看護師転職を成功させるため!押さえておきたい面接にむけての重要ポイント

看護師の面接対策

看護師として働いていると、働き方に疑問をもったり、ワークライフバランスを考えないといけない時期に直面することがあるでしょう。実際、日本看護協会の報告によると

2019年度(令和元年度)の看護職離職率は、正規雇用看護職員 11.5%、新卒採用者 8.6%となり前年度より増加していることが分かりました。

【参考】2021年3月 日本看護協会 「2020 年 病院看護実態調査 結果:看護職の離職率」

しかし、医療の現場は常に看護師不足に悩まされているのが現状です。

2021年6月の厚生労働省の報告によると、看護職の有効求人倍率は2.44倍であり、他職種の1.13倍と比較しても依然有効求人倍率が高いことが分かります。

参考】2021年6月 厚生労働省 「一般職業紹介状況(令和3年6月分)について」

このことからも、看護職の転職は「売り手市場」であり、自分の希望にあった職場への転職がしやすい傾向であるといえます。

看護師を採用する際、多くの職場で重要視しているのが「面接」です。面接試験は主に、個人面接、グループ面接、オンライン面接があります。いずれの場合も、採用担当者は面接というコミュニケーションを通し、あなたの「人となり」を見ることで、この職場に相応しい人材かどうかを見定めます。そのため、看護師採用における面接試験が合否を左右するといっても過言ではありません。

面接では、限られた時間の中で、あなたのやる気や能力をどれだけ採用担当者に伝えることができるかが重要です。希望する職場への転職を成功させるためにも、面接対策をしっかり行い、自信をもって面接に挑みましょう。今回は、面接にむけて押さえておきたい重要なポイントについてご紹介します。

面接にむけての事前準備と心構え

パソコンを操作する手元

面接時に思わぬ失敗をしないためにも、面接前に確認しておきたい事前の準備と心構えについて解説します。

1)情報収集をする

転職先を絞る際に、多くの情報収集を行ってきたと思います。ですが、面接前には、今一度希望する職場の情報をしっかりと把握しましょう。特に、その病院・施設の理念や看護方針、特徴やこれまでの実績等を頭に入れておくことは、マナーであり知っていて当然のことです。また、それらの内容を志望動機に絡めて説明することで、よりここで働きたいという意思を伝えることができます。

2)履歴書の内容を把握しておく

履歴書や職務経歴書は、あなたの印象を決める大事な書類です。特に履歴書では、あなたの志望動機や自己アピールがしっかり示されているかが重要になります。そして、面接時には必ずこの履歴書を元に質問を受けることになります。

面接時には、履歴書に書いてあることについて矛盾なく説明でき、この職場で働きたいという意思を誠実に伝えることができるように、履歴書に書いたことを自分で把握しておくことは大変重要です。そのため、応募時の履歴書等の書類はコピー等をして、手元に控えておきましょう。

複数の病院・施設に対し同時に転職活動を行っている場合は、自己アピールや志望動機が変わることもあります。面接時、自分が混乱しないためにも、面接前に自分の履歴書の内容を把握しておくことは大切です。

3)第一印象で好感を持たれる服装や身だしなみ

面接での服装や身だしなみは、あなたの第一印象に大きく影響します。好感を持たれるためにも、相手に不快感を与えない、清潔感のある身だしなみを心がけましょう。

服装は、ブラックやネイビーといった落ち着いた色のスーツに、白のインナーが基本です。派手な色合いのもは避け、靴もスーツに合わせた落ち着いた色で、ローヒールのパンプスや革靴を選ぶと良いでしょう。また、病院・施設によって靴を脱ぐこともある(スリッパに履き替える、土足禁止等)ため、ストッキングや靴下はなるべく新しいものを履きましょう。鞄はカジュアルなものは避け、A4サイズの書類が入るような鞄にしましょう。

女性の場合は、ネイルやアクセサリーは付けず、メイクも最小限にし、髪が長い場合は結んだり、肩に掛からないようにして清潔感のある身だしなみを心がけましょう。男性の場合は、派手な柄のネクタイや靴下は避け、髭を剃り、髪型を整え清潔感を出しましょう。

4)持ち物の確認

面接先に持参するように指示された書類や持ち物を忘れることがないように、持ち物の確認はしっかり行いましょう。また、面接前に見返すことができるように、履歴書や病院・施設情報のコピーを持参するのも良いでしょう。面接時には以下のものを持参しましょう。

  • 応募書類(履歴書、職務経歴書のコピー等)
  • 病院・施設の情報書類(求人情報、HPのコピー等)
  • 筆記用具(派手な入れ物は避けましょう)
  • メモ、手帳
  • 印鑑
  • 腕時計(携帯は電源をオフした方が良いため)
  • その他先方から指定されているもの

