看護師の仕事はきつい?元看護師が考えるきつい理由と4つの解決方法について徹底解説

看護師の仕事がきつい理由

「看護師の仕事がきつい…。」
「自分と同じようにきついと感じている人はいるの?」
「きついと感じた時の解決方法を教えてほしい」

このようなお悩みはありませんか?

命に関わる責任重大な看護師の仕事をきついと感じるのは、当たり前の反応と言えます。そしてそんな時に自分なりの解決方法を持っておくだけで、気持ちが楽になるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、看護師の仕事がきついと感じる理由やその解決方法、今後も看護師として働くメリットについて詳しく解説します。

看護師として長年働いた私だからこそ伝えられる内容があると考え、この記事を書きました。皆さんがきついことを照らし合わせならが読んでもらえると嬉しいです。

ぜひ、最後までお読みください。

看護師の仕事はきつい!よく聞く9Kって何?

頭を抱える看護師

看護師の仕事の9Kは、以下の通りです。

  1. きつい
  2. 汚い
  3. 危険
  4. 帰れない
  5. 給料が安い
  6. 休暇が取れない
  7. 婚期が遅れる
  8. 化粧のノリが悪い
  9. 過酷な労働環境

これら頭文字をとって9Kと言われています。

しかしながら「過酷な労働環境」については、2019年に施行された働き方改革関連法を受けて、厚生労働省が具体的な取組を始めました。

  1. 残業時間の上限を規制します
  2. 「勤務間インターバル」制度の導入を促します
  3. 1人1年あたり5日間の年次有給休暇の取得を、企業に義務づけます
  4. 月60時間を超える残業は、割増賃金率を引上げます(25%→50%)
  5. 労働時間の状況を客観的に把握するよう、企業に義務づけます
  6. 「フレックスタイム制」により働きやすくするため、制度を拡充します
  7. 専門的な職業の方の自律的で創造的な働き方である「高度プロフェッショナル制度」を新設し、選択できるようにします

参考文献:厚生労働省/働き方改革 P3

これら改革が施行されたことで、少なくとも「帰れない」「休暇が取れない」「過酷な労働環境」の3項目は改善が期待できます。

その他についてもそれぞれの職場で取組まれているため、今後徐々に改善していくと予測されます。

看護師の仕事がきついと感じる5つの理由

看護師の仕事がきついと感じる理由は、以下の5つです。

  1. 常に緊張している
  2. 人間関係が悪い
  3. 拘束時間が長い
  4. 夜勤労働が負担
  5. 給料が安い

現在、看護師の仕事がきついと感じている方は、これから紹介する理由に当てはまる可能性が高いでしょう。きつい理由がはっきりするだけでも気持ちが楽になるので、ぜひ参考にしてください。

1)常に緊張している

命に関わる責任重大な看護師の仕事は、常に不安と緊張の連続です。自分のミス一つで患者の命が危険にさらされる可能性があるからです。

仕事中は常に緊張し、心休まる時がありません。 また帰宅後も患者の状態やその日行った処置などが正しかったのかと気になり、眠れないことも多々あります。

私も就職3年目までは、毎日不安であり、帰宅後も緊張し続けていたことを今でも鮮明に覚えています。初めて配属されたのが小児外科病棟で手術後に劇薬や麻薬を使うことが多々ありました。 医療用麻薬の取り扱いは厳重に行わなければならず、2年目までは帰宅後も正しく処理されているかが心配になり、再度職場に確認しに行くこともありました。

命を預かる責任重大な仕事だからこそ、極度の緊張と不安からきついと感じるのではないでしょうか。

2)人間関係が悪い

人間関係が悪いことも看護師の仕事がきついと感じる理由でしょう。
すべての職場に当てはまるわけではありませんが、少なからず人間関係が劣悪な職場もあることは事実です。

以下は看護師の退職理由について示した厚生労働省のデータです。

「その他」の理由を除き、1位「出産・育児のため」、2位「結婚のため」、3位「他施設への興味」の前向きな退職理由に次いで、4位「人間関係がよくないから」であることがわかります。

先述しましたが、臨床現場は常に緊張の連続です。一分一秒を争う現場では、時に強い口調で指示を出す人がいたり、意見の食い違いからギクシャクした関係になったりすることもあります。

