「男性看護師として働くメリットってあるの?」
「男性看護師が働きやすい職場にするためにすべきことは?」
「男性看護師ならではの悩みをもっと知ってほしい」
このよう悩みにお答えしていきます。
結論、男性看護師で働くメリットは数え切れないほどあります。筆者も長年勤務した経験があり、男性看護師として働けて良かったと感じることがありました。
そこでこの記事では、以下について解説します。
- 男性看護師として働くメリット
- 男性看護師ならではの悩み
- 働きやすい職場環境にするためのポイント
もし男性看護師として働くメリットがわからないという現役看護師の方がいるなら、ぜひこの記事を参考にしてください。
目次
男性看護師の割合と需要がある理由
実際に現場で働いている皆さんは、男性看護師の割合や需要がある理由について考えたことがありますか?
男性看護師の割合は徐々に増えつつあり、それに伴って需要も高まっています。この章では、男性看護師の割合や需要がある理由について深堀していきます。
これからの男性看護師業界を考える上で大切な内容となりますの、ぜひ参考にしてください。
男性看護師の割合
男性看護師の割合について、厚生労働省の平成30年度 衛生行政報告例の概況によると、男性看護師「7.8%」女性看護師「92.2%」と10分の1に満たない少数派であることがわかります。一方で、職場や診療科によって男女比が変動もします。
例えば、私が初めて就職した病院は、男性の割合が1割でした。また精神科病院に勤めている友人は、3割くらいは男性と言っていました。
近年、男性看護師の割合は増加しています。男性看護師を求める職場もあるため、これからも増加していくことが期待されます。
男性看護師の需要がある理由
男性看護師の需要がある理由は、安定した労働力にあります。
男性は女性と違い妊娠や出産というライフイベントがなく、退職や休職することがないからです。また年齢とともに家族ができると、養うために働き続けることから一定の需要があると言えます。
その他にも整形外科や精神科など、男性看護師の需要がある職場や診療科があるのも理由としてあげられます。力仕事や危険が伴う診療科では重宝されます。また、女性ばかりの職場なら男性看護師が加わると、男性目線の意見を取り入れられたり、職場の雰囲気を変えたりもできます。
このように看護業界において、男性看護師の需要は様々なところで高まっているのです。
男性看護師として働く7つのメリット
男性看護師として働くメリットは、以下の7つです。
- 給料が高い
- キャリアアップがしやすい
- 男性を求める職場がある
- 顔と名前を覚えてもらいやすい
- 女性スタッフから頼られやすい
- 男性目線での意見を取り入れられる
- 転職に強い
では順番に解説します。
1. 給料が高い
女性看護師よりも給料が高いことは、男性看護師として働くメリットではないでしょうか。
看護師の給料については、厚生労働省の令和2年賃金構造基本統計調査を参考に、以下の表にまとめました。
決まって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特別給付額 | 年収 | 平均月収 | |
男女計 | 332万4,000円 | 80万8,900円 | 413万2,900円 | 約34万4,000円 |
男 | 341万8,000円 | 86万3,900円 | 428万1,900円 | 約35万6,800円 |
女 | 330万8,900円 | 79万9,700円 | 410万8,600円 | 約34万3,000円 |
※企業規模計100〜999人
給与面から見ても男性看護師は女性看護師よりも17万3,300円も高いことがわかります。給料が高ければ、働くモチベーションにもなります。
2. キャリアアップがしやすい
キャリアアップがしやすいこともメリットの1つでしょう。
最近では男性の看護師長やDMATなどキャリアアップできる機会やライセンスが増えてきたからです。
特に男性の看護師長が増えると、女性中心の組織の考え方や雰囲気を変えられます。そのため、男性のキャリアップに期待が寄せられています。
また認定・専門看護師のように特定ジャンルの専門性を高めてキャリアアップもできます。看護師はキャリアップの選択肢が多い点でもメリットがあるのです。
3. 男性を求める職場がある
男性を求めている職場があることも男性看護師として働くメリットです。
