社会人が最短ルートで看護師になる方法!学費や学校選びまでこの記事だけで完結

社会人から看護師を目指す理由は、人それぞれです。職場や仕事に限界を感じたり、もっとやりがいのある仕事に就きたいなど様々でしょう。

看護師国家資格は最短3年間で取得でき、就職先や給料が保証されています。また患者から直接感謝されるやりがいのある仕事でもあります。

この記事では、社会人から看護師を目指す方向けに、以下について詳しく解説します。

  • 正看護師と准看護師の違い 
  • 社会人から看護師を目指すメリット・デメリット
  • 国家資格を取得する最短ルートと学費
  • 看護師国家資格の概要と合格率

これから看護師を目指す方の知りたい内容をこの記事1つに集約したので、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

正看護師と准看護師の違い

これから看護師を目指す方の中には、正看護師と准看護師の違いがわかりにくいと感じる方もいるのではないでしょうか。

正看護師と准看護師の違いについて、日本看護協会の以下の表が参考になります。

正看護師と准看護師では取得方法や免許を認可する機関が異なります。また同じ「看護師」の名称ですが、正看護師は保健師助産師看護師法により「医師・歯科医師の指示のもと」、准看護師は「医師・歯科医師、又は看護師の指示のもと」で業務を遂行します。

キャリアアップという面でも、専門・認定看護師の取得は正看護師だけしかできません。給料面や求人数においても正看護師の方が優遇されています。そのため、将来的に続けていきたいとお考えの方は、正看護師になることをおすすめします。

社会人から看護師を目指す4つのメリット

社会人から看護師を目指すメリットは、以下の4つです。

  1. 年齢制限がない
  2. 働き口に困らない
  3. 希望の条件にあった職場探しができる
  4. 社会経験を活かせる 

では、詳しく解説します。

1. 年齢制限がない

社会人が看護師を目指すメリットとして、年齢制限がないことです。

厚生労働省の看護師国家試験の施行によると「都道府県知事の指定した看護師養成所を卒業した者」なら誰にでも看護師国家試験の受験資格があると示しています。そのため、一度社会経験をしてからでも十分看護師を目指せます。

実際、私が通っていた看護専門学校も下は現役、上は42歳で入学した方もおり、現在も正看護師として働いています。年齢制限がなく、資格による就職先と給料が保証されているため、幅広い年齢層の方が目指しているのも特徴です。

注意点は、職場によっては採用に年齢制限を設けていることです。しかし、看護師の資格があれば求人に困ることはないため、安心して免許の取得をしても良いでしょう。

出典:厚生労働省/看護師国家試験の施行(受験資格)

2. 働き口に困らない

働き口に困らないことも社会人から看護師を目指すメリットです。

厚生労働省のデータによると、2025年(令和7年)の看護師の需給者数と就業者数の差は、最小で「約6.1万人」、最大で「約27.3万人」であることが分かります。簡単に言うと、2025年に看護師が「6.1〜27.3万人」不足するということです。

そのため今後ますます看護師の需要は高まり、今よりも一層引く手あまたになることが予測されます。求人に困らない仕事というのも看護師資格の強みと言えます。

3. 希望の条件にあった職場探しができる

希望の条件にあった職場探しができるのも社会人から看護師を目指すメリットです。

看護師資格を取得すると求人数が多く、就職先に困ることはありません。そして人材不足であるため需要が高く、好条件な求人も多数あります。実際、私も転職する際に、想像以上の好条件を提示されることもありました。

つまり、好条件を提示してでも看護師を確保したいと考える医療機関や施設、企業があるということです。そのため、給料やライフスタイルなどあなたの希望条件にあった求人を見つけやすいでしょう。また転職エージェントを利用して求人先へ条件交渉もできるため、妥協をする必要もありません。

あなたに最適な職場探しができる点でも看護師になるメリットは大きいでしょう。

4. 社会経験を活かせる

これまでの社会経験を活かせることもメリットです。

新卒看護師にはない経験や視点・思考を持っているからです。

看護師の仕事は対人であるため、マニュアルやスケジュール通りに進められないことが多々あります。また社会経験があると、患者の小さな変化や気持ちに気づくための引き出しが多く、幅広い視野で看護ができるでしょう。