後輩に対して不満や悪口を漏らす人もいるでしょう。そんな中で長年仕事をしていると、無自覚に気が強くなってしまうものです。実際私も自覚はありませんが、家族や友人から「気が強くなった」と指摘されることもあります。

人間関係が悪い職場だからという理由で看護師の仕事がきついと感じる人もいます。

3)拘束時間が長い

看護師の仕事は拘束時間が長く、疲労することもきつい原因になります。拘束時間が長くなる理由は、以下の2点があげられます。

  • 前残業の習慣化
  • 対人間の仕事

受け持ち患者の情報収集は前残業にあたります。早めに職場入りして受け持ち患者の状態を確認しておかないと、急変や緊急処置でスムーズに対応できません。情報不足は患者の命を危険に晒します。

また、対人間の仕事というのも拘束時間が長くなる原因の一つです。個々の患者の状態に合わせた看護の提供が求められます。機械やコンピューターと違い、関わり方に明確な基準や答えはありません。

例えば、午前中に患者の身体ケアを行う予定でも、病状や検査の時間が押してしまったため、勤務終了間際から行うというのはよくある話です。その結果、ケアの記録や申し送りなどが後回しになり、残業せざるを得ない状況になります。

スケジュール調整が難しい対人間の仕事は、拘束時間が長くなりやすく、きついと感じる原因になるのです。

4)夜勤労働が負担

夜勤がしんどいと感じる看護師も多いのではないでしょうか。夜中に出勤したり、明け方に帰宅したりする勤務体制は、生活リズムが乱れるだけでなく、疲労の原因にもなります。

睡魔と戦いながら朝まで働く夜勤は、想像以上に疲れます。帰宅後すぐに寝ても、また夜中には出勤の場合もあるでしょう。夜勤前の休日は勤務に備えて寝て過ごすだけという人もいるため、休日とはいえリフレッシュできません。

このように夜勤を負担に感じて看護師の仕事がきついと感じる場合もあるのです。

5)給料が安い

給与明細

責任が重くストレスに対して給料が安いと、看護師の仕事がきついと感じやすくなります。看護師の年収について、厚生労働省のデータは以下の通りです。

決まって支給する現金給与額年間賞与その他特別給付額年収平均月収
男女計332万4,000円80万8,900円413万2,900円約34万4,000円
341万8,000円86万3,900円428万1,900円約35万6,800円
330万8,900円79万9,700円410万8,600円約34万3,000円

※企業規模計100〜999人

参考文献:厚生労働省/令和2年賃金構造基本統計調査

年収だけ見ると高給に見えますが、夜勤手当等を含めた数字だとしたら、妥当ではないでしょうか。

現役看護師の中には、給料への不満から転職をしたり、他職種に転身したりするケースもあります。仕事量に見合っただけの給料が支給されていないと感じることも、看護師の仕事がきつい原因になりうるのです。

【即実践可】看護師の仕事がきついと感じた時の解決方法3選

落ち込む女性

看護師の仕事がきつい一方で、具体的な解決方法がわからず過ごしている人も多いのではないでしょうか。解決できないまま続けていると、心身への負担は増える一方です。

そこでこの章では、以下4つの解決方法についてお伝えします。

  1. 周囲に相談する
  2. 仕事から離れてみる
  3. 職場環境を変える

即実践できる具体的な方法で解説しますので、ぜひ参考にしてください。

1)周囲に相談する

看護師の仕事がきついと感じているなら、周囲の人へ相談しましょう。

一人で悩んでいても答えは出ないことが多かったり、同じ悩みを抱えている人と共感し会えたりできるからです。私の経験上、同期は同じ悩みを抱えていることがよくあります。そのため、お互いの気持ちを理解し合え、心の支えにもなります。

また、第三者に相談すると具体的なアドバイスをもらえることもあるでしょう。特に先輩や他職種に相談すると、自分や同期だけでは考えられなかった解決方法を聞けたりします。

素直に相談すると、気持ちの整理が付き、前向きになます。もし仕事がきついと悩んでいるなら、周囲の人に相談してみると、気持ちの整理ができたり、解決方法が見つかったりするでしょう。

