「看護師としてのやりがいって何?」
「なんとなく看護師を続けているけど、やりがいを感じられない…。」
「やりがいを感じられない時の対処法があれば知りたい」
このような悩みにお答えします。
看護師のやりがいに対する感じ方は、人それぞれ違います。そして必ずしもやりがいを感じなければいけないというものでもありません。
この記事では、以下の内容について紹介しながら、あなたが看護師のやりがいについて考えられる内容となっています。
- 看護師のやりがいを感じる瞬間
- 職場別に見たやりがい
- やりがいを感じられない原因
- やりがいを感じられない時の対処法
様々な視点から看護師のやりがいについて解説しています。看護師のやりがいについて考えたり、見つめ直したりするきっかけになりますので、ぜひ参考にしてください。
目次
看護師のやりがい!続けていて良かったと思える7つの瞬間
看護師としてやりがいを感じる場面は人それぞれ違います。
日本医療労働組合連合会によると、看護師の仕事にやりがいを感じる人の割合は下図です。
参考文献:日本医療労働組合連合会/看護職員の労働実態調査「報告」 P62
そこでこの章では、私の経験談を踏まえながら、看護師としてやりがいを感じる瞬間について以下の7つの場面を紹介します。
- 患者の回復力を感じた時
- 患者が退院する時
- 患者や家族から感謝された時
- チームの一員として自分の存在価値を感じた時
- 責任のある仕事を達成できた時
- 社会貢献をした時
- 給料が入った時
では、順番に解説します。
1)患者の回復力を感じた時
患者が回復していく姿を見ると、看護師としてのやりがいを感じます。
患者へ提供した看護が活きたと目で見て実感できるからです。
例えば、足の骨折の手術をした患者の痛みのコントロールをして、リハビリの甲斐もあり歩けるようになった時、看護師としてのやりがいを感じました。
また、自分が行った看護に自信を持て、これまで以上に看護師としてのやりがいや自信を感じる機会になりました。
2)患者が退院する時
患者が退院していく姿を見るのも、看護師としてのやりがいを感じるでしょう。
患者は何かしらの問題を抱えて入院しています。この問題を解決するために看護師はチーム一丸となり退院支援を行います。患者が退院する時は、看護師の努力が報われ、やりがいを感じる瞬間でもあるのです。
一方の死亡退院も同様にやりがいを感じる人もいるのではないでしょうか。
亡くなった患者のエンゼルケアをして、家族と最後の時間を気持良く過ごせるためのサポートは、看護師だからこそできる仕事です。悲しみに苛まれる家族の気持ちを知り、寄り添える看護が提供できた時、看護師としてのやりがいを強く感じるでしょう。
3)患者や家族から感謝された時
看護師としてやりがいと聞いて最もイメージしやすいのは、患者やその家族から感謝された時ではないでしょうか?
人は感謝されると承認欲求を満たせます。これまで行った看護が認められると自信にもなり、やりがいを感じられるでしょう。
私の印象的なエピソードは、退院時に受け持ち患者とその家族から、「治療や薬も効いたかもしれないけど、何よりあなたの看護があったから退院できた」と言われたことです。
また、諏訪茂樹氏は「実践を通して患者さんに喜んでもらえると,仕事にやりがいを感じることができるし,それが仕事のやる気へとつながることが期待される」と述べています。このことから、患者や家族から感謝されると看護師のやりがいを感じられるのです。
看護師としてのやりがいを感じるとともに、看護の力を改めて実感できました。
引用文献:諏訪茂樹 日本保健医療行動科学会雑誌 28(2), 2014 2-7 P3
4)チームの一員として自分の存在価値を感じた時
看護師は個人プレーでは成立しません。病棟やチームが一丸になりはじめて質の高い看護が提供できます。
看護について足並みを揃えて、病棟スタッフの一員として看護が提供できた時、やりがいを感じます。
例えば、日々の患者の変化に気付き、チームで意見を出し合い必要な看護が提供できた時、看護師としてのやりがいを感じました。
チームの一員として自分の存在価値が見出せた時、看護師としてのやりがいを感じるでしょう。
5)責任のある仕事を達成できた時
責任のある仕事を達成できた時に看護師としてのやりがいを感じます。
例えば、急性期患者の救命ができた時、術後容態を許さない患者のちょっとした変化に気づけた時など、責任感のある仕事を達成した時はやりがいも大きいでしょう。