私の先輩で銀行員から看護師に転職した方がいました。銀行員は1円単位でお金を管理するシビアな仕事です。そのため会計が合わないと、その日のお金の流れを洗い出し、原因分析をします。この経験は看護師になり、病態分析や仕事の振り返る際に役立っていると言っていました。

社会人から看護師になるのはハンディキャップと考える方もいますが、むしろ強みになるのです。

社会人から看護師を目指す3つのデメリット

社会人から看護師を目指すデメリットは、以下の3つです。

  1. 就職先によっては年齢制限がある
  2. 新卒なのに新人に見られない
  3. 在学中は収入が減る

デメリットも理解しておくと、対策を考えながら看護師を目指せますので、ぜひご活用ください。

1. 就職先によっては年齢制限がある

あまり聞きませんが、看護師転職エージェントに問い合わせたところ、求人先によっては年齢制限を設けていることもあるとのことです。

ただし看護師の求人は多数あり、年齢制限があったとしても問題ありません。看護師国家資格を取得しておけば、職場探しに困ることはありません。ご自身の希望条件やライフスタイルに最適な職場を見つけられるのも強みなのです。

2. 新卒なのに新人に見られない

新卒者採用なので新人として扱ってもらえない場合があります。

以下の内容が理由として挙げられます。

  • 社会人経験があるなら、仕事はできて当たり前と見られやすい
  • 年齢が離れており距離を置かれやすい
  • 見た目でベテランと勘違いされやすい

ただし、この理由がどの職場にも当てはまる訳ではありません。例えば、45歳で就職した知人は、病棟の雰囲気にも馴染み、スタッフ全員から熱い信頼を寄せられています。そして何より、誰よりも楽しく看護師を続けています。

また患者からも新人として扱ってもらえない場合があります。患者は見た目で判断することがほとんどです。もしコミュニケーションや処置にもたついていたら、新卒看護師よりも厳しい評価をしてしまうかもしれません。しかし、患者の前では、新人もベテランも同じ看護師なので、年齢を言い訳にできないのも事実です。

新人時代は一つひとつ確実に積み上げていくことが大切なのです。

3. 在学中は収入が減る

当然ですが、在学中は収入が減ります。

看護学生は学校の勉強やテストに加え、 実習やケースレポートと並行して就職活動まで行わなければいけません。特に実習期間は過酷で、朝早くから夕方までは実習、次の日までに課題や調べ物、レポートなど、帰宅後も休む時間はありません。

私は学費も稼ぎながら通わなければいけなかったため、実習後は23時までアルバイトをして、朝の3時までにレポート作成、その後3時間仮眠をとって、次の日の実習に向かうという生活をしていました。

社会人のように月々の給料が保証されている訳ではないので、学費面で不安があるのなら、入学前に資金繰りをしておくことをおすすめします。頑張って看護師免許を取得できれば、就職や給料面は保証されているのをモチベーションに乗り切りましょう。

【目的別】社会人が看護師になれる最短ルートを徹底解説

看護師になるためのルートはいくつかあり、厚生労働省の以下の表が参考になります。

この表を踏まえて、目的別で看護師になる最短ルートの紹介をします。

保健師・助産師も一緒に取得したい方は「4年制大学」

​​保健師・助産師も一緒に取得したい方は大学に行くのが最短ルートです。

専門学校を卒業後に保健師や助産師を取得する場合は、追加で2年間のカリキュラムを受けなければいけないため、結果として5年間学校に通うことになるからです。

大学で看護師免許を取得するメリットは、以下の通りです。

  • 保健師・助産師免許も一緒に取得できる
  • 落ち着いて看護師免許を取得できる
  • 学問とアルバイトを並行しやすい

4年制大学なら保健師や助産師国家試験の受験資格も取得できます。そのため、卒業後の進路の選択肢が広がるでしょう。在学中に臨床実習で現場向きではないと感じたら、保健師になる選択肢や、出産に感動して助産師になるなど、進路に融通が効きます。