特に救命センターや手術室のような体力勝負の病棟、男性患者が多い泌尿器科などで需要があります。また思春期の男性はデリケートになりやすく、その父親も女性より男性看護師に相談したいといったケースもあります。
以前私が小児科で働いていた時、子育てについて男性看護師に相談したいと希望される父親もいました。男性同士だからこそ相談できる内容もあります。
少数派の男性看護師ですが、需要のなる職場も数多くありますので、安心して働きましょう。
4. 顔と名前を覚えてもらいやすい
スタッフや患者から顔と名前を覚えてもらいやすいのも男性看護師のメリットでしょう。
人数が少ない分、目立った存在となり、周囲の記憶に残りやすいからです。
男性看護師が増えてきたと言われる現代でも、女性看護師との割合は10 :1未満です。勤務日に病棟で男性は私だけということもよくある話です。そのため、すぐに顔と名前を覚えてもらいやすく、コミュニケーションのきっかけにもなります。
私も初めて配属された病棟は、私を含め男性看護師が2人だけだったため、病棟スタッフや患者、他職種の人からもすぐに顔と名前を覚えてもらえました。そのおかげで円滑なコミュニケーションが取れることが多く、男性看護師で良かったと感じる場面も多々ありました。
顔と名前を覚えてもえるとコミュニケーションのきっかけにもなるのです。
5. 女性スタッフから頼られやすい
女性スタッフから頼られることも男性看護師として働くメリットです。
頼られると職場での存在価値や居場所を確保できます。そして何より頼られると嬉しかったり、男性看護師で良かったと思えたりします。
例えば、大柄な患者の移乗や危険行動のある精神科患者への対応など、男性看護師が頼りにされます。また酸素ボンベや病室のレイアウトを変更するなどの力仕事の時も重宝されます。
そこで頼りにされるためにも、日頃からできることを見つけて、積極的に参加しておきましょう。
6. 男性目線での意見を取り入れられる
男性目線の意見を取り入れられるのも男性看護師として働くメリットです。
女性が大半を占める職場では、どうしても女性目線の意見に偏ってしまう傾向にあります。その結果、男性患者の思いに気付きにくかったり、適切な看護が提供できなかったりする場面もありました。
男性看護師が一人いるだけでも、新たな意見を取り入れた看護ができたり、場合によっては男性患者と直接話せたりもできます。男性同士なら話せる内容もあり、その意見を女性スタッフへ伝える架け橋的な役割も担っています。
男性目線の意見を取り入れ、看護に反映できるのは男性看護師としてのメリットなのです。
7. 転職に強い
転職に強いことも男性看護師として働くメリットです。特に家庭持ちや子どもがいる人は有利になります。
女性看護師は妊娠や子育てといった男性には経験のできないライフイベントがあるからです。これらライフイベントをきっかけに退職する人もいます。
一方の結婚している男性看護師は家庭の大黒柱として稼いだり、結婚考えているなら貯蓄が必要になったりします。そのため病院側も継続雇用できる可能性が高く、転職先でも重宝されるのです。
転職に強いなら仕事に困ることはないため、安心して働き続けられるという点でもメリットがあるのではないでしょうか。
男性看護師ならではの3つの悩み
この章では、男性看護師ならではの悩みについて、以下の3つを紹介します。
- 将来の姿が想像しづらい
- 女性患者への対応が難しい場面がある
- 働ける診療科が限られる
悩みと一緒に解決方法も合わせて紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
1. 将来の姿が想像しづらい
男性看護師の皆さんは、40歳や50歳になった時の姿をイメージできますか?
男性看護師が増えてきたと言っても、まだまだ全体数は少なく、年齢層も若い人が大半を占めます。そのため、40〜50歳の男性看護師をあまり見ることがなく、将来の姿をイメージしづらいでしょう。
未来がイメージできないと、本当に看護師のままで良いのだろうか?という不安を感じることもあるかもしれません。
そんな時は先輩が将来についてどう考えているかを聞き、あなた自身の将来についても早めに考えておきましょう。
例えば専門性の高い看護師として働き続けるなら資格を取得したり、看護師の経験を活かして産業看護師になったりする選択肢もあります。それでも将来のイメージできないなら、自分が看護師としてどうなりたいかを考えると不安の解消ができるでしょう。
2. 女性患者への対応が難しい場面がある
女性患者への対応で困ったことはありませんか?