2)仕事から離れてみる

出勤するのも辛いと感じているなら、一度仕事から離れてみる方法もあります。

具体的には、連休や休職など長めに休ませてもらえるよう師長に相談しましょう。

「自分が休むことで周りに迷惑がかかるのでは?」
「休み希望なんか出せる雰囲気ではない…。」

このように考えてしまう気持ちも凄くわかります。看護師不足の職場なら一人欠員するだけでも大混乱になります。それほどまでに、休み希望出すのは勇気のいる行動です。

しかしあなたが無理をして体調を崩すと、結局は病休として長期に休まざるを得なくなります。そして、勤務先にとってもより大きなダメージになるでしょう。

勇気を出して、仕事から離れることも解決方法の一つなのです。

3)職場環境を変える

休職や勤務調整でも解消されず、心身ともに限界を迎えているなら、転職や部署異動を考えましょう。

きつい原因を取り除いた勤務先や部署を選べる可能性があります。

例えば夜勤がきついなら、外来へ部署移動させてもらうと良いでしょう。給料が安いことが原因なら、今よりも収入が見込める病院へ転職する方法もあります。職場が変われば、新たな気持ちで始められるでしょう。

職場環境を変えることで、きついと感じる原因を取り除ける場合もあるのです。

続けないと分からない!看護師として働く3つのメリット

悩む看護師

看護師の仕事は、きついことばかりではありません。続けているからこそ感じるメリットもあります。

そこでこの章では、看護師として働く3つのメリットについて紹介します。

  1. 直接感謝を言ってもらえる
  2. 給料が保証されている
  3. 転職が容易

長年看護師として働いた私自身も感じたメリットなので、信ぴょう性があります。また、メリットがわかると仕事に対するモチベーションを上げたり、看護職の素晴らしさを再認識したりできるでしょう。

では、順番に解説します。

1)直接感謝を言ってもらえる

患者や家族に直接感謝された時、 看護師を続けていて良かった思えるのではないでしょうか。また、看護師としての誇りや続けていくモチベーションにもなります。

多種多様な仕事がある現代において、看護師ほど直に感謝される仕事はありません。患者にとって看護師は、痛みや不安を解消してくれる存在です。寄り添ってもらい救われたと感じる患者も多く、直接感謝してもらいやすい仕事なのです。

直接感謝されることは看護師として働くメリットではないでしょうか。

2)給料が保証されている

給料が保証されていることも看護師として働くメリットです。

保証されている理由として、看護師の需要は伸び続けていることがあげられます。また、全国どの地域であっても就職先に困まることもありません。年収から見ても平均的なサラリーマンより高収入であるとわかります。

職業年収(ボーナス込み)月収(ボーナス込み)
看護師413万2,900円34万4,000円
高等学校教員5,77万1,700円48万975円
理容・美容師2,60万7,600円21万7,300円
販売定員2,99万8,200円24万9,850円
栄養士3,19万8,700円26万6,558円

※企業規模計100〜999人

参考文献:厚生労働省/令和2年賃金構造基本統計調査

もし家族を養っているなら、安心した生活が保証されます。また、資格取得によるキャリアアップや継続勤務で給料UPも期待できます。

転職先も選ばれるのではなく、自分の条件に合った職場を選べます。そのため給料面で納得した職場に就職することもできるのです。

看護師として働くと、給料が保証されているメリットもあるのです。

3)転職が容易

転職で困らないことも看護師として働く強みです。

昨今の看護師不足の背景から求人が尽きることはなく、需要も十分にあります。また令和3年度の看護師国家試験合格率は90.4%であり、就業者数の確保が課題になっていると予測できます。

参考資料:厚生労働省/第107回保健師国家試験、第104回助産師国家試験及び第110回看護師国家試験の合格発表

看護師国家試験は落とすための試験ではなく、看護師になる最低限の基礎知識を確認する試験なのです。そして令和3年度も59,769人の合格者が出ているにも関わらず、看護師の人数不足は依然続けています。