就職後の専門学校卒業の人よりも給料面で優遇されているため、大学卒業をしておくメリットは大きいでしょう。

即戦力として最短期間で就職したい方は「3年制専門学校」

最短時間で看護師免許を取得したい方は「3年制専門学校」にしましょう。

大学の4年間で行う内容を3年間に凝縮しているため、心身ともにハードですが最短で取得できるメリットがあります。また、専門学校で看護師免許を取得するメリットは、以下の通りです。

  • 最短時間で看護師免許を取得できる
  • 大学に比べて学費が安い
  • 最終実習から就職までの期間が短く、即戦力として働ける

専門学校なら最短時間で看護師免許の取得ができるのに加えて、臨床現場で即戦力として働ける強みがあります。厚生労働省の規定したカリキュラムによると、3年制専門学校を卒業するためには、全93単位のうち実習は23単位が必要であることが分かります。

そのため4年制大学に比べ全カリキュラムにおける実習の割合が多く、在学中に看護技術の習得がしやすい特徴があります。就職後に看護技術の習得を重視したい方にも3年制専門学校はおすすめです。

すでに准看護師を取得している方は「2年課程の養成学校」

すでに准看護師を取得している方は「2年課程の養成学校」で正看護師の免許を取得でき、以下の3通りがあります。

※実務経験年数について

准看護師として勤務した年数で、就業場所や就業形態(常勤、非常勤、パート等)は問いません。勤務先での勤務証明書等が必要となる場合がありますので、詳しくは進学を希望される学校養成所へ直接お問い合わせください。

出典:日本看護協会/准看護師が看護師資格を取得するには?

「全日制」「通信制」「通信制」の3種類があり、定時制のみ3年間かかります。准看護師として働きながら学校に通う方は多く、仕事と学業の両立が大変でしょう。

しかし、学校で学んだ知識を臨床現場で即アウトプットできるメリットがあります。そのため、正看護師の3年課程よりも知識やスキルの定着がしやすく、臨床でも最も即戦力として活躍が期待できます。

看護学校の学費は?最安で資格を取る方法も紹介

看護師免許を取得する場合、通う学校によって学費が大幅に変わります。社会人から看護師を目指す方の中には、家庭持ちや主婦や子育てをしながらの方もいます。

そこでこの章では、以下の5つの学校に分類して学費の違いを解説します。

  1. 国立大学
  2. 公立大学
  3. 私立大学
  4. 専門学校
  5. その他

経済的理由や家計の負担を少しでも抑えられるように、学校ごとの学費を見ていきましょう。

1. 国立大学

国立大学の学費は、以下の表を参考にしてください。

【初年度のみ】入学金1年間の学費4年間の学費
28万2,000円53万5,800円214万3,200円

国立は私立に比べて学費が安いメリットがある一方で、受験の倍率が高く、合格が難しい特徴があります。合格するには、ある程度の学力と現役高校生と競争する忍耐力が必要でしょう。

国立大学なら大学病院に隣接している場合がほとんどであり、実習では最先端の医療現場で学びを深められます。また専門・認定看護師を取得するために大学院に進学もでき、学費を抑えつつキャリアアップも可能です。

2. 公立大学

公立大学の学費は、以下の表を参考にしてください。

【初年度のみ】入学金1年間の学費4年間の学費
28万2,000万円〜50万円前後53万5,800円214万3,200円

学費については国立大学と同じ金額ですが、入学金については大学の所在地によって異なります。公立大学は所在地の地方公共団体が運営しているため、県内の進学者に対しては住民税の納税をしているため、国立大学同様の「28万2,000万円」、県外は自治体の定める金額となります。