大橋純江氏・佐々木美奈子氏・竹内朋子氏は「看護師は患者の人生の辛い場面に立ち合い記憶にとどまる責任の重い職業だからこそやりがいでもあり」と述べています。
医療現場は常に患者の命と向き合う責任のある仕事ばかりです。だからこそ看護師はやりがいを強く感じられる仕事でもあります。
引用文献:大橋純江、佐々木美奈子、竹内朋子/ 東京医療保健大学紀要 第 12 巻 第 1 号 P38
6)社会貢献をした時
社会貢献をした時に看護師としてのやりがいを感じられます。特に仕事以外の場面で看護経験が活かされると、社会貢献できたと感じやすいでしょう。
私は以前参加した平和マラソンでメディカルランナーを務めた経験があります。参加中に大きな怪我や病気になったランナーはいませんでした。しかし、メディカルランナーとして参加できた経験は、看護師としての誇りであり、やりがいも感じました。
このように、看護師だからこそできる社会貢献とやりがいがあるのです。
7)給料が入った時
給料が入るとやりがいを感じられます。給料をやりがいに感じるのも悪いことではありません。命に関わる責任のある仕事をした対価として給料が支払われるからです。
努力して稼いだお金は、金額という形で示されるあなたの評価です。給料が入ることで来月までのモチベーションにもなります。これだけ給料がもらえるなら、明日からも頑張ろうと感じる人もいるのではないでしょうか。
職場別に見る看護師としてのやりがい5選
一口に看護師と言っても、職場により仕事内容は大きく異なります。
そこでこの章では、看護師のやりがいについて、以下5つの職場に分類して解説します。
- 病棟看護師
- 外来看護師
- 訪問看護師
- 療養型病棟の看護師
- 保育園の看護師
あなたの職場ならではのやりがいを考えるきっかけにもなりますので、ぜひ最後までお読みください。
1)病棟看護師
日々の看護実践の成果がわかる病棟看護師は、やりがいを感じるでしょう。
例えば、急性期病棟なら手術前の不安を取り除き、手術から回復して退院するまでの過程でやりがいを感じるでしょう。慢性期病棟なら患者や家族との関係を中長期的に築いていく過程でやりがいを感じられます。
病棟看護師は外来やクリニックと異なり、患者と関わる時間が長くなります。そのため、スタッフ全員がチームとなり、患者に必要な看護を話し合い、最適な療養生活を送れるように関わります。
患者にとって必要な看護を考え、試行錯誤をしながら提供していく過程でやりがいを感じる人もいるのではないでしょうか。
2)外来看護師
患者の状態に合わせて手際良く臨機応変に対応できる外来看護師もやりがいを感じる職場です。
外来看護師は症状看護であり、今まさに苦しんでいる人を目の前にて働いています。特に救急外来は重症の患者も多く、緊張感や責任感の重い現場でもあります。
そのような重圧があっても瞬時に適切な判断をし、患者の救命ができれば、看護師としてのやりがいとなるでしょう。
また一般外来なら生活指導をする中でやりがいを感じられるでしょう。指導内容が活かされ、外来の度に回復していく患者を見ると、看護師としてのやりがいを感じられます。
3)訪問看護師
利用者の家に訪れる訪問看護なら、病院や施設の看護師とは違ったやりがいを感じられるでしょう。
病院や施設と違い、環境が整っていない分、試行錯誤しながら看護ができるからです。
訪問看護を始めたばかりだと相談できる人がいないため、不安に感じます。しかし経験を積むにつれて、患者や家族との関係性を築き、今必要な看護を自分で考えて提供できるようになります。
私はストーマ指導後に退院した患者の訪問看護をしました。準備や知識不足を痛感しつつも、利用者が生活に取り入れられる方法での指導は想像以上に難しいと感じました。
それでも実施後に利用者から「家でできる方法を考えてくれて、ありがとう」と感謝してもらえ、訪問看護師ならではのやりがいを感じました。
4)療養型施設の看護師
長期間に渡り患者と関われる療養型病棟も看護師としてのやりがいを感じられるでしょう。
慢性期病棟であるため、患者と深い関係性を築けたり、長期的な看護計画の展開ができたりするからです。
入院患者は施設待ちや看取り目的まで様々です。特に看取り患者が思い描いた最期が迎えられるようにできるかどうか、看護師の腕の見せ所でもあります。長期的に患者と向き合い、関係性を築ける療養型病棟もやりがいを感じられます。
5)保育園の看護師
園児の成長を見守れる保育園の看護師もやりがいを感じられます。
成長や発達過程を考えた関わりができることは、保育所の看護師ならではのやりがいではないでしょうか?