5)アクセスの確認

面接は時間厳守です。なるべく15分前には到着することができるように、病院・施設への行き方やアクセスを必ず確認しましょう。特に、土地勘がない場所や馴染みのない場所の場合は、面接の前に実際のルートを確認し、下見しておくことをおすすめします。また、当日公共交通機関が遅延する場合もあるため、それらを想定した出発時間やアクセス方法を考えておきましょう。

6)礼儀やマナーを心掛ける

面接先で礼を失さず、印象を良くするためにも、最低限の礼儀やマナーは大切です。特にその病院・施設で面接を行う場合は、面接時だけではなく、一連の動作を多くの人から見られています。入室・退室時の挨拶はもちろん、面接前の待合室での対応や施設を出るまでの言動にも注意を払いましょう。また、携帯を触ったりせず、電源を切るなどの配慮ができているかなどは最低限のマナーです。当日の行動は見られていることを意識して行動しましょう。

看護師の面接で多くみられる質問と回答例

面接を受ける女性

看護師採用の面接では、ある程度質問される項目が決まっています。そのため、質問への回答を用意し、自分の言葉で表現できるよう練習しておくことが大切です。繰り返しイメージトレーニングを行うことで、自信を持って面接に挑むことができ、採用担当者への好印象にもつながります。

ここでは看護師面接でみられる主な質問と、その質問の意図、回答例をご紹介しますので、是非参考にされて下さい。また、これ以外に想定される質問に対しても自分の考えをまとめ、面接当日に備えておきましょう。

1)志望動機

「なぜ当院を志望したか」「当院でどのような看護をしたいか」等、どの面接でも志望動機を問う質問はみられます。同時に、この質問によって、あなたがどの程度病院や施設のことを理解できているかをみることができます。就職できればどこでもいいのでは?と思われないためにも、その職場の理念や方針等を織り交ぜながら、ここだからこそ可能な仕事や将来の目標、自分が働きたい理由を具体的に伝えましょう。

<回答例>

前職では急性期医療に長年携わり、さまざまな症例や患者様を看てきました。その中で、より素早い処置や判断の正確さが求められる救急の分野に対し、興味を持ち始めるようになりました。貴院は、地域医療の中核を担う病院の中でも、救急医療の専門であるため、今までの看護経験を生かしながら、救急の知識や技術をより高めることができるのではと思い志望致しました。

2)自己PR

志望動機と同じくよく聞かれる質問が、自己PRを求められる質問です。「あなたの自己PRをお願いします」と言われる場合もあれば、「あなたの長所は何ですか」「あなたの強みは何ですか」といった具体的な質問をされる場合もあります。採用者側にとって、あなたという人を深く知る機会になるので、あなたの性格や人柄を説明しながら、仕事に対する熱意や考え方、前職のスキルを今回どのように仕事に生かせるかをしっかりアピールしていきましょう。

「①結果、②具体的なエピソード、③今回の仕事へどう生かすか」の順で話すことで、自己アピールをしやすくなります。

<回答例>

私の強みは、どのような時も冷静に判断できることです。前職は急性期病棟に勤めていたこともあり、急変する多くの患者様の対応をしてきました。その中で、上司や先輩方からは冷静に判断して動くことができていると評価をしていただくことができました。緊急性の高い患者様が多い貴院では、持ち前の冷静さを生かし、緊迫した医療現場でも速やかに適切なケアができるよう尽力していきたいと思います。

3)退職理由

前職の退職理由も多くの面接で質問されます。この質問の意図は、あなたが責任のある人かを見極めるのと同時に、人柄や仕事に対する価値観を知ることにもなります。また、同じ理由で退職をする可能性があるかどうかも判断されます。もし退職理由が「福利厚生が良くなかった」「人間関係が良くなかった」等のネガティブな理由だと、また今回も同じ理由で辞めてしまう可能性が高いと思われてしまいます。そのため、退職理由はなるべくポジティブな言葉に変換して伝えましょう。

<回答例>

前職は産科クリニックで働き、そこで一通りの看護スキルを習得することができました。その中で、新生児医療のことについてもっと学びたいという思いが強くなり、NICUのある貴院であればその知識と技術が学べ、これまでの経験も生かすことができると考えました。また、研修やラダー制度が他院より充実しており、貴院でより多くのスキルを身につけることができると思い転職を決意致しました。

4)看護職を志したきかっけ

巡回する看護師

あなたが看護師を志した理由も、よく聞かれる質問のひとつです。この質問の意図は、あなたの看護師としての思いや、熱意を知ることです。また、あなたの人柄やこれまでの生き方、現在の看護観にも繋がるため、回答はなるべくポジティブな言葉を使い、自分の看護師に対する想いが伝わるようにしましょう。

<回答例>

祖母が入院をしていたため、お見舞いに行く機会が多かったのですが、祖母の担当看護師さんがとても優しく、祖母に対していつも親身になってケアをしていただいたことが記憶に残っています。今でも祖母が、「あんなに信頼のおける看護師さんに今まで会ったことがない」と話しており、私もそんな風に、誰かの記憶にいつまでも残ることできる人になりたいと思ったのをきっかけに、看護師を志すようになりました。