男性看護師であるがために、女性患者への対応が難しい場面は必ずあります。
特に侵襲の大きい医療処置や身体に触れなければいけない清潔ケアや排泄介助で断られることがあります。そんな時は開き直って女性看護師と交代してもらいましょう。女性患者が拒否するに至った思いを尊重するのも大切な看護だからです。
どうしても交代できるスタッフがいない時は、処置やケアの必要性を説明して実施させてもらうなど、女性患者へ最大限配慮しましょう。
3. 働ける診療科が限られる
働ける診療科が限られるのも男性看護師ならではの悩みです。
代表的な例だと、助産師は女性だけが取得できる資格であり、男性看護師は現場には立ち会えません。また身体に触れる介助や医療処置も男性看護師を拒否する患者もいます。
そのため診療科や参加できるケアなどについては、女性看護師の方が柔軟に対応できる職場なのは間違いありません。しかし、男性看護師として他で貢献できる仕事を見つけたり、男性の強みを活かせる職場を希望したりするなど、あなたにできることはあるはずです。
性別に固執することなく、あなたにできる看護をしていきましょう。
【経験談】男性看護師が働きやすい職場にするための7つのポイント
この章では、男性看護師として働きやすい職場にするための5つのポイントを紹介します。
- 清潔感を保つ
- 女性の体調に配慮する
- 休憩時間を活用して距離感を縮める
- 相談できる男性の先輩を見つける
- 悪口や噂には加わらない
私自身の経験談も踏まえ、働きやすい職場にできたと実感した内容も解説しますので、参考になります。ぜひ、最後までお読みください。
1. 清潔感を保つ
患者と接する機会が多く、清潔操作を要する処置に入ることが多い看護師は、男女問わず清潔感を重要になります。
患者に限らず、日頃から一緒に働くスタッフにも不快感を与えないように、髭を剃り、体臭や口臭に配慮しましょう。
清潔感を保つのは社会人として最低限のマナーです。自分では気付いていなくても、周囲はよく見ています。休憩時間やお手洗いをする時に身だしなみにも確認すると良いでしょう。
2. 女性の体調に配慮する
女性の体調に配慮できると、良い人間関係を築き、働きやすい環境にしていけるでしょう。
女性には性周期による気分の浮き沈みや体調不良など、男性には経験できない体調面での不安を抱えています。
時には体調が優れなくても仕事だからと無理して出勤することもあるでしょう。また妊娠している人は、つわりで食事が取れず、体力が落ちています。そんな時に体調に配慮した声かけやサポートができると、男性看護師として一目置かれるでしょう。
私も移乗介助やルート確保など妊娠中のスタッフがしんどいと思う処置は積極的に代わっていました。看護師はチームで働いています。女性スタッフがしんどそうなら、体調を気遣う声かけやサポートに入れるようにしましょう。
3. 休憩時間を活用して距離感を縮める
休憩時間を活用してスタッフとの距離感を縮めましょう。
看護師はチームで働いているため、日頃からの距離感や関係性が重要です。良い関係性を築けている職場なら、困った時に声を掛け合ったり、コミュニケーションエラーの予防もできたりします。
お互いのことを気にかけ、伝えたいことを声に出せる職場なら気持ち良く働けます。そして患者へ適切な看護が提供できるのです。
世間話や些細なことからでも構いません。コミュニケーションを通して働きやすい職場作りができるように、ぜひ休憩時間を活用してみましょう。
4. 相談できる男性の先輩を見つける
相談できる男性看護師の先輩を見つけておくのも働きやすい職場にするためのポイントです。男性同士だからこそ理解し合える相談事もあります。
自分の部署でいないなら、他部署や他職種の男性でも良いでしょう。
実際、私は自部署の先輩だけでなく、薬剤師や放射線技師など様々な職種の人で相談相手を作っていました。
困った時に一人で悩んでも解決できないことの方が多いでしょう。そこで、相談相手を増やしておくことをおすすめします。
5. 悪口や噂には加わらない
悪口や噂には加わらないことも働きやすい環境にするためのポイントです。