私は保育所の看護師の経験はありませんが、就職して初めて配属された病棟が小児科でした。子どもの成長を見守り、サポートすることに看護師のやりがいと誇りを感じていました。
病気以外の部分で子どもと関われる保育園の看護師もやりがいを感じられる仕事です。
看護師としてやりがいを感じられなくなる5つの原因
看護師としてやりがいを感じられる場面は様々にある一方で、やりがいを感じられない人もいるのではないでしょうか。
そこでこの章では、やりがいを感じられない原因について、以下の5つをお伝えします。
- 多忙な業務
- 生活リズムの乱れ
- 給料の安さ
- 人間関係によるストレス
- 患者の心ない言葉
もしあなたが看護師としてやりがいを感じられないと思っているなら、原因を探るヒントになりますので、ぜひ参考にしてください。
1)多忙な業務
看護師としてのやりがいを感じられない原因に、休憩する時間すらない多忙な業務があげられます。看護師としての目標を見失ったり、見つめ直す時間がなかったりするからです。
厚生労働省の看護職員の労働実態調査結果報告では、やりがいと多忙な業務の関係について以下のように示しています。
参考文献:厚生労働省/2017年 看護職員の労働実態調査結果報告 P13
忙しさのあまり気が付いたら1日が終わっていたという人も多いのではないでしょうか?
看護師の業務は多岐に渡り、休憩に入れないこともあります。「看護師のやりがいとは?」なんて考えている時間がないと思う気持ちもわかります。実際に私も看護師のやりがいについて考える余裕はありませんでした。
そんな時は多忙な業務の後でも良いので、現状を振り返り、目指している看護像について考える時間を設けてみると良いでしょう。
2)生活リズムの乱れ
生活リズムの乱れも看護師としてのやりがいを感じられなくさせる原因です。
厚生労働省の看護職員の労働実態調査結果報告では、やりがいと夜勤が関係していることが分かります。
参考文献:厚生労働省/2017年 看護職員の労働実態調査結果報告 P12
不規則な勤務に強いストレスを感じたり、ホルモンバランスが乱れたりするからです。
このことにより、看護師のやりがいや仕事に対するモチベーションまで感じられなくなることもあるのです。
看護師をしている以上、夜勤は避けて通れません。不規則な勤務であっても体調管理できる自分なりの生活リズムの取り方を見つけて対処していくしかないのです。
3)給料の安さ
皆さんは看護師の給料が安いと感じたことはあるでしょうか?
給料が安いとやりがいを感じられなくなる原因になります。
ストレスの多い仕事に見合った給料ではない場合、「なぜこんな辛い思いをしてまで働かなければいけないのか?」と考えてしまいます。そんな仕事でやりがいを見つけるのは難しいでしょう。
もし給料が低いのが原因でやりがいを感じられないなら、給料が高い病院へ転職したり、昇格するのを待ったりする必要があります。
4)人間関係によるストレス
人間関係によるストレスは、看護師としてのやりがいや仕事に対するモチベーションを感じられなくします。
例え看護師としてのやりがいを感じていたとしても、人間関係にストレスのある職場は働きたくはありません。
看護師は責任感の強い人が多く、患者のためにできる看護を多忙な業務の中でも必死に考えています。自分と同じようにできない後輩への不満から、時に愚痴を溢してしまう先輩もいます。愚痴や悪い噂は蔓延しやすく、結果として働きにくい職場になります。
相性の良い人もいれば悪い人もいます。人間関係は部署異動や転職で解消できますので、看護師としてのやりがいまで見失わないようにしましょう。
5)患者の心ない言葉
患者の心ない言葉でやりがいを見失うこともあります。
患者のためを思ってしたことが否定されると次も頑張ろうというモチベーションが削がれるからです。
対処法は、患者の状態に目を向けることです。患者は常に病気の痛みや処置への不安を抱えています。心身ともに辛い状況であるにも関わらず不安や不満を言わずに生活している場合が多いでしょう。
ふとした瞬間に心ない言葉が出てしまうこともあり、偶然あなたが言われたのかもしれません。患者の心ない言葉は、あなたの人格を否定するものではなく、療養生活の不安の表出なのです。そのため、あなたが看護師としてのやりがいを見失う必要はありません。
看護師としてやりがいを感じられない時の3つの対処法
看護師としてやりがいを感じられない時の対処法は、以下の3つです。
- 周りに相談する
- 看護師を目指した理由を振り返る
- 無理にやりがいを見つけない