5)あなたの看護観

看護観とは、あなたが看護師として大切にしていることや、看護師としての信念のことです。「どんな看護師になりたいですか」「看護師にとって大切なことは何ですか」といった形で質問をされる場合もあります。この質問の意図は、病院や施設の理念・方針と一致しているか、長く働いてくれる人材かを確認するためのものです。そのため、応募先の方針などをしっかりと確認した上で、自分の言葉でどのような看護師像が理想であるかを伝えましょう。

<回答例>

看護師にとって大切なことは、患者様が安心・信頼ができ、気軽に話しができることだと考えます。その理由として、患者様が安心して自ら話をしてくれるような雰囲気作りをすることは、より多くの情報収集ができ、入院期間のみならず退院支援でも、QOLの高い充実したケアの提供につながると感じているからです。このことからも、日頃から患者様との信頼関係構築のために、常に笑顔で目線を合わせ、ゆっくりと傾聴する時間を作るように努めています。

6)患者さんとの印象的なエピソード

この質問の意図は、あなたの看護観の補足や、看護師としてのやりがいを感じるポイントを知るためのものになります。あなたらしさを表現しても良いですが、今までの経験を振り返り、今後の仕事や目標につながるようなエピソードを話すとなお良いでしょう。

<回答例>

ナースコールを滅多に押さない患者様からコールがあり、急いで駆けつけると、大変申し訳なさそうに失禁を伝えてきました。その方は、事故の後遺症で麻痺があり失禁があるのは仕方なかったのですが、その時は失敗してシーツを汚してしまったと、大変申し訳なさそうにしていました。「忙しいのに私なんかのために仕事を増やしてごめんなさい」と何度も言われ、私たちが声をかけづらいほど、余裕なく仕事をしているように見えていたのだと思い反省しました。それと同時に、私たちに対して気を遣い、ナースコールを我慢する方だということが分かったため、速やかにスタッフ間で周知し、なるべくこちらから困っていることはないかなど声をかけるようにしました。

採用担当者がみているところ

面接官

面接内容の他にも、採用担当者は様々な場面であなたをチェックしています。ひとつは、看護師である以前に、人としてのマナーや言葉使いがきちんとできているかを見みています。面接前後の一連の動作をチェックされていますので、失礼のない言動を心掛けましょう。

また、看護師として必要なコミュニケーションスキルがあるかも見られています。笑顔で受け答えできているか、目を合わして会話ができているか、質問に対してしっかり回答できているかは看護師として大切なスキルです。そのため、日頃からこれらを意識して人と接するように心掛けましょう。

逆質問ではどのようなことを聞けばいいの?

面接の最後、ほとんどの場合「何か質問はありませんか」といった逆質問を受けます。安易に「特にありません」と答えてしまうと、やる気や興味がないと思われかねないため、必ずひとつは質問を考えておきましょう。その際、気をつけないといけないのは、サイトや求人情報で調べられるような内容については質問しないということです。そのような質問をしてしまうと、下調べが足りず、本当は関心がないのではと思われます。

逆質問の内容は、サイト等の情報をみて分からなかったところや、面接前に病院・施設見学などがあれば、その時に感じた疑問や質問をすると良いでしょう。逆質問をすることで、相互に誤解や分からないことがない状態を防ぐことができ、就職をしたいという意欲をみせることもできます。

まとめ

指をさす看護師

看護師の転職において面接試験は採用を左右する重要なものになります。しかしほとんどの就職試験の場合、面接の機会は1回しかありません。転職を成功させるためにも、面接に対する事前準備を十分に行い、質問に対し自分の言葉でしっかり答えることができるよう、イメージトレーニングをしましょう。

しかし、自分で用意した面接対策に不安を覚える人も多いでしょう。そこで頼りになるのが看護師転職サイトのキャリアアドバイザーによる、手厚いサポートです。面接対策だけではなく、自分の希望条件に合った転職先の見つけ方、印象の良い履歴書の書き方など、あなたの転職を成功に導くためのサポートが充実しています。転職を確実に成功させたい方、面接対策に不安がある方は、看護師転職サイトを活用するのもよいでしょう。

転職はあなたの人生を変え、看護師としてより輝くためのとても大切なチャンスです。希望に合った就職先に転職するためにも、事前にできる準備をして転職を成功させましょう。

この記事を書いた人

古市菜緒

古市 菜緒

助産師・看護師・保健師免許保有助産師としてこれまで10,000件以上の出産に携わり、5,000人以上の方を対象にセミナーの講師を務める。助産師のレベルが世界的に高いといわれるオーストラリアとニュージーランドで生活。帰国後バースコンサルタントを起ち上げ、高齢出産の対象である35歳以上の女性にむけた「妊娠・出産・育児」をサポートする活動を行う。その他、関連記事の執筆・監修、オンラインサミットやセミナー講師などを務める。

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