入学金以外は国立大学と同じであるため、学費を抑えつつ、看護師免許を取得したい方は公立大学も視野に入れてみるのも良いでしょう。

3. 私立大学

私立大学で最高・最低の学費は、以下の通りです。

学費が最も高いのは、東邦大学です。

【初年度のみ】入学+学費+諸経費2年次以降の学納金(年額)4年間の学費
240万円190万円810万円

学費が最も安いのは、福井医療大学です。

【初年度のみ】入学金1年間の学費4年間の学費
25万円60万円265万円

最も安い福井医療大学なら国公立大学の学費プラス50万円弱で看護師免許の取得ができます。ただし、大部分の私立大学は学費が高いため、入学前に資金繰りや奨学金申請をした方が良いでしょう。

経済状況で私立大学が難しいなら、特待生制度を設けている学校に通うのも一つの手段です。例えば、福岡看護大学なら以下の制度を設けています。

対象生徒年間授業料
特待生S(1名)全額免除(年間110万円免除)
特待生A(4名)50%免除(年間55万円免除)
特待生B(5名)30%免除(年間33万円免除)

大学ごとの学費の条件が異なるので、詳細は問い合わせて確認しましょう。

4. 専門学校

専門学校で最高・最低の学費は、以下の通りです。

学費が最も高いのは、ハートランドしぎさん看護専門学校です。

【初年度のみ】入学+学費+諸経費2年次以降の学納金(年額)4年間の学費
203万2,000円168万2,000円810万円

※通学者のみ(昼食代込み)

学費が最も安いのは、石川県立総合看護専門学校です。

入学金学費
第二看護学科(4年制)不要72,000円(月6,000円)
第三看護学科(3年制)不要66,000円(月5,500円)
准看護学科不要54,000円(月4,500円)

※ 授業料の他、授業・実習運営に必要な教科書代や教材費等がかかります。

専門学校の学費は、200万円近くの差額があり、安い学校に入学できれば金銭的負担は大幅に軽減できるでしょう。私も大学を卒業した後に専門学校に入学したため、学費は月1万円ほどの県立専門学校を選びました。そのため、卒業後に学費の返済はありませんでした。

出典:看護大学・専門学校受験ナビ/看護系専門学校学費ランキング

5. その他

准看護師資格を取得している方は、以下の方法で正看護師になりましょう。

准看護師が正看護師になるためには最低2年間の通学が必要です。内容自体は正看護師取得コースと同様に座学と実習を行います。

准看護師免許の方の多くは、臨床で働きながら学校に通っています。そのため、授業で習ったことを現場で即アウトプットでき、知識やスキルの定着がしやすいという強みがあります。また、看護師としての臨床経験があり、就職後の即戦力としても期待されています。

看護師国家試験の概要と合格率

学校や学費の他に気になることとして、看護師国家試験に自分が合格できるかが不安という方も多いのではないでしょうか。

実習や就職活動を乗り越えたとしても国家試験に合格しない限り、看護師として働くことはできません

看護師国家試験の概要や合格率が気になる方は、以下の記事が参考になりますので、ぜひご覧ください。

内部リンク記事:my JOB 看護師/合格率UP!看護師国家試験の4つの勉強法をどこよりも詳しく解説

まとめ:社会人から看護師になっても職場や給料は保証されている

以上、社会人から看護師を目指すメリット・デメリット、最短ルートや学費について詳しく解説しました。

要点を以下にまとめます。

  • 看護師なら社会人からなっても働き口に困らない
  • 社会人だと就職後に新卒者として扱ってもらえないことがある
  • 看護師国家資格だけを取得するなら最短ルートは3年制専門学校
  • 学費は国公立系の学校が安い
  • 経済的な理由があるなら奨学金制度を利用しても良い

看護師はこれからも需要に伸び代があり、社会から重宝される仕事です。そのため、働き口に困ることはなく、給料も保証されています。何より苦しんでいる患者に手を差し伸べられる素晴らしい仕事であり、やりがいも感じられます。

これから看護師を目指すか悩んでいるかたは、この記事を参考にしていただけると嬉しいです。

この記事を書いた人

秋山 京洋

秋山 京洋

広島県立三次看護専門学校卒業。看護師免許取得。小児科や一般外科病棟を経験。現在は臨床で培った知識やスキルを活かしてライターとして活動中。執筆業以外にもKindle本の出版や絵本制作など精力的に活動の場を広げている。

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