やりがいを感じられないと悩んでいる人は、自分を見つめ直すきっかけになるので、ぜひ参考にしてください。
1)周りに相談する
やりがいを感じられないと周りに相談すると良いでしょう。やりがいを感じられないと一人で考えていても答えが出てきません
相談することで客観的な意見を聞けたり、気持ちを整理したりできます。
例えば、同期やベテランの先輩に相談すると良いでしょう。
同期に相談するメリットは、同じ境遇にあり、あなたの気持ちに共感してもらいやすいからです。同じようにやりがいを感じられないと悩んでいる可能性もあります。
ベテランの先輩に相談するメリットは、同じ経験を経て、それでも看護師を長年続けている理由が聞けることです。ベテランの先輩が感じるやりがいは、あなたの長期目標のヒントになり得ます。
一方で、すべての看護師がやりがいを感じているとは限りません。あなた以外の状況を知ることで、やりがいを感じられないあなたの気持ちを整理しやすくなります。
やりがいは人に見つけてもらうものではありません。しかし周囲に相談することでやりがいを見つけるヒントを得られるのです。
2)看護師を目指した理由を振り返る
看護師を目指した理由を振り返るのも、やりがいを感じられなくなった時の対処法として有効です。
どんな看護師になりたかったのかを思い出すことで、働き続ける理由がわかるかもしれません。
また看護師を目指す過程の努力は誰にも真似ができないあなただけの財産です。学生時代の実習や課題、採用後の新人時代など、楽しいことばかりではなかったはずです。
そのような過程を経て今続けられているのは、看護師にやりがいを感じているからではないでしょうか。そしてそのやりがいに気付いていないだけなのかもしれません。
看護師を目指した理由やその過程を振り返ると、やりがいを見つけられる機会になります。
3)無理にやりがいを見つけない
やりがいを感じられないなら、無理に見つけないのも一つの手段です。
やりがいを感じられないことは悪いことではないからです。
仕事を続ける目的は、人それぞれです。その目的を達成しつつ現状に満足できているなら、それで十分ではないでしょうか。
しかし、やりがいを感じられない原因は考えておきましょう。
例えば、急性期病棟で忙しく、患者にゆっくり関われないことが原因だとします。その場合は、部署異動や転職すると看護師としてのやりがいを感じられるかもしれません。
やりがいを無理に見つける必要はありませんが、感じられない原因については考えておきましょう。
転職も選択肢の1つ?やりがいを感じられないなら職場環境を変えよう
看護師としてやりがいを感じられないなら転職も選択肢の1つと知っておきましょう。
転職となると現職場を退職し、就職面接を行い、新しい環境に慣れるなど様々なハードルがあります。新しい環境でやりがいを見つけられる保証はなく、転職にかかる心的負担は大きいでしょう。
しかし、環境を変えると新たなやりがいを見つけられ、看護師として働く自分を見直す機会になります。
私が以前勤務していた職場にも転職してきた先輩がいました。その先輩は「慢性期病棟に転職して、患者とゆっくり関わる中で看護師の私でもできることが沢山あると気づけた」と話していました。
まずは、転職経験のある先輩に話を聞くことから始めてみると良いでしょう。
まとめ
以上、看護師のやりがいについてお伝えしました。要点を以下にまとめます。
- 看護師は様々な場面でやりがいを感じられる仕事
- 職場別で看護師のやりがいに特徴がある
- やりがいを感じられない時は原因を考えてみること
- やりがいを感じられない時は周りに相談する
- やりがいを求めて転職するのも一つの方法
看護師のやりがいは、人によって違います。患者が回復する姿を見た時に感じる人もいれば、チームの一員として活躍でできた時に感じる人もいます。
また、職場の特徴によってもやりがいが変わってくるとわかったのではないでしょか。
一方で看護師としてのやりがいを感じられないなら、ゆっくり焦らず見つけましょう。周囲に相談したり、転職したりするのも有効です。看護師を目指した理由を振り返ると、やりがいを思い出すきっかけになるかもしれません。
やりがいは人に強要されるものではありません。この記事が、看護師のやりがいを見つけるきっかけになれば嬉しいです。
この記事を書いた人
秋山 京洋
広島県立三次看護専門学校卒業。看護師免許取得小児科や一般外科病棟を経験。現在は臨床で培った知識やスキルを活かしてライターとして活動中。執筆業以外にもKindle本の出版や絵本制作など精力的に活動の場を広げている。