このことより、看護師はまだまだ需要のある仕事であり、転職もしやすい状態であることがわかります。

経年数が少なくても転職は可能?転職する4つのメリット紹介

微笑む男女の看護師

看護師の仕事がきついと感じた時、一度は転職を考えたことがあるのではないでしょうか。しかし、いざ転職をしたいと思っても、転職先で通用するスキルが身についているか不安ですよね。また、あなたと同じ経年数の看護師が転職できているかも気になるところです。

そこでこの章では、経年数が少な看護師が転職する4つのメリットについて紹介します。

  1. 転職先を広い視野で探せる
  2. フットワークが軽い
  3. ワークライフバランスが取れた職場を選びやすい
  4. 質問しやすい

では、詳しく解説します。

1)転職先を広い視野で探せる

3年間の臨床経験があれば、転職先を広い視野で探せます。業務内容や専門知識、夜勤のストレスなどの経験は、転職先に求める条件を考える材料になります。

また最初の職場で三年間続けられたことは、転職先で十分な臨床経験として認めてもらえます。即戦力としても期待されるでしょう。

一方でリーダーやプリセプターなどの経験が乏しいので、転職先でも経験ができるかは確認しておいた方が良いでしょう。

看護師として実際に働いた経験は、転職先を選ぶ上で視野を広げてくれるのです。

2)フットワークが軽い

経年数が少ない看護師が転職するメリットに、フットワークの軽さがあります。

特に3年目以内の看護師は、プリセプターや委員会、研修の主催などの役割が与えられていることは稀です。また、結婚や子育てをしている人も比較的少なく、転職しやすいことがあげられます。

一方、経年数とともに職場での役割が増え、子どもの学校の関係で簡単に居住地域を変えられないなど、転職が難しくなってくる場合もあるでしょう。

フットワークが軽いことも、経年数が少ない看護師が転職するメリットになります。

3)ワークライフバランスが取れた職場を選びやすい

仕事と生活のバランスが取れた職場を選べるのもメリットです。

看護師を3年も間経験していれば、看護師の仕事に関するある程度の知識が身につきます。これらの経験からワークライフバランスの取れた転職先を探せるでしょう。また、結婚や子育てなどの人生設計を踏まえて転職先探すこともできます。

ワークライフバランスの取れた職場を選べるのも転職するメリットなのです。

4)質問しやすい 

経年が少ないため転職は不利と考える人もいますが、実は経年数が少ないことが有利に働く場合もあります。

例えば、経年数が少ないと質問や相談がしやすいでしょう。転職先の先輩も即戦力として期待している反面、まだまだ経験値が少ないからと大目に見てくれたり、丁寧に仕事を教えてくれたりしてくれる可能性があります。

経年数が少ない内に転職すると質問がしやすく、成長できる機会を増やせるメリットがあります。

まとめ:本当にきつい時は転職も選択肢の一つ

会話する3人の女性

以上、看護師の仕事がきついと言われる理由や解決方法についてお伝えしました。要点は以下にまとめます。

  • 看護師の9Kの内「過酷な労働環境」は厚生労働省の働き方改革で改善が期待される
  • きついと感じる理由は職場環境や人間関係など様々にある
  • きつい時はまず周囲に相談してみる
  • 看護師として働くメリットは「患者に直接感謝されること」や「転職に強いこと」
  • 経年数が少ない場合でも転職が有利に働く場合がある

現場で日々血の滲むような努力をしている看護師がいるからこそ、現在の医療業界はあると言っても過言ではない。患者の救命から社会復帰をするまで寄り添う看護師は、やりがいのある素晴らしい仕事です。

一方で仕事がきついと感じ、看護師を離れたいと考えている人もいるのではないでしょうか。

そんな時は、転職で職場環境を変えてみるのも良いでしょう。転職と聞くとハードルが高く、自分にできるか不安に感じる人もいます。現職場で働きながら、自分で一から転職先を見つけるのは大変です。

そこで、先輩に相談したり、転職エージェントを上手く活用したりすることをおすすめします。楽しく看護師を続けるためにも、この記事を参考にしてもらえると嬉しいです。

この記事を書いた人

秋山 京洋

秋山 京洋

広島県立三次看護専門学校卒業。看護師免許取得。小児科や一般外科病棟を経験。現在は臨床で培った知識やスキルを活かしてライターとして活動中。執筆業以外にもKindle本の出版や絵本制作など精力的に活動の場を広げている。

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