分かる」「知っている」が前提になり、徐々に質問しにくくなります。
また先輩目線でも質問や相談ができる後輩は、信用できたり、もっと教えてあげたいと思ったりします。そして普段からコミュニケーションを取りやすい関係にもなれるのです。
先輩に質問や相談するのは緊張しますが、わからないことは質問できる間にしましょう。
2)一緒に頑張れる同期がいる
一緒に頑張れる同期がいることも1年目看護師の強みです。
リアルタイムで同じ悩みを抱えている可能性が高く、お互いの気持ちを理解しやすいからです。
配属先は異なりますが、看護師として歩み出すタイミングは同じです。そして、同じように知識やスキル不足を痛感したり、時に人間関係に悩んだりします。そんな同期とならお互いを励まし合うことができ、一緒に頑張れる勇気を与えてくれます。
辛い時期を一緒に乗り越えられる同期がいるのも1年目看護師のメリットなのです。
3)学生時代よりも患者と密に関わることができる
学生時代よりも患者と密に関わることができます。
学生時代と違い医療行為ができたり、患者と過ごす時間が長くなったりするからです。
またプライマリーナーシングなら、看護計画の立案から評価まであなた主体で実施できます。患者のことを知るために時間を作り話し合い、必要なら家族との連携もします。
あなたの関わり方次第で、患者の療養生活を良いものへ変えていけるのです。
看護師の給料は低い?一般職と比較して分かるお金の裏話
この章では以下2つの項目から、1年目看護師の給料事情についてお伝えします。
- 1年目看護師の平均月収
- 看護師の給料が高い理由
では、詳しく解説します。
1年目看護師の平均月収
日本看護協会のデータによると、1年目看護師の平均月収は、以下になります。
出典:(日本看護協会「2020 年 病院看護実態調査 報告書」
一般的な社会人の初任給が20万円前後であるのに対して、高いと感じる人もいるのではないでしょうか?
一方、臨床で働く現役看護師からは、給料が低すぎると不満の声を聞くこともあります。給料の高低については、人それぞれ感じ方が違います。金額だけ見れば、看護師の給料は高いことがわかります。
では次に、看護師の給料が高い理由についてお伝えします。
看護師の給料が高い理由
看護師の給料が高い理由は、夜勤手当があるからです。
夜勤手当は各病院で支給額が異なります。私の勤めていた病院は、1回で3,000〜4,000円でした。一方で看護師エージェント4社に問い合わせたところ、1回で15,000円と高額支給の病院もありました。
例えば、夜勤手当が1回8,000円だとします。月に8回夜勤があれば、夜勤手当の総額は64,000円です。月給は27万円であれば、差し引きすると一般的な社会人の初任給と大差ありません。
夜中の出退勤をしなければならず、生活リズムが乱れたり、小さな子供がいる家庭なら家族の協力が不可欠になったりと夜勤の負担は大きいでしょう。
実際私も夫婦で看護師をしていり、子供もいるので調整が難しかった経験があります。手当てはいらないので夜勤免除にしてほしいと感じていました。
看護師の給料は、夜勤手当があるため高く見えるだけなのです。
本当に辛かったら転職もあり!1年目看護師だけの3つの強み
「1年目で転職するのはダメ?」
「看護師として使えないと思われないか心配…。」
こんな疑問がありませんか?
本当に辛いなら転職も選択肢の一つです。
この章では、1年目の看護師だからこそ転職に活かせる3つの強みについて紹介します。
- 現在の職場を退職しやすい
- 転職先でも丁寧な教育を受けられる可能性が高い
- ストレスから解放される
では、順番に解説します。
1)現在の職場を退職しやすい
1年目の看護師なら退職しやすいことも強みになります。
臨床経験が浅く、戦力としてカウントされにくいからです。
看護師の経年が長くなると職場での役職や役割が与えられ、欠かせない存在になります。つまり退職や転職がしにくい雰囲気にもなります。
一方の1年目なら役職や役割は少ないため、退職しやすいでしょう。そしてあなたにも職場環境を選ぶ権利があるため、退職は決して悪いことではないと知っておきましょう。
2)転職先でも丁寧な教育を受けられる可能性が高い
1年目看護師の転職は不利になると考える人もいます。しかし、むしろ有利に働くことがあると皆さんは知っていますか?
1年目なら転職先でも丁寧な教育が受けられる可能性が高いでしょう。なぜなら、臨床経験は浅く、知識やスキルもあまり身に付いていない新人として扱ってもらえるからです。
実際、私の職場でも前職場に馴染めず転職してきた人も院内新人研修を受けていました。そのため研修で基礎から学ぶことができ、臨床でも新人として質問しやすい雰囲気で過ごすことができていました。
1年目の転職だからこそ、有利になることもあるのです。
3)ストレスから解放される
1年目に限らず、転職すると現在のストレスから解放されます。
人間関係や環境に適応しなければいけない1年目看護師のストレスは、計り知れません。
新しい環境に身を置くと、誰でもストレスを感じます。しかし出勤もできないほど辛いなら、転職先で心機一転始めてみるのも良いでしょう。
例えば、手術室に配属されたけど、血や手術器具を見ると気持ち悪くなるなら、手術室がない転職先を選ぶと良いでしょう。
まとめ
以上、看護師1年目のあるあるについて解説しました。重要なので以下にまとめます。
- 看護師1年目は人間関係や環境の変化で辛いことが沢山ある
- 辛い時期を乗り越えるなら、辛い気持ちを一人で抱え込まない
- 看護師1年目のメリットは質問しやすいことや一緒に頑張れる同期がいること
- 転職するのも選択肢の一つ
看護師は患者の命を預かる責任の重い仕事であり、1年目のストレスは図り知れません。知識やスキル不足を痛感したり、人間関係で辛い思いをしたりする人もいます。看護師に向いていないのではないかと逃げたくなることもあります。
そんな時は同期や先輩・家族に相談しましょう。辛いことに直面しても、相談相手がいるだけで心強いものです。
それでも辛い場合は、勇気を持って病休や転職するのも選択肢の1つです。看護師を続けていくためにも、自分自身を労ってあげましょう。
また1年目看護師だけのメリットもあります。わからないことは素直に質問できることや励まし合える同期の存在は大きいでしょう。学生時代よりも患者と濃い関係を築け、あなたの看護が活きて救われる命もあります。
あなたが1年目の辛い時期を乗り越えて、看護師として働き続けられるように、ぜひこの記事を参考にしてください。
この記事を書いた人
秋山 京洋
広島県立三次看護専門学校卒業看護師免許取得小児科や一般外科病棟を経験。現在は臨床で培った知識やスキルを活かしてライターとして活動中。執筆業以外にもKindle本の出版や絵本制作など精力的に活動の場を広げている。