性格や考え方の違う大人が一緒に働いているので職場では、時には悪口や噂をする人もいます。感情も加わって相手を傷つける言葉を言ってしまう人もいるのです。
そこであなたも一緒に悪口を言うと、周囲からの心象が悪くなります。また最悪の場合、あなたも悪口を言われるターゲットになりかねません。
もし悪口や噂話を持ちかけられたら、私は「〜なんですね。知らなかったです。ところで、こないだの〇〇なんですけど…。」と言った感じで話のすり替えをしていました。
「悪口や噂はしない」とはっきり伝えても良いですが、角が立ち、相手の気持ちを理解できない人と捉えられかねません。聞いてほしいという感情に寄り添いながら、悪口や噂から話を逸らす方法を考えておくと良いでしょう。
男性看護師が転職する時に注意すべき2つのこと
男性看護師が転職する時に注意すべきことは、以下の2つです。
- 男性看護師が多い職場を選ぶ
- 男性看護師に配慮した職場かを見極める
将来のことを考えて転職を検討中の方は、これら内容を知っておくと良いでしょう。
1. 男性看護師が多い職場を選ぶ
転職するなら男性看護師が多い職場を選びましょう。面接時に男女比について確認しておくと確実です。
職場に同性の看護師が多いだけで心強く、悩んだ時に同性同士で理解し合えることもあるからです。
看護業界はまだまだ女性社会であり、男性は少数派です。性別の違いから意見が食い違ったり、女性患者から拒否されたりするなど男性ならではの悩みもあります。
そんな時に理解してもらいやすいのは、やはり同性ではないでしょうか?
相談相手が多いと様々な意見を聞けることや時にはサポートしてもらえるでしょう。
働きやすい環境に転職したい人は、面接時に男女比を聞いて男性看護師の割合を確認しておきましょう。
2. 男性看護師に配慮した職場かを見極める
男性看護師に配慮された職場であるかを見極めることも転職する時の注意点です。特に福利厚生は重要なので、必ず確認しておきましょう。
最近は男性看護師の人口も増えており、男性の休暇制度などの保証も整備されてきました。しかし職場環境については、未だに整備が追いついていない職場もあると聞きます。
例えば、男性看護師の更衣室だけ廊下にあり、パーテーションで区切っただけだったり、男性は病棟の共同トイレではなく患者用トイレを使っているという話も聞いたりします。
そのような病院に転職すると、休暇制度などが整備されていたとしても、いずれは働きにくさを感じてしまいます。
働きやすい病院に転職するためにも、福利厚生という視点に注目するもの良いでしょう。
まとめ
以上、男性看護師として働くメリットについてお伝えしました。要点を以下にまとめます。
- 男性看護師の割合は増加しており、需要のある職場もある
- 男性看護師として働くメリットは、給料面や将来性の観点からも十分にある
- 少数派の男性看護師ならではの悩みがある
- 働きやすい職場環境にするために身だしなみや周りへの配慮を心がける
- 男性看護師の割合や福利厚生などに注目して転職先を選ぶと良い
私自身、長年男性看護師として勤務した経験があります。就職当時は男性看護師の必要性や働くメリットを感じられず、悩んだ時期もありました。しかし今考えると、男性看護師として働けて心から良かったと感じています。
年々男性看護師の割合は増え、体力や力仕事のある診療科などで需要もあります。男性だからこそ対応しやすい患者もおり、女性社会だからといって性別に固執する必要はありません。
また男性看護師ならではの悩みもあるでしょう。そんな時は一人で悩まず、相談できる先輩を見つけておきましょう。そして働きやすい職場にするためにも、身だしなみや周囲への配慮など、できることがあります。
あなたが看護師として働き続けられるためにも、この記事が参考になれば幸いです。
この記事を書いた人
秋山 京洋
広島県立三次看護専門学校卒業。看護師免許取得。小児科や一般外科病棟を経験。現在は臨床で培った知識やスキルを活かしてライターとして活動中。執筆業以外にもKindle本の出版や絵本制作など精力的に活動の場を広げている。